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アンノウンの道標〜旅は道連れ宇宙人も道連れ〜  作者: MeはCat
〜第一章〜 未知の足跡
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PKの不幸は蜜の味

「ざっと合計8260Gだ」


「高っ?!」


「兄弟、こいつ縛り上げるか」


 僕達は夕飯を食べた後、手に入れた素材を使って装備を作れないかと鍛冶屋を訪れていた。バーガンディ曰く、いちいち作らなくても()()という方法で強くする事も可能だと聞かされたので了承した……は良いものの、その一見法外な値段に驚愕する。

 荒ぶるプロレスを抑えつつ、確かに8260Gは高いよなと内心ではプロレスと同意見だった。最初の時のほぼ倍の値段だぞ……ぼったくってる訳じゃないよな。


「お前さん達が倒したのはBランクのモンスターだ。その素材を使って強化するんだったら、そんくらい取るだろ」


 より良いランクのモンスターの素材を使った装備となると、かなりの高性能となる。だからバーガンディの言い分は分かる。逆にこれだけ払って高性能じゃなかったら容赦しないからな!!


「プロレス、4000G出してくれ。僕は4260G出す」


「ぐぬぬ……これも装備の為だ……持ってけドロボー!!」


 今回は前回とは違って()()依頼だ。先程来ていた装備を一旦バーガンディに預けて10分くらい店内で待つと、満足気にバーガンディが工房から出てきた。


「ほら、出来たぞ。確認してくれ」


 まず僕とプロレス共通の装備として、霊峰のブレスレットのアクセサリーを一人一つずつ作ってくれた。これはナーガの水冰核の素材を使用した物で、低酸素状態を無効化してくれる効果を持つ。これであの厄介なデバフが無くなるという訳だ。


 蛮族シリーズが水嶺シリーズとなり、物理攻撃力+50、素早さ+50と強化された。スキルは〈分水嶺〉で三分間のみ物理攻撃力+30、与ダメージ増加+20%、素早さ+30に加えて、自身と同じステータスの水分身を一体召喚して戦ってくれるという物だ。単純にプロレスがもう一体増えるのは強い効果と言える。そしてもう一つのスキル〈激流加速〉はパッシブスキルであり、他のスキルを使えば使う程、戦闘中素早さを+10していく効果を持ち5層まで累積可能だ。

 骸牙槍は蒼翼槍と名を変えグリフォンの素材を使用した武器となった。物理攻撃力+70でスキルは〈蒼空穿〉と〈蒼穹葬牙〉、そして〈鷹の目〉の三つのスキルがある。〈蒼空穿〉は〈骸穿〉と同じ素早い突き技だが、更にその攻撃スピードが上がっている。〈蒼穹葬牙〉は〈骨界穿孔〉を強化したスキルで、強力な突き技と刺した後に衝撃を与えるという二段のダメージが魅力的。〈鷹の目〉は相手の弱点を映し出す事が出来て、その部分に攻撃すると10%防御力無視のダメージを与える事が出来る。


 堅牢シリーズは巨蛇シリーズとなり、体力+50、物理防御力+50、魔法防御力+50でスキルは〈逆鱗〉で三分間のみ物理防御力+30、魔法防御力+30、被ダメージ減少+20%と〈不沈艦〉より一律強化され、更にダメージを受けると相手に本来のダメージの5%を反射する。更にパッシブスキルで〈自己修復〉を持ち1秒間に体力5回復する効果を持つ。

 不動大盾は不動明王盾に名を変え敵の攻撃が大盾に当たった時限定で被ダメージ減少+30%、スキルは〈挑発〉と〈羅生門〉のスキルを持ち、〈羅生門〉は自身が動けなくなる代わりに被ダメージ減少+50%を得る。

 鉄槌メイスも蛇槌メイスと名を変え物理攻撃力+30、スキルは〈蛇眼撃〉は攻撃すると相手は硬直状態となる。短い時間だが全く動けなくなりアクティブスキルすら使えなくする事が出来る。そして、例に漏れず頭に攻撃すると効果がより強くなるが、効果を発動するだけならどの部位でもいい。


「結構強くなったな……許す!!」


「この性能なら大満足だね」



 ◆◆◆◆◆

 

名前 ブライト

所持金 390G

武器 蛇槌メイス、不動明王盾

防具 巨蛇シリーズ

体力 80

物理攻撃力 30

物理防御力 50

魔法防御力 50

アクティブスキル

〈逆鱗〉〈挑発〉〈羅生門〉〈邪眼撃〉

パッシブスキル

〈自己修復〉


 ◆◆◆◆◆


 高ランクのモンスターの素材を使っているだけあって、中々の性能になったようで安心した。これでプロレスは更なる火力を、僕は更なる耐久を得る事が出来た。

 

 まさに、最強の矛と盾って訳だな!!


「よーし兄弟、試し斬りしに行こうぜ」


「それなら下の階層とかどう? ほら、今まで上ばっかりで下の方は全く探索してなかったし」


「良いねぇ……この槍のサビにしてやる」


 僕達は良さげかサンドバッグを探しに下の階層へと向かう事になった。



 ◇◇◇◇◇



「なぁ兄弟」


「どうしたの?」


「ここ……弱くね?」


 プロレス、多分僕達が強くなり過ぎたんだと思うよ。下の階層は鉱区が広がっているエリアとなっていて、出現するモンスターが軒並みEランクかDランクのモンスターばかりとなっている。普通なら鉱区で装備集めてから上の階層に行って春風の花園に行く想定だったんだろう。しかし、僕達はゴリ押しし過ぎてボスまで討伐してしまったが為に鉱区のモンスターが弱く感じてしまっている。それに――――――――


「雲海都市に居る時から思ってたんだが、身体が軽すぎて違和感が凄いぜ……」


 僕達は低酸素状態に慣れ過ぎて、戦闘中常に移動速度が上がっているような感覚に陥っている。実際には素早さが戻っただけなのに、どうも身体のコントロールが難しい。


「僕、巨蛇シリーズでここまで走れるなんて感動してるよ。本当に速いよここ!!」


「オレはこの感覚に慣れないといけないからな……肩慣らししなきゃならないのに、ここの連中じゃ脆すぎる」


 プロレスが槍を振るっているだけでEランクはワンパン、Dランクは3回攻撃を当てると倒れてしまう。勿論〈蒼空穿〉を発動するとどっちもワンパンだけど。

 さっさと更に下の階層に行って獲物を探さないと、そろそろプロレスの戦闘欲が抑えれなくなって来ているんだよな。

 どこかサンドバッグは居ないもの――――――――――


「…………あ〜僕達に武器を向けるって事は、()()()()事で良いんだね?」


 突如として、刃が僕の首元へと飛んでくる。当然その刃は届く事無く盾に弾かれ地に転げ落ちる。これは僕達を狙った攻撃であり、そんな事をする者はPKしか居ない。

 その者はプレイヤーネームを赤で染め上げている。掲示板を読みながら調べてみたのだが、そんなプレイヤーネームはPKだけだと分かっている。


「なっ?! 誰だお前――――――――

「〈邪眼撃〉」


 僕は〈邪眼撃〉でPKの脳天をかち割り即死させた。この場合は…………うん、僕の名前は赤くなってないからPK扱いじゃないんだね。

 どうやら予想通りPKKはPK扱いじゃないらしく大量のお金と装備品を獲得する事が出来た。


「あっ、兄弟だけズルいじゃねぇか!!」


「ごめんつい……でもこの調子だと他にもPK居るでしょ」


 掲示板曰くPKが大量発生してるみたいだからね。つまり、今が稼ぎ時って訳だ。鉱区を練り歩けば、またPKらしきプレイヤーが3人歩いるのを遠目で確認する。


「今回は譲……もう行っちゃった」


 僕が言葉を言い終わる前にPKに戦いを挑む為に突撃していった。プロレスなら余程の事が無い限り死ぬ事は無いだろうから、援護の必要は無いね。


「身ぐるみ置いてけ」


「て、敵――――――――

「〈蒼空穿〉」


 PKが何かを言う前に胴体に風穴を開ける。反撃しようと武器を構えるが、目にも留まらぬ素早さによって翻弄され全員貫かれて死んでいった。きっと彼らは何が起こったか分からずにリスポーンしていったのだろう。

 というか、普通「身ぐるみ置いてけ」なんて彼らが言うべきセリフだと思うんだけど。


「たんまり貯め込んでるじゃねぇか」


 これじゃどっちかPKか分かんないよね……まぁ、僕が言えた口じゃないけどさ。


「二手に分かれよう。そっちの方が効率が良いだろうし」


「了解だぜ兄弟」


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