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アンノウンの道標〜旅は道連れ宇宙人も道連れ〜  作者: MeはCat
〜第一章〜 未知の足跡
3/19

装備新調

 数百年前、地球人は様々な宇宙人と共栄圏を築いた。その中の一つがミュータン人であり、今では最も仲の良い盟友となっている。

 ミュータン人は技術発展や文明はそこそこと呼ばれているが、()()というただ一点においては他の宇宙人を遥かに凌駕していた。身体の強さもさる事ながら、バトルセンスも凄まじく、地球の動物相手だと一対一ではまず負けない。そして、それらを活用したスポーツや競技ではいつも上位に組み込む程の戦闘民族である。


「僕、ミュータン人とは初めて話すなぁ」


 このゲーム地球産だから、見た目は地球人だけど中身は僕達とは全く違う身体の構造してるんだろうな。そう思えば、違う身体でもプレイ出来るのは割と凄い技術を使ってるのかもしれない。


「そうなのか? まぁこういう場じゃないと関わりが薄いのはそうかもしれんな!! あっそうだ」


 プロレスは何かを思い出したかのように自身のアイコンを弄ると、僕の視界に通知が届いた。


[プロレス様のフレンド申請が届きました]

[了承しますか? はい いいえ]


「オレの知り合いが言ってたんだよ。仲良くなったらフレンド申請送れって」


 きっとその知り合いはゲームをよく理解している人なんだろうなと思いながら、僕はその申請に”はい”を押した。

 

「じゃあ僕にとって、お前が初めてのフレンドという事になるな。宜しくね」


「おぅ!! ……あ〜話してる所悪いが、後ろ」


 ゴロゴロゴロ………。


 突如として、後ろから何かが転がる音がした。振り返ると、それは鉄鉱石の塊ような姿をしていた。そして先ほどの熊よりも強固な身体をしているモンスターだった。


[Dランク アイアンロック]


「Dランク……なんかもう知ってた」


「どちらにせよ殺るしかねぇだろ、なぁ兄弟」


 Eランクのスケルトンが恋しいぜ。あの無茶苦茶硬そうな外殻――――――いや、鉄鉱石を攻撃しても弾かれてしまいそうだ。狙うならその隙間の……目とかを狙うしかないか。


「〈クイックスラッシュ〉」


 僕はアイアンロックの目を狙って斬りつける。予想通り弱点だったのか一瞬怯んだが、追い打ちをかけようと思った瞬間飛び上がり空中に退避した。


「へっ、空中じゃ逃げ道ねぇだろ!!」


 いや、本当に退避しただけか?


「………避けろ!!」


 アイアンロックはその体重を生かして僕達を踏み潰そうと落下する。僕の掛け声が間に合ったのか、プロレスは回避を選択し何とか下敷きにならなくて済んだようだ。


「あんにゃろ、オレを押し潰そうとしやがったな」


 だが、一度落下攻撃をした後は大きな隙が生まれていた。その隙を僕達が見逃すはずが無い。


「「〈クイックスラッシュ〉」」


 お互いの〈クイックスラッシュ〉が交差しアイアンロックの目に攻撃が当たる。その衝撃に耐えられなかったのか、アイアンロックの体力は全壊した。


[戦闘終了]

[450Gを獲得]

[鉄鉱石を8個獲得]

[アイアンロックの外殻を6個獲得]


「へっ、どんなもんだ!!」


「鉄鉱石……これ武器作るのに必要なやつじゃないのか?」


 このゲームは魔道具によって使えるスキルが違うという話だ。そろそろ武器や防具を見直す良い機会かもしれない。


「なぁ、そろそろ都市に帰って装備作らないか?」


「それもそうだな、それに……現実では昼飯の時間だ」


 もうそんな時間経ってたのかと戦慄しつつ、休憩に入る丁度良いタイミングでもある。僕達は下に降りて一旦都市に戻ってログアウトする事にした。



 ◇◇◇◇◇



「ふぅ……ゲーム面白かったな」


 僕は現実世界へと意識を戻し昼飯を食べる事にした。食卓に行くと既に母親が料理作ってたのか、良い匂いが漂ってきている。


「もうご飯出来たわよ」


 今日の昼飯は醤油ラーメンだった。僕は「頂きます」と言ってラーメンを啜る……美味しい。

 遅れてお兄ちゃんが食卓に来て席に着き、一緒にラーメンを食べる。ラーメンにはネギ、メンマ、チャーシュー、煮卵と、ごく普通のラーメンだけど、それでも僕はこの家庭的な味が好きだな。


「どうだった? ゲームの方は」


「とっても面白かったよ!!」


 僕はゲームの世界の冒険をお兄ちゃんに話す。美しい景色、冒険組合、強いモンスター、出会った仲間、どれも面白かったと言える要素だ。


「それは良かった。でも……魔道具の質でプレイヤーのステータスやスキルが決まるのは変わった要素だね」


「そうなの?」


 面白いゲームシステムだとは思ってたけど、お兄ちゃんが言うなら他のゲームとは違ったシステムなんだろう。


「普通ならプレイヤー自体にレベルが設定されていて、モンスターを倒すとレベルアップ。そして強くなるのが一般なんだけど……このゲームは、柑子の話を聞いてる限り装備を強化しないと全く強くならないね」


 レベルによるプレイヤー強化が出来ない以上、装備の質が戦闘に大きく影響が出るって事だね。強い武器、強い防具、強いアクセサリー、それらには大きな価値がある。


「ありがとうお兄ちゃん、覚えておくよ」


 僕はラーメンを飲み干して自分の部屋に戻った。まず最優先事項は装備を強くする事だ。



 ◇◇◇◇◇



「おっ、来たな兄弟」


 ログインするとプロレスが僕を待っていた。次に僕達が向かう場所は鍛冶屋だ。手に入れた素材をもとに魔道具の装備を作って貰いに行こう。


「たのも〜」


「お邪魔します」


 鍛冶屋の中には多くの武器と防具立てが置かれていた。その下の値段をみ観てると、千を超える値段が殆どでとても買えた物じゃない。一つくらいは買えるけど、今は特に買う気は無い。どこからか、カンカンとした金属を叩く音が一定周期で聞こえる。裏手の方に工房があり、誰かが装備を作っているのかもしれない。


「あら、いらっしゃい〜」


 その受付の女性は妖艶な雰囲気を纏っていて、とても美しいお姉さんだった。あまりの美しさに見惚れてしまうが、僕の目的を思い出し邪念を振り払う。


「素材持ってきたんですけど、これで武器や防具作って欲しいんです」


「鍛造依頼ね、素材を出して貰えるかしら?」


 僕達は今まで手に入れた素材を出した。僕は丈夫な骨、強固な骨、ファットベアの毛皮、鉄鉱石、アイアンロックの外殻を持っている。プロレスの方も同じような素材だった。


「ありがとうねぇ、これなら防具の方はファットベアで作った蛮族シリーズ、鉄鉱石とアイアンロックで作った堅牢シリーズが作れるわよ」


 蛮族シリーズと堅牢シリーズ、どっちも強そうな装備じゃないか!!

 名前だけ聞くと、蛮族シリーズは攻撃特化で堅牢シリーズは防御特化みたいに聞こえるな。


「武器の方だと骨武器と鉄武器のどっちかになるねぇ、どんな武器が良いとかあるかしら?」


 どんな武器か……そういえば考えて無かったな。王道の剣か、ハンマーか、槍なんて物も良いよな。

 でもこればっかりはプロレスにも意見を聞かないと何とも言えない気がする。


「プロレスはどういう戦闘スタイルが良いとかある?」


「オレは攻撃あるのみだ!! 速度と火力で敵を圧倒するのは気持ちがいいぜ」


 どうやら、プロレスはアタッカーがしたいらしい。それなら、僕はタンクをしようかな。堅牢シリーズでカチカチに固めて敵の攻撃なんてへっちゃらにしたい。


「プロレスが攻撃特化なら、僕は防御特化にしてみようかな。大盾とメイスを下さい。プロレスは?」


「オレは槍だな!! 敵陣に突撃してやるよ」


 結局、僕には堅牢シリーズと大盾とメイスを、プロレスには蛮族シリーズと槍を作ってくれるみたいだ。


「貴方〜鍛造依頼よ〜」


 店員のお姉さんがそう言うと、金属音が鳴り止み裏手から男性が肩を鳴らしながら現れる。その男性は筋骨隆々の大男であり、ファットベア程度なら軽々と殴り飛ばせそうな力強さを感じさせる。


「良く来たなお客人。俺はここの鍛冶師をやってるバーガンディだ。これくらいの魔道具なら10分もあれば全て作ってやる」


 この量を10分で……凄腕の鍛冶師ともなれば魔道具を作るのにもそこまで時間を取られないものなのかな。割と注文多いかなと内心思っていたけど、その心配はあまり必要無いのかもしれない。


「それでは宜しくお願いします。料金はいくらぐらいになりそうですか?」


「ざっと合計4550Gだ」


 高っ……くは無いか。こんなに頼んでるんだから、むしろこの値段は良心的なのだろう。値段配分を見れば僕の方が少し高く付くから、僕は2550G出そう。これでも討伐や探索ボーナスで割とお金は持ってるんだ。


「プロレスは2000G出して」


「背に腹は代えられないか……これでどうだ?」


「2000Gと2550G、丁度4550Gね。ありがとう」


 僕達はお金を店員さんに渡し会計を済ませると、バーガンディは渡した素材を持って裏手の工房に入っていった。

 10分後にまた来れば、僕達の新しい装備が貰えるだろう。どんな性能になっているか、楽しみ過ぎて待ち切れない。


「プロレス、待ってる間に何か食べ物買いに行くか?」


 待ってる最中何もしないのもあれだし、せっかくだからゲーム内でも何か美味しい食べ物無いか探すのも一興だろう。


「そうしたいのは山々だが……金が無い」


 …………あ〜それもそうか。


「大人しく待ちますか」


「そうだな」

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