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アンノウンの道標〜旅は道連れ宇宙人も道連れ〜  作者: MeはCat
〜第一章〜 未知の足跡
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未知なる世界へ

 時は30XX年、既に「時は20XX年」という文言が使えなくなる程時代が進んだ現在。2000年代の頃から数多の技術革新が起こった。

 人工知能ロボットの人権宣言に宇宙開拓、宇宙人との共栄圏や電脳世界の誕生など……あの頃では”未来”とされた技術が、この時代では普通となっているのだ。

 それはゲームも同じ事で、ディスプレイ型のゲームは衰退し現在ではフルダイブ型のゲームが主流となっている。


「なぁなぁ、何のゲームが良いかな!!」


 僕の名前は陽光(ようこう) 柑子(こうじ)って言うんだ。今は中学一年生なんだけどさ、学校のテストで良い点取ったから間馬(まば)お兄ちゃんがゲーム買ってくれるって言ってくれたんだ。


 ここは電脳世界という所で、お店とかは全部電脳世界の中にショッピングモールにあるらしい。お兄ちゃん曰く、お店に行きたかったら直接アクセスして転移出来るらしいから、お菓子とかジュースとか買いたいなら電脳世界に来れば大体あるし移動も楽なんだって。

 昔は現実世界で点在していたとか、どんだけ歩かないといけないって話だよな。


「うーん、ロボットを操作する『イロン大戦』とか、逆にスローライフ系なら『アルカディア』とか……」


「どれも興味無いなぁ」


 なんかこう……ビビッと直感に来るようなゲーム無いのかな。上手く表現出来ないんだけどさ、例えば世界中を冒険するようなワクワク感が欲し――――――――


「お兄ちゃん、これがいい」


 これだ。このゲームはさっきまで言っていた条件に合っているって僕の直感が言ってる。

 VRMMO『アンノウンロード』――――――――謳い文句は『広大な世界を探索し未知を冒険しよう!!』と書かれている。これこそ、世界中を冒険するようなワクワク感と言えるんじゃないのか?


「アンノウンの……道標? これが良いのかい?」


「うん、これがいい」


「でもこれ、まだリリースされてないみたいだよ?」


 このゲームの隣には『あと21︰36でリリース』と書かれている。つまり、このゲームは今買ってもプレイ出来る訳じゃなくて少し待たないと行けないという事だ。


「1日くらい待てるよ」


「それならこれにしよう。店員さん会計お願いします」


 僕はいつか色んな世界を渡り歩きたいと思ってるんだ。もし、このゲームでそれが叶うのなら……目の前の餌に飛びつかない訳無いよね。


 

 ◇◇◇◇◇



 あれから1日の時が経ちリリース当日、遂に『アンノウンロード』をプレイが可能になった。事前に昼飯を済ました僕はゲームの世界へと入っていった。


「ここは……」


 目が覚めると、僕は見知らぬ部屋に居た。とても静かで、椅子や机以外何も無い。壁や床は木で出来ており、どこかの小屋にでも飛ばされたのかと一瞬考える。

 すると、どこからか小さな光球が現れ僕のもとに飛んできた。その光球はみるみる翼の生えた人型へと変化していく。その頭には光輪が浮かんでいる。まさしく、天使だった。


「『アンノウンロード』へようこそ。僕はサポート天使のマポン、宜しくね!!」


 マポンと名乗った天使は少女のような少年のような小柄な体型をしていて、一見すると幼児のように思える。

 それでも相手が自己紹介をしてきたのなら、僕も同じく自己紹介しないと駄目ってお兄ちゃんが言ってたから挨拶を返すべきだろう。


「僕の名前は陽光 柑子だ。宜しくな、マポン」


「柑子君だね、過去に何かゲームをした事はあるかな?」 


「実はあんまり……」


 ゲームの知識だけは動画とか配信とかで知ってるけど、実際にプレイする側になったのはこれが始めてだ。だから、初めてのゲームにとてもワクワクしてるんだ。


「それなら、先にゲーム内で使うプレイヤーネームを決めよう。ゲームでは本名を使うのはあまり好ましくないとされてるからね」


 本名使うのが駄目だったら、別の名前を考えないといけない。光輝だからライト――――――――いや、安直過ぎるよな。同じ明るいとか輝かしいって意味のブライトとかどうだろうか。


「じゃあ、ブライトで」


「ブライト君だね、ありがとう。次にブライト君の見た目を作っていこうか」


「確か……キャラメイクだっけ?」


「そう!! 自分の操作するキャラの身体をアレンジ出来るんだ。髪型や髪色、身長や体型、後は目の色なんかも変えれるんだ」


 マポンがそう言うと僕の目の前に一人の男と操作するウィンドウが出現した。これを操作して、目の前の男を自分好みにアレンジすればいいんだね。

 身長や体型は現実のと同じにするとして、太陽モチーフだから髪色に橙色を入れたいよね。根元を黄色にしてグラデーションみたいに毛先を橙色にする感じで………お、結構良いじゃん。後は目を黄緑色とかにして――――――――――なんか、遠目で見たらミカンみたいになっちゃってるけどいいか。


「これでお願いします」


「承ったよ。それじゃあ、次は最初の()()()を選んで欲しいんだ」


「魔道具?」


「全ての武器、防具、アクセサリーなどの装備品には魔力が宿ってるんだ。それらを魔道具と言って、それを持つとスキルを使う事が出来る。逆に言えばその魔道具が無いとスキルは使えないという事だね」


 つまり装備する魔道具によってスキルの構成が全く違うという事でもあるし、魔道具が同じプレイヤーならスキル構成も同じだから予測もしやすい。面白いゲームシステムだ。

 

「最初に君に贈る魔道具は見習いの剣、見習いの弓、見習いの杖だよ。どれにする?」


「うーん……じゃあ見習いの剣で」


 こういうのは使い勝手が良い近接武器に限る―――――――ってお兄ちゃんが言ってたからね。僕も例に漏れず近接武器をメインとして戦っていこうかな。

 

「見習いの剣だね、ありがとう。スキルはステータスで確認出来るよ」


 マポンにそう言われると、視界にバックのアイコンが表示される。それをタップすると自分のステータスを確認する事が出来る。


 ◆◆◆◆◆

 

名前 ブライト

所持金 1000G

武器 見習いの剣

防具 ただの布服

体力 30

物理攻撃力 10

物理防御力 5

アクティブスキル

〈クイックスラッシュ〉

パッシブスキル

〈自己回復〉


 ◆◆◆◆◆


「〈クイックスラッシュ〉と……〈自己回復〉?」


「〈クイックスラッシュ〉は見習いの剣、〈自己回復〉はただの布服のスキルだね。アクティブスキルとパッシブスキルの違いは自分で発動するか自動的に発動するかの違いだよ。実際にやってみるかい?」


 マポンがそう言うとマネキンが出現した。そのマネキンは等身大でサンドバッグには丁度良い大きさだ。

 〈クイックスラッシュ〉は素早く斬りつけるスキルで、〈自己回復〉は2秒間に体力1回復するという代物だった。


「〈クイックスラッシュ〉」


 僕は〈クイックスラッシュ〉を発動しマネキンに試し斬りをした。マネキンは衝撃により吹き飛ばされる。とても使いやすく火力もそこそこある。攻撃の合間にこのスキルを挟むなどの応用も効きそうだ。


「もういいかな、ありがとう」


「それなら次に進もう。降り立つ国を選んで欲しいんだ」


「降り立つ国?」


 全員が同じ所でスタートする訳じゃ無いんだと不思議がっていると目の前に六つの国が表示された。

 

 名誉の国ヴァルディア、武力と名誉を重んじる国。島国であり周囲を海で囲まれている。

 奇妙の国セレノス、不思議な現象が起こる幻と夢の国。本来存在しない地帯がある。

 豊穣の国アルダリア、自然と共に生きる農耕・祭祀の国。収穫祭や音楽が盛ん。森の自然が根付いており、世界樹が存在する。

 探究の国アストレイア、知識と魔導技術を追い求める学究国家。近くには大穴か続く地下世界が存在している。

 自由の国ノマディア、放浪・交易・冒険を是とする国。他国との交流も盛ん。非常に標高が高く霊峰と呼ばれる山脈が広がっている。

 信仰の国ルクサリア、女神ルクスを中心に神官が統治する信仰国家。大草原が広がっており、牧歌的な温かさを感じさせる。


「この中だと……自由の国ノマディアかな」


 やっぱりゲームするなら自由にプレイする方が良いと思うんだ。魔術を極めるのも良いけど、世界を旅して強大なモンスターとか倒したり、お宝を見つけたりするのも面白そう。


「自由の国ノマディアだね、ありがとう。よし、これでゲームを開始するのに全部の工程が終わったよ。最後に何か聞きたい事はあるかな?」


「最後に聞きたい事か……」


 何か聞きたい事があるかと聞かれたら特には無いけど、敢えて聞くなら――――――――


「ゲーム始まったら何するのがオススメとか、アドバイスとかある?」


「僕のオススメは――――――何も無いよ。君は自由の国を選んだんだから、自分の直感に従って気ままにやるのも良いと思う。アドバイスとしては、自由の国だからってヤンチャし過ぎると危ない事が起こる――――――とだけ」


 確かに言われてみれば、自由の国なんだから特に決まり事とかは無いんだ。でも流石にヤンチャはしないかなぁ……確かPKって言うんだっけ、僕はそういうのに興味無いから、言われた通り気ままにやる事にするよ。


「それでは、『アンノウンロード』の自由の国へ行ってらっしゃーい!!」


 マポンがそう言うと突如として地面に魔法陣が出現し発光する。その光は徐々に世界を白に染め上げる。

 その白に一抹の色彩が戻った時には、僕は壮大な山脈を目にする事になる。

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