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非モテな俺が生まれ変わったらまた非モテになったので、美少女たちを幸せにしてやろうと思う  作者: 八星 こはく
本編

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第18話 はじめの一歩

「じゃあとりあえず、こういうことでいいかしら!」


 ベルが大きな紙を広げる。そこには細かくいろいろなことが書かれているが、まとめるとこうだ。


・女学校の設立を目指し、まず実験的に、年齢を問わず女性へ学びの場を提供する

・第一回はデュボア家の屋敷にある空き部屋を使う

・第一回目は基本的な読み書きの授業で、特別に教師はベルが務める

・参加費は無料で、領内で暮らす女性であれば誰でも参加可能


 学校、というものには程遠いが、俺たちなりの第一歩だ。

 こうして少しずつ取り組んでいくことが、学校設立に繋がると信じている。


「ああ。こういう機会があるってことが、そもそも大事だろうしな」


 日本だって確か、学校ができる前は寺子屋だったはずだ。教えていた内容だって、だいぶ違っただろう。


 確か寺子屋では、読み書きとか、そろばんの使い方を教えてたんだっけ?

 もっと実用的な、仕事っぽい内容を教えてたところもあるって聞いたこともあるな。


 現状では、子供は家の仕事を手伝うため、それ以外のことを学ぶ機会が極端に少ない。


「同世代で顔を合わせて話す時間とかも、大事だろうし」


 俺はあまり学校で友達ができなかったし、学校が好きではなかった。

 でも、集団生活が苦手なことも、そもそも学校がなければ知りようがなかっただろう。

 そういう意味でも、学校は役に立つはずだ。


「今日会った子にも声をかけて、話を広めてもらうのがいいわね」

「……俺が直接伝えに行こうかな」


 俺が呟くと、ベルはにやにやしながら俺を見つめた。


「コルベット様、あの子がお気に入りなのね?」


 ねえ、とベルはジゼルの腕を掴んだ。

 表情は恋バナを楽しむ女子小学生のそれと同じである。


「可愛い子だったものね。明るくて純粋そうだったし。コルベット様はそういう子が好きなのね」

「悪いかよ」

「いえ。あの子、いい子そうでしたもの」


 俺は基本的に美少女なら全員好きだが、女の子っぽい子が特に好きだ。

 元気いっぱいの子とか、ちょっとドジな子とか、ふわふわした子とか。

 見た目で言うと、ちょっと幼くて、身長が低い子がいい。


「私もそう思います。その、コルベット様が少々惚れっぽいのが、少し心配ではありますが」

「心配?」

「騙されて金品を要求されても、気づけそうにないというか……。女慣れしていなさそうなので」


 丁寧な口調で失礼なことを言ってくる奴だ。

 だが、ジゼルの言っていることは正しい。


 もし可愛い子が俺を好きだと近づいてきて、困った顔で金品をねだられたら、俺はたぶん差し出してしまう。


「そうね。コルベット様が変な女に騙されないよう、わたくしたちも協力するわ」

「……それはなんか、まあ、ありがとうな」


 妻とその好きな相手に恋愛を応援される。妙な話だが、まあ、応援してくれるというのだから、ありがたく応援してもらおう。


「スザンヌが気になってるのよね。わたくし、あの子なら賛成だわ。ねえ、ジゼル」

「はい。一緒に応援しましょうね」


 二人が目を合わせて微笑み合う。俺の恋なんてどうでもよくて見つめ合いたいだけだろ、と言いたくなるが、まあいい。


 とにかく、女学校設立を目指しつつ、俺はスザンヌとの恋も進めていく。

 一石二鳥、ってやつだな。


「服の着こなし、手土産、話し方、なんでもアドバイスしてあげますわ!」

「コルベット様はお優しい方ですし、相手が見た目に強いこだわりを持つ方でなければ、勝算はあるかと」

「……ジゼル、お前、結構厳しいな」

「申し訳ありません。率直な意見を伝えた方が役に立つかと」

「いや、まあ、うん、それはそうなんだけど……」


 今の俺って、そこまで酷い顔してるか?

 まあ、確実にイケメンではないが、痩せたし、見るのも嫌ってレベルじゃないよな?


 うん。そうだ。そうに違いない。日頃、ベルやジゼルという超がつくほどの美形を見慣れているだけで、俺も別に底辺じゃないはずだ。


「じゃあ、わたくしたち、そろそろ失礼するわ」


 ベルがそう言うと、ジゼルが先に立ち上がった。そして自然に、ベルへ右手を差し出す。


「どうぞ」

「ありがとう、ジゼル」


 二人はそうやって手を繋いだまま、俺の部屋を出て行った。

 ジゼルにも使用人部屋を与えているが、どうせ、その部屋に帰ることはないんだろう。


「……俺はこんな広いベッドに一人だって言うのに」


 溜息を吐いてベッドに寝転がる。

 眠ろうかと思ったが、なぜか眠気がやってこない。


「なんか、飲むか」


 温かい物でも飲めば、心地よく眠れる気がする。

 俺は部屋を出て、厨房を目指すことにした。

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