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不運が隠れていた

運命の女神のいたずらで、悲劇の舞台に立たされた2人の恋愛物語です。

作者のはげみとさせていただきますので、もしよろしければ、ブックマークをお願い致します。

一生懸命、書き続けます。

是非是非、お楽しみください。

 陽光(ようこう)はオニ族の若い王子真龍(しんりゅう)を見た。


 そして、若い王子の決心が固いことを強く感じた。


「それでは仕方がありません。お手合わせしましょう」


「ありがとうございます。ところで陽光さん。私はオニ族の宝具である「かげろう切り」という槍で戦います。とても気が引けますが、あなたとの実力差のハンディキャップでよろしいでしょうか」


「えっ!! 私の剣も実は」


 陽光がその後を話そうとしたのだが、それはできなかった。


 血気に流行った真龍の槍の連続突きが始まったからだった。


 何百回の突きが、ほぼ一瞬と思えるような瞬間に繰り出された。


 ところが、陽光はそれらの超光速の突きを何の苦もなくかわしていた。


 時にはかわすことができない突きもあったが、その時は剣で払った。


 槍の強い突きを剣が払った。


 キーン、キーン‥‥


 耳をふさがなければいけないほどのかん高い音が何回も響いた。


 突然、真龍が後ずさり、暘光に聞いた。


「普通の剣ならば、そのように何回も、「かげろう切り」の突きを払うと破壊されてしまうはずです。あなたがお使いになられている剣は相当なものですね。びくともしていません」


「申し訳ありません。これはいただいたものです」


「誰からですか」


「あなたの姉上、王女月夜見様からです」


「‥‥そうでしたか、すると、その剣はまさか」


「お考えのとおりです。オニ族の最高の宝、宝剣黒斬です」


「それは確か、父上が姉上に贈られたもののはずですね。ということは、姉上があなたに贈られたということでしょうか」


「そのとおりです」


「うそをつかないでください。あのように気高い姉上から、あなたがが無理矢理奪ったのか、それともたぶらかせて捕ったのでしょう!! 」

 そう言うと真龍は、また攻撃の構えを見せた。


 真龍には、なんとなく姉の気持ちがわかった。


 彼は姉が大好きだった。


 そのため、姉の心を奪ったと感じた陽光という人間が許せなかった。


 彼は全力で攻撃を開始した。


 鋭い槍の突きを繰り返したが、とうとう最後の奥義を行おうとした。


 真龍が槍を突き出す攻撃を止めた。

 そして、槍を縦に立てた。


 陽光は思った。


(その手を出すのですか、ダメですよ。もう知っています)


 創造力が強い陽光は、かって既に、槍による特別な攻撃を受けたことを考えたことがあった。

 想像の世界で何回も体を反応させて、剣で反撃したことがあった。




 真龍が縦に立てた槍を振り下ろした。


 それは正面から行われた突きによる攻撃と全く次元の異なる攻撃だった。


 自分より離れた遠い場所から、振り下ろされる槍の動きを予想できないのが普通だった。


 しかし、陽光は超感覚でもう知っていた。


 ほんのわずかな瞬間、陽光は真龍にできるだけ近づいて密着した。

 槍が振り下ろされることが不可能な場所に身を置いた。


 そして、真龍のそばで彼の剣が一閃した。


 ‥‥‥‥


 戦っていた2人の間に距離ができた。


 陽光が振った宝剣黒斬は、真龍の体を一閃していた。


 そして、真龍は倒れ息絶えた。




「勇敢な戦士だった。気高く勇気をもって攻撃してきた」

 振り下ろされた槍は、ほんの少し陽光の右ほほをかすっていた。


 陽光の右ほほから、わずかに血が流れていた。


「ひえ―― 王子様がやられた」

「大変だ」

「最強のオニ狩り剣士にはかなわない」


 指令管を失ったオニ族の軍隊は大混乱になった。


 大混乱となったオニ族の兵士達に、陽光が呼び掛けた。


「あなた達の世界に今すぐ帰りなさい。後を追うことはしない。お願いですから、もう二度と人間の世界に侵攻しないでください。あなた方は元々私達です。それに私達もあなた方になります」




 戦いの一部始終は、死人の国でも監視していた。


 月夜見の霊気で燃やされた炎の中に全てが映されていた。


 彼女は心の中で苦しんでいた。


(弟の真龍が陽光さんの剣によって命を落してしまった。しかも、その剣は私が陽光さんに贈った宝剣黒斬だった)


 月夜見は強い視線を感じた。


 そちらの方を見ると、兄の第5王子深黒が厳しい表情でこちらをにらんでいた。


 やがて、炎に映しだされた光景に変化が現われた。


 死人の国から人間界に向けて半円に開けられた、黒い半円の奥に向かって、陽光が激白し始めた。




「私は今日、オニ族第10王子真龍様と戦い勝つことができた。しかし、はっきりさせなければならないことがある‥‥ 」


「‥‥それは、戦いに使った剣が、私が、オニ族の王女月夜見から無理矢理奪ったものだからだ。そのおかげで、槍の宝具かげろう切りを見事に使いこなした王子に勝つことができた」


(「無理矢理奪った」と、それは事実ではないな。陽光は妹が嫌疑(けんぎ)をかけられ、罰を受けるのを避けたのか!! そこまで考えるなんて、たいしたやつだ!! )


 第5王子深黒は心の中でひそかに思っていた。


 一方、オニ族の王宮の中には大混乱が起きていた。


 炎王に、第3王子真龍に槍を教えた師範が説明していた。


「炎王様。法具かげろう切りを使い、真龍王子様が繰り出す奥義は無敵なのです。ただ唯一、あのオニ狩りのように、相当の剣士がオニ族最高の宝剣黒斬を自由に使った場合は別です」


「そうか。わかった。真龍は陽光に勝っていたのだな―― 宝剣黒斬を無理矢理、月夜見から奪った卑怯者に負けてしまったということか」


 炎王の話しを聞いて、槍の師範は心からほっとした。


 しかし、月夜見は心をかき乱していた。


(陽光さんが弟のかたきになってしまった。それに宝剣黒斬は私が差し上げたのに、私から奪ったなんて嘘をついて、私のことをかばっていただいたのですね。でも、あなたの名声を汚せません)


 月夜見は炎王のところに行き、ほんとうのことを話そうとした。


 すると、誰かが彼女の手をしっかりと握って止めた。


 それは第5王子深黒だった。


 深黒はだまって月夜見を見つめ、首を振った。


 オニ族10万人の軍勢は空に飛び上がり、死人の国との道を通って撤退した。


 全て撤退が完了すると、空に浮かんでいた黒色の半月は消えた。




 陽光は女王アマテラスの前で戦いの結果を報告していた。


「陽光よ。やはり君は最強だから、席次第5位ではなく、せめて席次第3位とさせてくれ。それから、一つ聞きたいことがある」


「女王陛下何でしょうか? 」


「君はオニ族最高の宝、宝剣黒斬を、ほんとうに、王女月夜見から無理矢理奪ったのか? 君が最も嫌うことだからあり得ないと思ってね」


「‥‥‥‥‥‥ 」


「そうか。君の答えはわかりやすいな。今度、ほんとうの経緯を教えてくれ」

お読みいただき心から感謝致します。おもしろいかとても心配です。


※更新頻度

週1回、日曜日午前中です。不定期に午後や土曜日に更新させていただきます。

作者のはげみとさせていただきますので、もしよろしければ、ブックマークをお願い致します。

一生懸命、書き続けます。





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