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Oからでも‥‥かならず‥‥ 想い出す

後、2エピソードで終局を迎えます。

運命の女神のいたずらで、悲劇の舞台に立たされた2人の恋愛物語です。

作者のはげみとさせていただきますので、もしよろしければ、ブックマークをお願い致します。

一生懸命、書き終えます。

是非是非、お楽しみください。

 根源の道の途中、日向光(ひゅうがこう)は周囲の美しい光景に心を奪われていた。


「なんてたくさんの光りの粒子なんだろう、夜空の星々のような優しいきらめき。無限の数なのに、なぜか全べて違う光り方をしているのがわかる。今、私に向かって輝いてくれる」


 彼が見とれていると、不思議なことが起きた。


 輝いている光の粒子の中で、一定の数の固まりが彼に向かって来た。


 そして、彼の体の中に吸い込まれた。




 彼の体は衰弱して、とても弱っているともに、病魔に冒されていた。


 高い塔の上の牢屋に横たわっていた暖光の心臓の鼓動は止まりそうだった。


 そして鼓動の間隔が長くなった彼の心臓のダメージになったのは、この冷気だった。


 月姫の冷気は王都の空気を覆っていたが、牢屋の中も例外ではなかった。


 もう口を動かすことができない彼は心の中で考えていた。


(月姫様。1回しかお会いすることができませんでしたが、その時、もう何回もお会いしたことがあったような気がしていました。お近くまで来ていただけたのですね。私が死んでもきっとまた会えます)


(悲・し・ま・な・い・で‥‥ )


 その世界で、彼は自分の名前とどのような生涯だったか想い出した。


(私の名前は暖光‥‥ )




 根源の道に再び彼は戻った。


 自分が1回転生したことを完全に想い出していた。


 ただ、その前があるような気がした。


 根源の道がそれを示していた。


 すると突然、灰色単色の空間に数多く輝いていた光の粒子の1群が強く輝いた。


 強く輝いた一群は、彼の元に引き寄せられるように近づき、体の中に吸収された。


 彼女の心が凍り付き、外気を絶対零度まで下げてしまう力が備わった理由がわかった。


 備わってしまったんだ‥‥


(ほんとうに、辛く悲しい経験をさせて)


 もう、その方法しかなかった。


 魔王アスモデウスが、人間界への魔族の大侵攻と自分の命を引き換えにしたのだった。


 突然、運命が2人を引き裂こうとした。


「月美さん。もう一度、御一緒に高い高い空に登りたいのですが」


 大日皇子(おおひおうじ)だった彼は、彼女にそれだけ、告げた。


 しかし、彼女には全て伝わった。


(自分が犠牲になり、人間界への魔族の大侵攻を防ぐしかなかった。しかも、自分は宇宙空間で、彼女の腕の中で冷たくなるだろう。ほんとうにごめんなさい。次の転生では必ず‥‥‥‥ )




 根源の道に再び彼は戻った。


 自分が2回転生したことを完全に想い出していた。


 ただ、そのさらに前があるような気がした。


 根源の道がそれを示していた。


 するとまた突然、灰色単色の空間にたくさん輝いていた残り全ての光の粒子が強く輝いた。


 ざわめいた。


 そして、彼の元に引き寄せられるように近づき、体の中に吸収された。




 不思議なことに、瞬間、意識が変った。


(えっ、高い!! ここは、山の上?? 違う坂だ。天から地上に降りている)


 彼の眼下には、はるか遠くまで見渡せる景色が広がっていた。


 調度良い岩があり、となりに彼女が座っていた。


(夜美さん? いや違う――オニ族の王女、月夜見(つくよみ)様。そして自分はオニ狩り剣士陽光)


「月夜見様。最高神様が転生後、3回のチャンスを約束してくださいました。私はあなたのことを必ず想い出します。だから大丈夫です」


「陽光さんにそう言われると、その通りになると自信がわいてきます。ただただ、ほんの少しだけですけど、不安があります。ですから―― 」


 彼女は緑色の翡翠(ひすい)で造られた2つの指輪を出し、1つを自分の薬指にはめた。


(緑色の翡翠は美しかった。愛し合う2人の永遠の気持ちが輝いていた)


 そして、もう1つを陽光に渡した。


 陽光は小さくうなずいて、翡翠の指輪を自分の薬指にはめた。


「お茶を持ってきています。どうですか」


「いえ。今は止めときます。転生後の世界で一緒に飲んでください」


 よもつひら坂の頂上近く、そこから広い世界が見えた。 


 夜の暗闇に包まれていたが、無限の星々や満月の光りが照らしていた。


 最高神の声がした。


「さあ2人よ。そろそろ時間だ。今、おまえ達2人のために「転生の引き糸」を作った」


 どこからかわからないが、2人がいる場所からはるかに高い空から2つのくもの糸が伸びてきた。


 それは、2人の体にしっかりと貼り付いた。


 ‥‥‥‥


 やがて夜明けになった。


 よもつひら坂の岩の上には誰もいなかった。


 陽光と月夜見の姿は消えていた。




 気が付くと、日向光(ひゅうがこう)は再び根源の道に立っていた。


 彼は全てを知り想い出した。


(ああ―― そうだ、何で忘れていたのだろう。必ずやりとげよう!! )


 根源の道で、彼は力一杯振り返った。


 そして、力強く歩き出した。


 不思議なことに、すぐに回りの状況が変った。


 普通の洞窟の中を歩いていた。


 すると、遠くには縄が張られている出口が見えた。


 太陽の光りが差し込んでいた。


「陽光であった頃の大切な大切な約束を果たすぞ」


 やがて、彼は縄をくぐり外に出た。


 そこには夜美、月夜見がいた。


 2人は無言のまま抱き合った。


 無限の次元、無限の時間を超えて、


 結ばれるべき2人の世界線が今、1つになった。




 天上界ではたくさんの神々がその様子を見ていた。


 そして1人の神を除いて、全ての神が拍手した。


 2人を心の底から祝福した。


 運命の女神だけが抗議の声を上げた。


「これはおかしいです。たかが人間が、神の御技(みわざ)を否定するなんて!! 」


 最高神が運命の神を注意した。


「これで良いのだ。我々神々では絶対であってはいけない。だから、運命の女神であるお前の力も絶対ではない。人間には抗う強い力がある」


「でもでも、認められません。美しい悲劇が完成しないじゃないですか。人間達もよく知っている最高の劇作家シェークスピアのロミオとジュリエット以上の!! 」


「お前は、そんな理由だけで、あの2人の運命に干渉していたのか!!!! 」


 最高神は雷のような声で運命の女神をしかった。




「なによ!!!! 」


 運命の女神が抗議した。


 すると、運命の女神が黒い炎に包まれた。


「いかん。闇落ちし始めた。仕方が無い、天上界から追放する」


 そして、最高神は黒い炎に包まれている運命の女神を指差し言った。


「落ちろ!!!! 」

お読みいただき心から感謝致します。

終局に御期待ください。

お読みいただいた方全てに、ほんの小さなプレゼントを贈ります。


※更新頻度

週1回、日曜日午前中です。不定期に午後や土曜日に更新させていただきます。

作者のはげみとさせていただきますので、もしよろしければ、ブックマークをお願い致します。

一生懸命、書き続けます。





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