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2人は転生した(2回目)

第2章の開始です。

運命の女神のいたずらで、悲劇の舞台に立たされた2人の恋愛物語です。

作者のはげみとさせていただきますので、もしよろしければ、ブックマークをお願い致します。

一生懸命、書き続けます。

是非是非、お楽しみください。

 翌朝、暖光(だんこう)は商人とともに、峠を越え王都がある盆地に向けて出発しようとした。


 月姫は見送りに出た。


「月姫様。王都からの帰り、またお顔を見に立ち寄らせていただいてよろしいでしょうか」


「はい。もちろんです。またお会いできることを楽しみにしています」


「それでは!! 」


 峠の道を下り、遠くの王都に向かって小さくなっていく馬車を月姫はいつまでも見ていた。




 運命の女神は考えていた。


「あの2人、このままでは2回目の転生で、しっかり結ばれてしまうわ。どうしてあげようかしら。‥‥‥‥‥そうそう、こうすれば良いわ!! 私って天才!! 」


 運命の女神は、たくさんの神々が異世界を管理している部屋の通路を歩いていた。


 すると、ある神の光る球体に近づいた。


 その神はたまたま不在にしていた。


 運命の女神はこっそりと言った。


「ラッキー!! 」


 その右手で他の神の光る球体を指差し、運命の女神は力を行使した。




 その異世界での事実が、一瞬にして変った。


 月氏王国の国王には、王女が1人だけだった。


 しかし、王女が2人になった。


 月姫に妹ができたのだった。


 妹は静姫と言った。


 ある日、王宮の巨大が食卓で国王、王妃、静姫が晩餐(ばんさん)をとっていた。


 静姫は生まれつき優しく控え目で、国王夫妻からの大きな愛を受けていた。


 奇病もちの姉のことを、夫妻は自分の娘とは思っていなかった。


 反対に、さらさらの黒髪、ブラウンの瞳の静姫の姿を見るのがとても好きだった。


 ところが、


 今日の静姫の様子がおかしかった。


 食事が少しも進まず、最後には全く止まってしまった。


 そして下を向き厳しい表情で黙り続けてしまった。


 心配した王妃が聞いた。


「静姫。どうかしたの? どこか調子が悪いの? 」


「そうそう。私もとても心配だ。何か心配ごとがあったらお父様に言ってごらん。どんなことでもかまわないよ」


「‥‥お父様、お母様、御心配をおかけして申し訳ありません。私は自分の将来がとても心配になったのです。私はたぶん結婚できません。奇病もちである姉上のうわさが世界中に鳴り響いています」


「大丈夫だよ。必ずお前につり合う立派な婿を捜してあげるから」


「魔物のような姉上と争いが起きても、私を守っていただける強い剣士を夫としたいのです」


「月姫と戦っても勝てる剣士か‥‥ 大丈夫、大丈夫。必ず見つけてあげるから」


「うれしい。お父様、ありがとうございます」


 静姫は涙を一杯ためた目で両親を見た。


 それを見た国王と王妃は、必ず見つけてあげようと心の底から誓った。




 南方の国の産物を積んだ馬車が月氏王国の王都の城門の前に着いて。


「剣士様。ほんとうにありがとうございました。無事にここまで来られました。これが報酬です」


 商人は、金貨がたくさん詰まった袋を暖光に渡そうとした。


「えっ!! 契約では帰路も含まれていましたが。それに、往路だけの報酬にはこれは多すぎます」


 それを聞いた商品は微笑みながら応えた。


「たとえ片道分だけでも、剣士様の御働きに見合った報酬です。それに、この王都で私は大もうけしますので、これしきの金貨、私にとっては必ず、はした金になりますから――


――それに。剣士様との初めの契約は今解除します。今すぐ王都を離れ、月姫様の元に!! 」


 暖光の顔は明るく輝いた。


 そして商人に向かって深々とおじぎをした。


 ところが、


 暖光が王都を離れ、峠の月姫の元に急ごうとした時、大きな悲鳴が起きた。


 王宮の城壁のすぐそばに巨人が現れた。


 魔界から瞬間移動してきたのであった。


 巨人は城壁に近づくと、両手を打ち下ろした。


 大きな爆発音とともに城壁がこながなに打ち砕かれた。


 すぐに、王都を守る近衛軍団が抑撃に向かった。


 近衛軍団の剣士達は勇敢に戦い始めた。


 しかし、巨人の力は兄弟だった。


 そして、近衛軍団はアリのように粉砕され始めた。




 談光と商人は城門のそば、大変驚いてその様子を見ていた。


 そのうち、談光が巨人に向かって歩き始めた。


「剣士様。まさか!! 行かれるのですか!! 」


 全ての人を魅了する笑顔で暖光は笑った。


「巨人に王都を破壊されたら、商人さんが商売するのが不可能になります。すると、私がいただいた報酬が、ぼったくりになります」




 談光は剣を抜いた。


 それは宝剣黒斬。


 黒斬の刀身の光りは周囲を照らした。


 同時に遠くから何かが暖光に大変な速さで近づいてきた。


 それは馬だった。


 そして、その馬は暖光のそばにピタリと立ち止まった。


 もちろん、談光がその馬を見るのは初めてだった。


 しかし、その名前は知っていた。


「コウよ。行くぞ。今まで王都では楽しそうな日常が流れていたのに―― 許せない!! 」


 彼はコウにまたがるとすぐに、巨人がいる方に向かって駈けだした。


「剣士様。損なことをしなくても。早く、その馬でこの場から逃げて月姫様のもとへ」


 また彼は笑った。


「私はいつも損な役回りです。でも、きらいではありません」


 最後には人馬一体となって、巨人に向かって突撃した。




 巨人は、自分に近づくものを見て、思い切りこぶしを振り下ろした。


 彼は既に巨人の真下にいたが、振り下ろされたこぼしと同じタイミングでジャンプした。


 そして、巨人の腕の上を素早く駆上がり肩の上に乗ると巨人の首に向い黒斬を一閃した。


 首を切られた巨人は命を落し、その場に倒れた。


 大音響が起き、巨人はその場で動かなくなった。


 やがて、暖光の回りに多くの人々が集まった。


「強い剣士様だ。たまたまいらっしゃったのか」


「手に持っていらっしゃるのは、伝説の宝剣。黒斬」


「すると、あの方はオニ狩り剣士の末裔か」


 大群衆が集まり始めた。


(いけない。早く、この場から立ち去ろう)


 談光はコウに乗ろうと動こうとした。


 すると、


 カチ


 知らないうちに首に首輪が回されていた。


「えっ―― 」


 振り返ると、多くの剣士達に囲まれていた。


「剣士様。逃がしませんよ。私は月氏王国の剣士長です。是非是非。王宮で国王夫妻に御対面いただけます。それに王女様もお待ちです」


「月氏王国の王女様とは、月姫様のことですか? 」


「いえいえ。冷酷魔物のことではありません。静姫様という素敵な王女様です」

お読みいただき心から感謝致します。

第2章からの展開、終局に御期待ください。


※更新頻度

週1回、日曜日午前中です。不定期に午後や土曜日に更新させていただきます。

作者のはげみとさせていただきますので、もしよろしければ、ブックマークをお願い致します。

一生懸命、書き続けます。





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