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2人は転生した(2回目)

第2章の開始です。

運命の女神のいたずらで、悲劇の舞台に立たされた2人の恋愛物語です。

作者のはげみとさせていただきますので、もしよろしければ、ブックマークをお願い致します。

一生懸命、書き続けます。

是非是非、お楽しみください。

「私は暖光(だんこう)、南国から参りました。月氏国を守る聖女様。私は単に南国の産物を売りに来た商人の護衛役にすぎません」


「不思議です。たくさんの言葉があふれます。生まれてから今まで、私は同じ言葉しか話すことができなかったのです。あなたとは、いっぱい、たくさんの言葉を話せますし、お話ししたいです」


 さらに、月姫は彼に微笑みながら言った。


「陽・光・様‥‥ 」


「えっ‥ 違います。私は暖光と申します。それにしても、なぜ、このような山奥にあなたのような娘さんがいらっしゃるのでしょうか? 」


「‥‥ お話するのはとても恥ずかしいのですが、私は生まれた時から奇病にかかっているのです。人間とは思えないような容姿・不思議な力、そしてその力が発動する時には自分ではなくなってしまいます」


「自分ではなくなるとは? 」


「別の人格が外に出てくるのです。特別な記憶、別の異世界や世界線で生きた誰かになってしまうのです」


「さきほど、私のことを陽光と‥‥ 」


「たぶん、前に生きた別の異世界や世界線では、私にとって、とても大切な方だったのでしょう」


 暖光は優しい性格だった。


「‥‥お(つら)いでしょう。お願いがあります。連れがもう一人いますが、今日、月姫さんのお家に泊めていただけませんでしょうか」


「ただただ広いだけで、何もおかまいできませんが」


「大丈夫です。大変ありがたいです」


 気が付くと吹雪はピタッと止まっていた。


 それに気温も上がり、驚くべきことにポカポカと暖かくなっていた。


 月姫に案内され、暖光と商人は彼女の家に向かった。




 峠の深い山の中、とても細い道が続いた。


 ところがやがて、大変広い平地に出た。


「へ―― びっくりするほど広いですな!! 」


 商人が驚きの声を上げた。


 月姫の家は、1つの城と言って良いほどだった。


 家の中に入り、3人は大広間の机に腰かけた。


「前は峠を守るため、月氏国の千人の軍隊が駐屯していたのです。今は私だけですが」


「娘さんは?? 」


「紹介が遅くなりました。私は月氏王国の第1王女月姫と申します。奇病もちで、しかも別の人格が現れると何人もの命を奪ってしまうので、国の守りのため、ここが私のための離宮になりました」


「月氏王国の王もひどいですね!! 自分の娘をこんな辺鄙(へんぴ)な場所に置くとは―― 」


「父にとっては苦渋の選択だったのかも知れません。でも、おかげで今、談光様とお会いすることができました。お名前のとおり、暖かい光に照らされているみたいです!! 」


 月姫と暖光の話しを聞いていた商人が気を聞かせた。


「月姫様。私は少し疲れ気味なので別室で休ませていただいてもよろしいでしょうか」


「気が付かなくて申し訳ありません。お部屋を御案内します。ただ、もう何年も使っていないので、とても汚いと思います。お許しください」




 月姫が商人を部屋に案内した後、大広間に戻ってきた。


 彼女と暖光は話し始めた。


「月姫様。別の人格が現れるそうですが―― 」


「はい。生まれてから、何回も何回も現れました。私は別の異世界・はるかな昔では、死人の国オニ族の王女月夜見(つくよみ)という女性でした」


「オニ族ですか、私の家系は超古代にオニ狩り剣士だったと伝承されています」


「オニ狩り剣士ですか。名前からしてオニ族の敵だったのですね」


「すいません。すいません。お気を悪くなさらないください」


「いえいえ。敵だと言っても王女月夜見は、あるオニ狩り剣士を心から愛しました」


「‥‥ そうなんですか。大変だったでしょうね」


「私には別人格・もしかしたら私自身だったのかも知れませんが、王女月夜見とオニ狩り剣士との素敵な想い出の記憶を想い出すことができます」


「月姫様。もしかしたら、そのオニ狩り剣士の名前は? 」


「はい。最初、私は暖光さんのお名前を間違ってしまいましたね。そのオニ狩り剣士の名前は陽光様といいます。記憶の中で覚えている容貌は、談光さんとそっくりです。恐いくらい似ていらっしゃいます」


「そうですか。びっくりしました」


「まさか談光さんは別の人格の記憶をお持ちではないですよね」


「いいえ」


 彼のその言葉を聞いた時、月姫はとてもがっかりしたような表情をした。


「それに‥‥ 私には、もう一つの記憶があります」


「もう一つ。あるのですか」


「ごく普通の平民の娘だったのですが。過酷な運命に攻められ、愛する人が彼女の腕の中で命を落さざるをえなかったのです」


「それは悲しくて過酷な!! 」


「その時の自分の名前を覚えています。月美といいました。そして愛する人は大日皇子(おおひおうじ)といいました」


 2人の会話はそれから永遠にずっと続いた。


 時々会話が止まる時もあったが、互いの沈黙の時でさえ、2人の気持ちは強く通い合った。




 いろいろな異世界を管理している天上界で、大問題が発生していた。


 ある神が管理している異世界に、運命の女神が力を及ぼした嫌疑(けんぎ)がかけられていた。


「最高神様。私が管理している異世界に運命の女神が力を及ぼし、ある2人の男女の運命を変えてしまいました。これは天上界のおきてに違反します。運命の女神に御処分を願います!! 」


 月夜見つくよみ陽光ようこうの転生は、最高神が秘密に力を及ぼしたことだった。


 そのため、最高神は運命の女神に強い処分はできなかった。


「運命の女神よ。今のことはほんとうか!! 本来は神としての力を奪うなど厳しい処分をくださなければならない。しかし、気まぐれな性格であることは仕方がない」


「最高神様。もともと私が管理していた異世界にいた2人が同じ異世界で再会する世界線に転生してしまいました。まさか!! 最高神様がなにかされましたか!! 」


「‥‥‥‥ 運命の女神には他の神が管理する異世界に自分の力を二度と行使してはならない。今日のところは口頭で注意することにとどめる」


 最高神は後ろめたい気持ちを隠したまま奥に引き込んだ。


 運命の女神はこっそり微笑んでいた。




 運命の女神は、たくさんの神々が異世界を管理している部屋の通路を歩いていた。


 そして歩きながら何気に、別の神々の光る球体を見ていた。


 すると、ある神の光る球体を見た時、気づいてしまった。





「またまたまたまた!! 最高神のじいさんめ、私に隠れてなにをしたの!! 」


 光る球体には無限で優しく見つめ合っている月姫(月夜見)と暖光(陽光)が映っていた。

お読みいただき心から感謝致します。

第2章からの展開、終局に御期待ください。


※更新頻度

週1回、日曜日午前中です。不定期に午後や土曜日に更新させていただきます。

作者のはげみとさせていただきますので、もしよろしければ、ブックマークをお願い致します。

一生懸命、書き続けます。





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