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2人は転生した(1回目)

第2章の開始です。

運命の女神のいたずらで、悲劇の舞台に立たされた2人の恋愛物語です。

作者のはげみとさせていただきますので、もしよろしければ、ブックマークをお願い致します。

一生懸命、書き続けます。

是非是非、お楽しみください。

 大日皇子(おおひおうじ)は銀色のオーラに包まれた。


 不思議なことに、山の上から彼を見ていた月見も銀色のオーラをまとった。


 戦場を見ると、人間の軍勢が布陣している陣地に向かって、魔物の軍勢から何かが飛び出ていた。


 それは、魔物の中で最強、魔王の近衛軍団である黒剣士だった。


 1万人くらいの黒剣士は、規則正しい陣形を組み、人間の陣地に突撃していた。


 月美は山の上から見ていたが、大日皇子のために祈った。


「お名前は知りません。しかし、あなたはみんなのためにがんばる方。この地を通したら、人間は全滅・皆殺しになります。力を存分に振うことができますよう!! 」




 大日皇子の体には力がみなぎっていた。


「存分に戦える方だけでかまいません。私に続いてください!! 」


 そう言うと、彼は乗馬し駆けだした。

 疾風のようだった。


 走りながら詠唱を始めた。


「はるかなる(いにしえ)、何重の次元を超えた前の世界の英雄を助けた宝剣、黒斬よ! 闇をもたらすものを切れ!! 」


 黒斬が一振りされた。


 その剣圧と剣風は、銀色に光る大きな刃となり黒剣士達を横断した。


 黒剣士達は全て切られ消滅した。


「わ――っ」


 大日皇子の後に従っていた兵士達から大歓声が起きた。


 その余勢をかって、人間の軍団は魔物軍を散々打ち破った。


 やがて、魔物の大軍は人間界との境界を越え撤退して行った。


 人間の方には、ほとんど戦死者が出なかった。


 戦いが終了した後、大日皇子は戦場のそばにある山に1人で登り始めた。


皇子(おうじ)様。どこに行かれるのですか。あれだけの奮戦、お体も大変お疲れだと想います。早く王都にお帰りになったらどうですか」


「とても気になっていることがあるのです。この山の上から私を支える特別なエネルギーを感じました。そのおかげで、魔物との戦いの中で、エネルギーが枯渇しなかったのです」


 やがて、山頂に近づくと山小屋が見えた。


 そして、その山小屋の前には1人の若い娘が出迎えていた。


 彼女は銀髪の美しい髪の毛、赤い瞳で彼を見ていた。


(えっえっ こんなに美しい女の人がいるの!! でも前にどこかで何回も見たことがある)


 彼女は彼を見るとにっこりと微笑んだ。


「大勝利、おめでとうございます」


「ありがとうございます。ここで、私のために祈っていただいたのですね。でも魔物の中には飛翔できるものもいます。恐くなかったのですか」


「いえいえ。全然恐くありませんでした。あなたが魔物に向かって突撃した瞬間、人間の勝利は決まっていたと思います」


「‥‥‥‥ほんとうにありがとうございました。失礼ですが、前にお会いしたことはありますか」


「たぶん。ないと思います。しかし、私の心がそうではないと言っています。不思議なことですが」


「それでは、今日のところは失礼します」


「はい」


 大日皇子は後ろを向いて帰ろうとした。


 しかし、数歩歩いたところで再び振り返って言った。


「必ず。必ず、また来ます。今日、私のために祈っていただいたお礼をしなければ」


「お礼などよいのです。でも、またお会いしてください」


 2人は再会することを確認して別れた。




 その頃、大日皇子がいなくなったことに気が付いた王宮内は大騒ぎになってい。


 大王が近習達に聞いた。


「おまえ達がいて、この戦時中に皇子を外出させたのか」


 年長の近習が代表して応えた。


「皇子様は、戦場に出られました」


「えっ!! 」


「『最も戦うことができ、戦力にならなければならない自分が出陣しないのは大罪に当たる。』とおっしゃり、甲冑を着て宝剣黒斬を持たれ、魔物達の戦いの場に出られました」


「そうか。そこまで決意した皇子を止めることは誰にもできないな。もう、あの子の幸運を祈るしかない」


 その時、戦場から伝令の早馬が王宮に到着した。


「大勝利。大勝利です。大日皇子様が自ら先頭に立ち、魔物軍に突撃し大損害を与え、魔物軍は撤退しました。大日皇子様が多くの黒剣士を切るとともに、味方を鼓舞されました!! 」


 大王は大変喜ぶとともに、大変驚いた。


「皇子は今日が初陣だぞ。それにもかかわらず、存分に力を発揮して魔物を撃退した。大神官よ、やはりあの子は転生者か」


「そうとしか言えません。たぶん、前世でも宝剣黒斬を振っていらっしゃたのではないかと思われます。それならば、私には思い当たる英雄がいます」


「誰だ」


「神話の中で人間最強の剣士とされるオニ狩り剣士陽光です」


「その英雄はどうなったのだ? 」


「人間の宿敵であるオニ族の王女月夜見と深く愛し合い恋人になりました。しかし、運命の女神がそれを許さず。2人は突然姿を消しました。人間とオニ族との間の憎しみを消したのです」


「もしかしたら、皇子が生まれた時に薬指にはめていた翡翠(ひすい)の指輪が関係するのか? 」


「はい。たぶん、王女月夜見の転生者も同じように薬指に緑色の翡翠の指輪をはめているでしょう」


「皇子と結婚できる王族や貴族の間で、そのような指輪をはめて生まれた娘の話は聞いたことがない。すると、恋人の転生者は平民以下の下層の身分に生まれてきたということだな」


「大王様。どうでしょうか、切にお願い申し上げます。仮にそうだとしても、この世に同時に2人が転生されたのであれば、結ばれることをお許しいただけませんでしょうか」


「いやだめだ。この世界、我が国の歴史・土台を根底から崩してしまう。今後、皇子が平民と話すことを固く禁じる。そのために、皇子を監視する100人のものをつけよ」




 大日皇子は単身で王都に帰還した。


 彼の帰還日時はあらかじめ知らされており、住民達は大歓声で彼を出迎えた。


 王宮の謁見の間で、彼は勝手に出陣したことを大王にわびた。


「いかに自分の力に自信があったとはいえ、皇子としてやってはいけないことだったな。今回の勝利の功績もあるが、身勝手な出陣の罪は消えない。罰を与える。今後平民と会ってはならない」


 その後、大日皇子を常に監視するため100人の兵士が付けられることが告げられた。


 それを聞いた時、一瞬、大日皇子の顔は曇ったがすぐに元に戻った。


 彼はどんな状況になっても希望を見つけることができる楽観的な性格だった。


(100人の監視者がいようとも、絶対に月美さんに会いに行こう)

お読みいただき心から感謝致します。

第2章からの展開、終局に御期待ください。


※更新頻度

週1回、日曜日午前中です。不定期に午後や土曜日に更新させていただきます。

作者のはげみとさせていただきますので、もしよろしければ、ブックマークをお願い致します。

一生懸命、書き続けます。





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