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2人は転生した(1回目)

第2章の始まりです。

運命の女神のいたずらで、悲劇の舞台に立たされた2人の恋愛物語です。

作者のはげみとさせていただきますので、もしよろしければ、ブックマークをお願い致します。

一生懸命、書き続けます。

是非是非、お楽しみください。

 運命の女神はとても満足した。


「ロミオとジュリエット」をはるかに超える恋愛悲劇が完成したわ。敵対する種族にそれぞれ生まれた2人は、運命に抗うことができず命を落しました。これから転生したとしても赤の他人、永遠の別離ね」


 ただ、今のところ女神は気が付いてなかった。


 2人は永遠に別れたわけではなかった。


 3回目の転生まで、相手のことを想い出すチャンスがあった。



 

 異なる次元、異なる時間の世界に2人は転生した。


 ある異世界、ある人間の国を支配する大王(おおきみ)の家に跡取りが生まれた。


 巻き毛がとてもかわいい男の子だった。


 現大王(おおきみ)は、その子に「大日(おおひ)の皇子」と名付けた。


 大変不思議なことがあった。


 大日の皇子は左手の薬指に、緑色の翡翠(ひすい)の指輪をしていた。


 大王は、大神官にその理由を聞いた。


「大神官よ。我が跡取りの大日皇子は、指輪をはめて妃の体から出て来た。これはどういうことか、何か悪いことがあるのか」


「大王様、たぶん皇子様は転生者なのでしょう。生まれた時から指輪をはめているということは、よほどの因縁なのでしょう。薬指ということはきっと、心の底から愛する恋人がいたのでしょう」


「恋人か? 」


「はい。よほど愛し合ったが、前の世界では結ばれなかったのに違いありません。きっと相手もこの世界に転生しています。ただ、どんな身分でどんな境遇で生まれたのか‥‥ 」


「大王の妃にはなれないような身分かもしれません。その時、皇子様は大変苦しまれるでしょう。女性、特に皇子様の結婚相手になれる可能性がある女性、翡翠(ひすい)の指輪をしたものに御注意を! 」


「そうか! そうだな! 私はこの子を苦しませたくない」


 そこで、大王は自分の子供に近づくことができるものを限定した。


 結婚相手となりそうな女性は絶対に近づくことができないようにしたのであった。


 原則として、24時間、回りの近習を男性だらけにしたのであった。


 どうしても女性の役割が必要な場合は、極めて老齢な者に限定した。




 特殊な環境の中、大日皇子はすくすくと成長した。


 剣を振れるようになると、大変なことが判明した。


 3才の時、最初に剣を持った時。


 最強と呼ばれた剣術指南役に勝ってしまった。


 剣術指南役は大王に言った。


「大日皇子様にはもう剣術指南役は必要ありません。剣術について覚えなければならない動作を全て知っていらっしゃいます。実践経験に裏付けされています」


「どのくらいの強さか? 」


「私が見たことのないくらい最強です。たぶん、これまでこの世界に今まで出現した全ての剣士より強いでしょう。私など足元にも及びません」


「それほどか!! 」


「さらに、気高い御性格です。正義を第一に重んじられます。それで、大王様にお願いごとがございます」


「私は幸運だな。そんなに立派な息子がいるとわ。お願いごととは何か? 」


「我が国の宝、宝剣を皇子様にお与えください。あの宝剣を使いこなすことができる剣士は今までいませんでした。しかし、ただ1人、皇子様であれば必ず使いこなすことができます」


「そうだな。我が息子が宝剣を振ることで、この国を守り抜くだろう」


 宝剣の名前は、「黒斬」――




 やがて、この国には大問題が起きた。突然魔物が頻繁に出現するようになった。


 魔物達は強く、大王が派遣した軍隊でも討伐することは難しかった。


 ある時、当然、辺境地域が魔物の大軍に襲われた。


 大王の命令により、将軍、韓信が指揮する10万人の討伐軍が派遣された。


 ところが、魔物達との戦いで、討伐軍は大幅な損害を出し、守り一辺倒だった。


 戦線を維持することがとても困難になったが、やがて最強の魔物、黒剣士の大軍団が姿を見せた。


「韓信様、魔物軍に新たな戦力が加わりました。なんと、黒剣士です。本来は魔王の周辺を守る最強の兵士達です。彼らは、人間が使う剣では壊滅させることができません」


「うーん。本来ならば撤退だが、戦線をこの地で維持しなければ、魔物軍は多くの人民が暮らす土地になだれ込み、王都に達し、被害は莫大なものになり我が国は滅びる」


 その時だった。伝令兵が大きな声を上げた。


「援軍だ!! 」


 韓信将軍は幕僚達とともに、テントの外に出た。


 すると、遠くから駆けてくる騎馬があった。


「なんだ―― 1騎だけか―― 大王様からの伝令か? 」


 見ていたみんなががっかりしたが、


 やがて大変驚くことになった。


「あっ!! あれは大日皇子!! 」

「あの年で、世界最強と呼ばれている方だぞ!! 」


 大日皇子が騎馬で近づいてくると、みんながひざまづいて出迎えた。


「皇子様。なにゆえ、このような戦いの前戦に?? 」


「ほんとうにすいません。私が来たことで、みなさんに御迷惑をおかけするかもしれません。でも、敵はここで勝負をつけようと、黒剣士の軍団を投入してきたそうですね‥‥」


「‥‥普通の魔物と異なり、黒剣士は人間と同じように剣術を極め、大変強いそうですね。ですから、私が出て、全て討ち滅ぼします」


 韓信将軍の顔は青ざめた。


「とんでもありません。」


「我が国の最強将軍に、いつまでも馬上の上から話していては失礼ですね」


 大日皇子は下馬した。 


 背の高い若者は、独特の巻き毛の下に柔和で優しい表情をしていた。


 とても明るく楽観的で、愉快な性格がすぐにわかった。


 彼は暖かい顔で優しく韓信将軍に微笑みかけていた。


「大丈夫です。たとえ黒剣士が1万人いようとも、全て私が切り捨てます。この黒斬で!! 」


 そう言うと、大日皇子は黒斬を抜いた。


 無限の時間が経過し、無限の数の次元を超えて同じことが起きた。


 史上最強の剣士が、宝剣黒斬を抜いた。


 突然、周囲の空気に音が鳴り響いた。


「大丈夫です。黒剣士は影狼より弱いですから‥‥『影狼』なんだ?? 」


 皇子は自問自答した。


 しかし、なんでそう言ったのか意味がわからなかた。




 戦場の近くの山の上にある山小屋で、暮らしている娘がいた。


 魔物達との戦いが始まって依頼、山小屋の中の地下室に家族と一緒に隠れていた。


 大日皇子が黒斬を抜き、鳴り響いた音は地下室まで聞こえてきた。


「私、戦場の様子を見てくるわ」


「月美。あぶないから止めなさい」


「大丈夫よ。この戦いに勝利をもたらす方が現れたわ」


 なにげにそう言うと、月美という娘は急いで地下室から出て上にあがった。


 そして家から飛び出すと、山の上から戦場を見た。


 音がする方向を見ると、1人の若者が剣を抜いて天に突き上げていた。


「‥‥私、あの方をよく知ってる‥‥ 」

お読みいただき心から感謝致します。

第2章からの展開、終局に御期待ください。


※更新頻度

週1回、日曜日午前中です。不定期に午後や土曜日に更新させていただきます。

作者のはげみとさせていただきますので、もしよろしければ、ブックマークをお願い致します。

一生懸命、書き続けます。





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