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塔の上の恋人を助けた

運命の女神のいたずらで、悲劇の舞台に立たされた2人の恋愛物語です。

作者のはげみとさせていただきますので、もしよろしければ、作者にエールをいただければ、

ブックマークをお願い致します。

一生懸命、書き続けます。

是非是非、お楽しみください。

「相手が最強と呼ばれたオニ狩り剣士だといっても簡単に我が剣をはじかれて負けるとは―― もう、王位継承者ではいられないな」


 いさぎよく負けを認めた第1王子継炎に陽光は言った。


「1回くらい負けたといって、評価が決まってしまうわけではありません。私は運がよかっただけです。きっと、たまたま鍛錬の量が多かったのでしょう。がまんを重ねてチャンスを捕らえることができました」


「そうですか。でも負けてことで、私はみんなの評価が暴落してしまうことが恐ろしい」


「大丈夫ですよ。あなたの強さは絶対です。私は最後の最後まで一太刀を振れませんでした」


「ありがとう。そう言ってくれと気が楽になる」


 確かに、陽光は相手の心に安心と安らぎを与えるような不思議な魅力があった。


「陽光殿、早く妹の元に―― 」


「はい」




 陽光は7階の螺旋(らせん)階段を登り始めた。


 やがて最上階に造られた巨大な厚い扉が見えた。


 彼は大きな声を出した。


「月夜見さん。危ないですから、扉から出切る限り離れてください」


 宝剣黒斬を抜き、彼は意識を集中させた。


 そして、宝剣黒斬は一閃した。


 扉はきれいに丸く切り取られた。


 そして部屋の中に落ちた。


 陽光は自分で造った通路を通り、部屋の中に入った。


 彼はすぐに月夜見を見つけた。


 2人は見つめ合ったまま、しばらく何も言えなかった。




 陽光がようやく口を開いた。


「遅くなりました」


 ほぼ同時に月夜見が言った。


「こんなに早く来ていただいて、ありがとうございます」


「炎王様はあなたを人質にとればよいと言っていたのですが、侵略を止めてくれるのでしょうか? 」


 月夜見は悲しそうに左右に大きく首を振った。


「父上は怒り出すとその怒りがおさまることはありません。私のことなど、何の価値もないと思っています。侵略は必ず開始されます。私と陽光さんとの関係が許せないのです」


「月夜見様。私は死人の国に行くことはできますか? 」


「大丈夫です。生身の人間であれば無理ですが、あなたは既に月の光のオーラに包まれ守られています」


「月夜見様が私のために祈っていただいているのですね」


「私は生きている限り、永遠に陽光様のために祈り続けます」


 その時、陽光は部屋の外にとても強い気が集まっていることを感じた。


 月夜見はとても明るい顔で微笑んだ。


「敵ではありませんよ。陽光様の強い味方がそろいました」


 部屋の外には7人の王子達がいた。


 正確にいうと、6人の王子と1人の王女がいた。


 第1王子の継炎が言った。


「陽光殿、私達7人の王子が死人の国から行われるオニ族の侵攻を食い止めます。兵士達は我々の命令に従ってくれると思いますが、そうでない場合は戦うしかありません」




「ダメダメダメダメ だめじゃない!! 」


 天井で光る球体の中で、この世界を監視していた運命の女神が言った。


「このままではハッピーエンドになってしまうわ。私が見たいのは恋愛悲劇なのよ。まだ2人が生きているのに、なんで、みんなうまい方向にまとまってしまうの。運命の神の指示どおりに動きなさい!! 」


 運命の女神はしばらく、怒りの表情で黙り込んだ。


 その後異常な、見ていられないような笑顔になった。


「ほほほほ こうすれば良いのね」




 人間の世界、王都ヤマトの王宮に異常が起きた。


 女王アマテラスの目の前に光りの球体が現れ、運命の女神を映し出した。


「あなたは?? 」


「お初にお目にかかります。私はこの異世界を統括する運命の女神です。あなたに通告します。あってはならない恋人がいます。その2人が24時間以内に命を落さないと、この異世界を消滅させます」


「恋人ですか。ああ、陽光と月夜見姫のことですね。そうですか、陽光はもう塔の部屋から彼女を救い出したのですね。運命の女神様は、それがお気に召さないのですか?? 」


「そうです。美しき悲劇にならないじゃないですか。人間最強の剣士とオニ族の王女、なんで結ばれるのでしょうか? 」


「あなた!! ほんとうに神ですか!! 」


「あんまり失礼なことを言うと命を奪いますよ!! 」


「どうぞ―― 私は何も恐くはありません」


 運命の女神は怒り狂い、ほんとうに女王アマテラスの命を奪おうとした。


「この無礼な女に死を!! 」


 光る球体中から、運営の女神は女王アマテラスを指さした。


 ところが。


 何も起こらなかった。


「なんで、なんで、この女は死なないの!! 」


「運命の女神よ。それはだめだ。いかに神であろうとも許されないことだ!!!! 」


「えっ」


 驚いた運命の女神が振り向くと、そこには大きな顔があった。


 全ての神を束ねる最高神だった。


「世界を束ねる神であろうが、そこに生きるものの命を奪うことは許されないぞ」


「わかりました。しかし、最高神様、自分が造った異世界の行く末を決めてもよいのですね」


「それは当然許される」


 運命の女神は女王アマテラスの方に向き直った。


「人間の女王よ。命拾いしたわね。でも、これだけは聞きなさい。陽光と月夜見、この2人が24時間以内に命を落さないと、この世界を店じまいにするわ。わかったわね」


 運命の女神を映していた光る球体は女王アマテラスの目の前から消えた。




 それから、運命の女神はオニ族の王、炎王の前にも現れ同じことを告げた。


「炎王。あなたの考えた通りに物語は進みませんでした。だから、全力で陽光と月夜見の命を奪いなさい」


「女神様。それは無理です。私は息子達に怒られました。息子達は、あの2人を支持するそうです。聞けば、陽光という剣士はなんてすばらしい男なのでしょう」


「それでは、この異世界が消滅しても良いのだな」


「やむを得ません。いかに運命の女神様の御命令であっても」


「ああ、なんてばかな王なの。私は簡単にこの異世界を消滅させる。今まで自ら造った世界の中でも1番のお気に入りだったのに仕方がないわね」


 運命の女神は光る球体とともに炎王の前から姿を消した。


 炎王は謁見の間の玉座から立ち上がり、後方にある控えの間の扉を開けた。


 陽光と月夜見、それに7人の王子達(正確には6人の王子達と1人の王女)が待っていた。


「私はどうすれば良いのだ?? 」


 炎王の顔はとても困った顔だった。


 月夜見が言った。


「祭司を(つかさど)る卑弥呼様にお聞きしたことがあります。運命の女神様だけではなく、全ての神の上に立つ最高神様がいらっしゃるのだと。父上。最高神様にお願いしましょう」

お読みいただき心から感謝致します。おもしろいかとても心配です。


※更新頻度

週1回、日曜日午前中です。不定期に午後や土曜日に更新させていただきます。

作者のはげみとさせていただきますので、もしよろしければ、ブックマークをお願い致します。

一生懸命、書き続けます。





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