表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/40

塔の上の恋人を助ける7

運命の女神のいたずらで、悲劇の舞台に立たされた2人の恋愛物語です。

作者のはげみとさせていただきますので、もしよろしければ、作者にエールをいただければ、

ブックマークをお願い致します。

一生懸命、書き続けます。

是非是非、お楽しみください。

 黒い楯は、第2王子氷雨の奥義、絶対零度の気流を完全に遮断した。


 やがて、氷雨のエネルギーも尽きようとしていた。


 そして、気流の発射は止まった。


 氷雨は言った。


「見事だ。完全な無を作り出した完全な黒い楯だ。我が優秀な2人の弟が、史上最強の人間の剣士を助けたのだ。もう、仕方がないな。気流はもう出ていない。楯を解くがよい」


 陽光は黒い楯から黒斬を引き抜いた。


 それを確認して第5王子深黒が楯を消滅させた。


 絶対零度の冷気の気流を長い間出した後で、氷雨は大変消耗していた。


 よろよろして、ほとんど倒れそうになるのをこらえているようだった。


 部屋の中はまだ絶対零度の影響が残り、大変寒かった。


「ハクション!! 」


 陽光が大きな(せき)をした。


 彼は、これまで4人の王子の傷を止血するために、服は大きく破かれ皮膚がかなり露出していた。


 氷雨はその姿を見た。


「陽光様。強いばかりではなく、心が気高いことがよくわかります。あなたならば、オニ族と人間との間の不幸な関係を直していくことができるでしょう。残りは上の階の継炎兄上だけです。あなたなら―― 」


 力を限界まで出し切った氷雨は、その場にくずれ落ちるように倒れた。


「大丈夫でしょうか」


 心配そうに陽光が聞くと、第5王子の深黒が答えた。


「はい。深い眠りに入っただけと思います」


「それでは、私は上に登ります」


「気をつけてください。最後の第1王子継炎は、やがて死人の国の王を継承する強者です。万全のあなたであれば勝てかもしれませんが、既に消耗しきっているその状態では‥‥ 」


 深黒のその言葉を聞くと、陽光は楽しそうな顔をした。


「そうすると、勝てるチャンスはあるのですね。それならば安心です」




 最上階の部屋で、月夜見(つくよみ)は陽光のオーラを追っていた。


 彼のオーラがすぐそばまで来ていることがわかった


「陽光様。いつものエネルギーの半分もありませんね。その状態で第1王子継炎と戦うのは危険です」


 彼を思う彼女の力は大変強くなった。その体は銀色の輝いていた。


「ヒール」


 陽光が螺旋(らせん)階段を1歩上がった時、上の方から光りが降りてきて彼を包んだ。


「暖かく優しい。月夜見さん、そばにいるのですね。エネルギーをありがとうございます」


 銀色の光りは彼を包み込み、一体となり、オーラとなった。 

 陽光は銀色のオーラをまとい、1歩1歩螺旋階段を登った。


 それとともに、彼のエネルギーも1歩1歩回復した。


 最後に第7階に上がった時は完全に回復していた。


 7階は第1王子継炎の熱炎の気で充満していた。


 しかし、陽光の体は銀色のオーラに包まれ、熱炎の気を寄せ付けなかった。




「この部屋の中でも平気なのだな。生身の人間では絶対無理だと思ったのだがな。いや、この中では消滅してしまうだろう。1兆度ぐらいあるぞ、この塔は神が造ったからなんともないのだろう」


「そうですか。不思議です。私は今、少しの暑さも感じません」


「遅れて申し訳ない。私は第1王子継炎、死人の国の王位継承者だ」


「私は陽光と申します。人間からはオニ狩り剣士と呼ばれていますが、その呼び方は好きではありません。今、自己紹介すべきなのは、妹の月夜見様と、とても久しい友人になっていただいています」


「『久しい友人』!! 私を怒らせたいのですか。あり得ないことです」


「お願いします。死人の国の王位の時期継承者様に心の底からお願いします。人間とオニ族は宿敵どおしではありません。お互いに今はそう考えてしまうのですが、必ず変えることができます」


「なにをたわごとを言っているのか。あなたと月夜見が変なんだ。それぞれの種族の中で偶然に生まれた異物なのでのですよ」


「そうでしょうか!! きっと、私達以外にも同じように思う方はたくさんいるはずです」


「それならば、ここで私を倒して月夜見を救うがよい!! 」


 継炎は長い剣を抜いた。


「太陽剣――」


 それ自体が超高温の剣の攻撃が始まった。


 陽光が間一髪でかわし、かわしきれない時は宝剣黒斬で受け流した。


 銀色のオーラは、超高温から彼をしっかり守った。


 ただ。彼は自分を守るばかりだった。


 しかし、月夜見を救うだけではなく、人間とオニ族の未来を明るいものにするためにがんばった。


(がんばれ、がんばれ自分。それにしても恐ろしい熱量が無限に続くことを感じる。いつかかならず、一太刀を振るう瞬間がくる。必ず、必ず)


 太陽の剣の剣戟は永遠と思えるほど続いた。




 やがて、太陽の剣を振るい続ける継炎の心に不安が浮かんだ。


(太陽の剣を炎王、父上から引き継いだ時、注意されたことがあったな)


「継炎よ。太陽の剣を振るう、お前は最強になるだろう。たぶん1回振るだけで相手に勝てる。だけど注意しなければならない。お前に何回も何回も太陽の剣を振るわせる人間と戦った時だ」


「父上。大丈夫です。そのような者は決して現われません」


「いやいや。人間の中からそのような者が現われる可能性がある。無限と思える太陽のエネルギーにも限界があり、やがて暗い星になるのだ」


「父上大丈夫でしょう。人間ならば、我が超高温に勝てますまい」


「‥‥そうだな。太陽の剣の力を無にできる宝剣黒斬を振い、そして月夜見が与えたオーラ-を身にまとわなければお前に勝てるわけないな――そういうことが起きたら奇跡だ!! 」




 継炎は戦いながら陽光を見た。


「父上。この人間は奇跡です。その体に月夜見から与えられたオーラをまとい、宝剣黒斬を振るっています。これから何を注意すべきか教えていただければよかった」


 上の階で2人の戦いを感知していた月夜見は感じた。


(継炎兄上のエネルギーが極端に減少し始めているわ。太陽の剣を振りすぎたのね。エネルギ-0になれば命は消えてしまう。兄上、止めてください)




 継炎が振る、最後の1振りとなった。


(今度が最後か。たぶん、私の命もこれで消えてしまうだろう。しかし、自分の命を惜しんで、ここで止める訳にはいけない)


 継炎は最後の一撃を出そうと後ろに飛び退いた。


 ところが。


 後ろに飛ぶ動きと同時に合わせて、陽光も思い切り前に飛んだ。


 そして、継炎と体をできるだけ近づけるとともに、太陽の剣を黒斬ではじき飛ばした。


 陽光は継炎の命を救った。

お読みいただき心から感謝致します。おもしろいかとても心配です。


※更新頻度

週1回、日曜日午前中です。不定期に午後や土曜日に更新させていただきます。

作者のはげみとさせていただきますので、もしよろしければ、ブックマークをお願い致します。

一生懸命、書き続けます。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ