塔の上の恋人を助ける4
運命の女神のいたずらで、悲劇の舞台に立たされた2人の恋愛物語です。
作者のはげみとさせていただきますので、もしよろしければ、作者にエールをいただければ、
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一生懸命、書き続けます。
是非是非、お楽しみください。
「私はこんな顔に生まれたくなかった。月夜見の双子として、いつも影に撤しなければならなかった。しかも、美しさとしては月夜見にかなり劣る」
「王子様。あなたのお名前は? 」
「失礼した。私は第6王子月花というものだ」
「‥‥大変申し訳ありません。このようなこと聞いてはいけないと思いますが、もしかしたら王女様なのですか」
「‥‥‥‥ そうだ」
「それでは、なぜ剣をとられるのですか? 」
「巫女となるオニ族の王族の女系は、姉の月夜見1人しか存在してはいけない。だから、私は王子として戦う。あなたは、姉とかなり久しいようだが、上の階には絶対に行かせない。本気で行くぞ。」
月花は、自分の足下に置いてあった長い柄を拾った。
さらに、その長い柄に剣を取り付けた。
彼女の武器は長剣(グレイブ、薙刀)だった。
普通とは違う攻撃をしてきた。
かなり重量がある長剣なのに、彼女は自由自在にそれを操った。
しかも、その攻撃は繊細を極めていた。
長刀の柄の長さを自由に変更し、陽光はその剣筋を予想するのに苦労していた。
自分に向けられる剣の軌跡が1振り1振り、全く変えられていた。
しかし、陽光は全ての攻撃を間一髪で避けながら、自分の感覚に刻みつけていた。
何百回となくそれが続き、やがて攻撃の軌跡をグループ分けすることができるようになった。
グループ分けできたということは見切ったことであり、全て簡単に反撃できる体制が整った。
陽光は月花と距離をとり離れ警告した。
「月花様。あなたの攻撃は全て見切りました。もう、止めましょう。次にあなたが長剣を振るうと、私は反射的に最適な反撃をしてしまいます。カウンターとなり、あなたの受けるダメージはかなりになります」
「かなりとはどう言うことだ。戦いの最中にそんなことを私に話して良いのか」
「ええ。私は月夜見様の妹とはもう戦いたくないのです」
「なんて甘い男だ。姉の美貌にメロメロになって、最強の剣士の名が泣くぞ。姉も愛想を尽かすだろう」
「愛想を尽かすわけありません。どんな時もどんな相手であろうとも、敵でも、深く知ろうとし、出切る限り優しく接する。私が愛する陽光様です。月花、もう止めなさい!! 」
最上階の部屋で、2人の戦いを感知していた月夜見が言った。
彼女の感知能力は最高に機能し、2人の戦いの様子を動画のように見ていた。
「仕方がありません。もう1太刀で終わりになります」
「なんだ。その自信満々の言い方は。今、その自身を粉々に砕いて見せる」
月花の剣技の最高奥義だった。
それは、王女なのに王子として、強さを証明するために生み出したものだった。
長剣は最短コースで陽光に向かって一直線に突かれた。
そしてぎりぎり最後の瞬間、少しコースを変えた。
陽光は初見だったが、見事に対応した。
彼の心の中では、これまで受けてきた月花の攻撃をしっかり理解して、
AIのようにそこから発展する最高奥義も心の中で、既に予想していたのであった。
陽光は黒斬の斬撃を繰り出した。
そして、前の2人の王子の時と同じように、致命傷にならないように攻撃した。
傷つけないように逆刃にした斬撃だった。
それは、月花の体に当たり、かなりのダメージを与えた。
月花は倒れた。
しかし、それとともに陽光も大声を上げた。
「痛い、痛い、痛い、痛い!!!! 」
彼は右肩を押さえてかなり痛がった。
最上階で2人の戦いを感知していた月夜見には、その理由がわかった。
「陽光様。筋肉に大きな負担をかけて!! 月夜見の体が傷つかないよう、黒斬を逆刃にして振って、しかも顔からできるだけ遠避けたのでずね。妹のため、ありがとうございます」
しばらくして痛みが引くと、陽光は倒れている月花をそのままにして上の階に上がろうとした。
その時、倒れていた月花が言った。
「最高の剣士、教えてくれ」
「なんでしょう」
「姉の月夜見との関係はどうなんだ。もう結婚の約束はしているのか? 」
「いえいえいえいえ そんな関係ではありませんよ」
「そうか。なら私にも十分にチャンスがあるな」
「えっ、どういう意味ですか」
「それは横に置き、この上の3人の王子には十分に気をつけた方がよい。神のように強い3人だ。いかに最強の剣士のあなたでも勝つのは大変だ。ましてや、私のため筋肉を痛めているだろう」
陽光は倒れている月花を最高の微笑みで見た。
「大丈夫ですよ。全く問題ありません」
その後、彼は螺旋階段を登り、5階の部屋に行こうとした。
運命の女神は天上で、自分がお膳立てした勝負の行く末を見守っていた。
「あれあれ、あの若者は見事に運命を切り開いて行くのね。でも、これからが大変よ。あの炎王のいやらしい性格がこの時に役立つなんて思わなかったわ!! 」
かって、死人の国の炎王には子供がいなかった。
それに王妃の体が弱かった。
そのため、炎王は側室をもつことを望んだ。
彼は巫女を通じて、神に望んだ。
「神よ。我に美しい側室を与えたまえ。特別な力をもち、オニ族の子供を産むことができる」
この異世界を統治している運命の女神は炎王の願いを聞き届けた。
それで、炎王の下に、風・氷・炎の美しい妖精を側室として使わせた。
そして、その3人の妖精が産んだのが第1~3王子だった。
陽光は螺旋階段を登り、5階の部屋に入った。
すると、その部屋は建物の中なのに入った途端、強い風が彼に吹き付けた。
彼はやっと立っていることができるような状態だった。
風が声を運んで来た。
「よくぞ、ここまで来られた。私は、第3王子風神です。風で動きづらいのはお許しいただきたい。なにしろ、私は半分、風の妖精なのですから、このような戦い方なのです」
すると、陽光に吹き付ける風が、たくさんの短剣を運んできた。
短剣は彼を突き刺そうと一直線に向かってきた。
彼はそれらを宝剣黒斬で跳ね返していた。
どんなに密度が高く短剣が向かってきても、彼は完璧に跳ね返すことができた。
ただ、それ以上のことはできなかった。
助けが入るまでは――
突然、宝剣が彼には届かなくなった。
「――乱花吹雪―― 」
突然、空間の中に強烈な風が吹き始め、陽光を守るような渦になった。
その風の中はいろいろな色の花びら舞っていた。
「これは、花龍様」
一瞬、彼が後ろを振り向くと、花龍がよろよろと立っていた。
お読みいただき心から感謝致します。おもしろいかとても心配です。
※更新頻度
週1回、日曜日午前中です。不定期に午後や土曜日に更新させていただきます。
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