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塔の上の恋人を助ける2

運命の女神のいたずらで、悲劇の舞台に立たされた2人の恋愛物語です。

作者のはげみとさせていただきますので、もしよろしければ、作者にエールをいただければ、

ブックマークをお願い致します。

一生懸命、書き続けます。

是非是非、お楽しみください。

「深黒様。それはどういう意味ですか」


「私を切り、命を奪って上の階にお行きください」


「いえいえ。そういうことはできません。ここを通していただければ、それだけで十分です」


「私が生きているままだと、あなたは後ろから攻められるという危惧を抱かれ存分に戦えませんでしょう。最上階に閉じ込められている、わが同母妹の月夜見をお助けいただければ十分です。さあ、お切りなさい」


 その言葉を聞いて、首を振りながら陽光は言った。


「全く問題ありません。深黒さんがどういう方か、私にはよくわかりました。あなたのような方は、決して人をあざむくための虚言を話しません。純粋な心の持ち主です。月夜見さんと似ていますね」


 そう言うと、陽光は後ろを向いて螺旋(らせん)階段の方に向い歩き始めた。


 深黒はあっけにとられた。


(確かに正確に認識している。直感力が優れているのだな。‥‥‥‥それとも、細かいことは気にしないおおらかなお人なのか‥‥‥‥ 月夜見が強く引かれるわけだ )




 陽光は2階に上がった。


 その瞬間、何かの花の強い香りがした。


 2階にはかなり広い空間が広がっており、色とりどりの花々が咲いていた。


(これは現実ではない仮想空間なのか。それにしても、この階を守る王子はどこにおいるのか)


「ふふふふ 仰天されておいでですね。今、目の前に姿をお見せします」


 やがて、七色の原色の甲冑を着込んだオニが、だんだんその姿を現わし始めた。


 そのオニは自分の肌も同じように7色にペイントしていた。


「私は花龍、第7王子です。もう深黒兄上をお破りになったのですか。お強いのですね、でも私の力は特別ですよ。それでは攻めます――乱花吹雪―― 」


 突然、空間の中に強烈な風が吹き始め、その風の中はいろいろな色の花びらが舞っていた。やがて、風は渦を巻き、その渦は陽光に襲いかかった。


(ああ これか!! )


 陽光は昔、とても小さい子供の頃父親に教えてもらったことを想い出した。




 父親は最強のオニ狩り剣士だった。


 そして陽光にとっては最高の教師だった。


 毎日、父親から剣術の厳しい鍛錬を受けていたが、ある日の鍛錬は少し違った。


 高天原でたくさんの花々が咲き乱れている場所に陽光は連れ出された。


 季節は調度、花々を満開に咲かせていた。


「陽光、あの鹿を追い、しとめるのだ」


 彼が見ると、花々の中に、体中を原色で彩色した鹿がいた。


 鹿は陽光と父親の気配を感じたようで、今すぐ逃げ出しそうだった。


 彼は急いで鹿に向かってダッシュした。


 すると急に風が吹き始め、たくさんの花びらを巻き込んだ。


 風は花びらを巻き込んで渦を巻き、陽光に襲ってきた。


 彼は気配だけを感じて剣を振るった。


 鋭利な刃物とぶつかるような感覚があった。


 花びら全てが鋭利な刃のようで、幼い陽光は剣で受けるのを失敗した。


 体中に大きな痛みを感じ、彼は意識を失った。


 意識を失う前に、父親がそばに現われ痛みの原因となるものが急に消えた。




 目を覚ますと、陽光は自分の家の一室に横たわっていた。


 すぐに動き始めたが、体中に鋭利な刃物で切られた傷がたくさんあり、痛くてたまらなかった。


 部屋の扉が開き、父親が入ってきた。


「陽光。大丈夫か、薬草で消毒しておいたから大丈夫だ。しばらく痛いかもしれないけど」


「父上、あれはなんでしたのでしょうか」


「幻想鹿だ。弱い動物だが、自分を守る強力な力がある。なぜかはわからないが、風を自由に起す力があり、風の渦の中にかまいたちとなる場所を作ることができる」


「かまいたちですか? 」


「この世の中の全ての場所にある空気がない真空の場所だ。真空の場所に接触すると人間の体は切られたように傷つけられる」


「どうやって戦えばよいのですか? 」


「風の渦を起すために術者は必ず近くの場所にいなければならない。花びらが舞い幻惑されてしまうが、戦う相手の位置を迅速に正確に見切るんだ」


 それから、父親は厳しい顔で陽光に話し始めた。


「オニ族の中でも似たような手段で戦うものがいる。でもその場合は、冷静に相手の場所を見切るんだ」


 生まれつき洞察力に優れた陽光は、次に幻想鹿を見つけた時は何の苦も無く狩ってしまった。





 花吹雪に惑わされることがなくオニ族第7王子花龍の位置を正確に捕らえた。


 現実の光の中では見えなかったが花龍が確かにそこにいることがわかった。


「すいません。私は早くこの先に進みたいのです」


 陽光は花龍に向かって、宝剣黒斬を降った。

 ただ致命傷にならないよう、十分に注意した。


 部屋全体にかけられていた幻惑が崩れた。


 そして、その床には花龍が倒れていた。


 意識を失う前に花龍が言った。


「致命傷にはならないよう、剣を振るったのですね」


「はい。これ以上、人間とオニ族の間に強いわだかまりを作りたくはないのです。オニ族の全身の中で最も再生能力が高い部分だけを切りました。数日で元に戻るはずです」


「私の幻惑を、いとも簡単に破ったのですね」


「いとも簡単ではなかったです。あなたの花吹雪は今まで見たことのないほどとても美しかったです。私が勝てたのは、これまで幻惑に勝てるように何回も訓練してきたからです」


「そうですか。残念です。でも私の花吹雪をほめていただいてとてもうれしいです。私はほんとうは弱く戦うことが嫌いなんです。最上階、月夜見の部屋まで無事に行けるとよいですね―― 」


 花龍は意識を失った。


 陽光は自分の服を破り、花龍の体から血が出ている場所を結んで止血した。




 螺旋(らせん)階段を登り、さらに上の階に進んだ。


 すると、床に1人のオニが正座して待っていた。


「お待ちしておりました。私は第4王子乱竜です。オニ族でも人間でも関係ありません。一流の剣士と剣を交えることが第1の楽しみなのです」


 乱竜の赤い瞳は爛々と輝き、陽光を吸い付くように見た。


「人間の歴史始まって依頼、あなたは最強の剣士と呼ばれています。それに私の弟の王子達が、これまであたと戦い惨敗しています。でも油断しないでください。私の弟達は弱いのですよ!! 」


 そう言うと、乱竜はいきなり斬りかかってきた。


 その剣筋はメチャクチャで、すべてが全く予想がつかない剣筋で威力も大変なものだった。

お読みいただき心から感謝致します。おもしろいかとても心配です。


※更新頻度

週1回、日曜日午前中です。不定期に午後や土曜日、平日に更新させていただきます。

作者のはげみとさせていただきますので、もしよろしければ、ブックマークをお願い致します。

一生懸命、書き続けます。





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