復讐を誓う王子達
運命の女神のいたずらで、悲劇の舞台に立たされた2人の恋愛物語です。
作者のはげみとさせていただきますので、もしよろしければ、作者にエールをいただければ、
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一生懸命、書き続けます。
是非是非、お楽しみください。
第10王子真龍、第9王子蛟竜、2人の王子が人間のオニ狩り剣士と戦い命を落した。
オニ族の死は永遠の死、輪廻の輪からはずれ、もう生まれることができない。
死人の国は大きな悲しみに包まれた。
そして、それとともにオニ狩り剣士陽光はオニ族最大の仇とされた。
今日も、炎王が呼び掛け、王宮で、残った8人の王子達が集まり円卓会議が行われていた。
「我が息子達よ。お前達のかわいい弟2人が、人間の手によって命を落し、永遠の死に至った」
その後、炎王は下を向き黙り込んだ。
恐ろしいオニの顔から大粒の涙が流れ出ていた。
その頃、天上では、運命の女神がその会議の動向を、光りの球体の中に見ていた。
「ここよ!! ここ、ここ!! 演出家としての私の腕の見せ所だわ。王様、もっと泣きなさい。あなたがもっと泣けるように感情をコントロールするわ」
運命の女神は目を輝かせながら、光りの球体に向かって力を使った。
やがて、運命の女神に警告メッセージが入った。
それは、全ての神の上に立つ主神からだった。
「運命の神よ。いかにお前が管理する異世界といっても、そこに生きる者の感情までコントロールするのは行き過ぎだぞ!! 」
「はい主神様。ほんのわずかだけです」
主神は運命の女神にあまかった。
「そうか‥‥ 」
ふだんはとても厳しい、父親の大泣きに王子達はとてもびっくりした。
いたたまれなくなった王子達の中で、長兄の第1王子が立ち上がり話し始めた。
第1王子は継炎といい、名前のごとく次の王となる皇太子とされていた。
「父上。そのようなお姿にさせていただきまして、息子達を代表し私が心よりおわび申し上げます。私達は必ず復讐を誓います。人間達を滅ぼし、その前にあのオニ狩り剣士陽光に復讐します」
「どうするのだ。あのオニ狩り剣士は、人間といっても腹の立つほど強い。たぶん、継炎が戦っても10回に1回勝てるかどうかわからないくらいだぞ」
「力尽くではない。別の方法で陽光に勝てる方法は何かないか」
第1王子が弟達に聞いた。
すると、1人の王子が手を挙げた。
第8王子残忍だった。
発言を許されると立ち上がった。
「ここは私の出番ですね。私であれば、最適な方法で――しかも残忍な方法でオニ狩り剣士陽光を殺し、復讐を完璧に行い、父上の心の涙を乾かして差し上げます」
「口で言うのは簡単だが、どんな方法があるのだ」
「継炎兄上、いやです。もう、おわかりでしょう。姉上を餌にするのですよ。周知の事実です。月夜見姉上とあのオニ狩り剣士は愛し合っています」
出席していた炎王、全ての王子達の顔が極めて厳しくなった。
実は、みんな月夜見のことが大好きだった。
それで、明確に気づいていたことでも、陽光とのことは心の奥深くにしまっていたのであった。
人間の世界、死人の国から、よもつひら坂が降りている高天原より更に辺境の土地だった。
そこは、捨てられた世界。無法がはびこる世界だった。
人身売買をしている奴隷商人、左門はそこを根拠としていた。
彼は人間の世界を広く旅し、さまざま場所から奴隷を仕入れ、この地に連れてきていた。
極めて粗末な小屋に、多くの奴隷達を収容していた。
夜は奴隷達に食事を与えると、酒を浴びるように飲む毎日だった。
ある夜、いつものように酒を飲んでいると、彼の部屋を照らしているろうそくが全て消えた。
部屋の入口から声がした。
「奴隷を売ってくれないか」
「こんな夜更けにわざわざ、こんな場所まで奴隷を買いに来たのか」
「すいません。少しお待ちください。今、出て行きます」
左門は部屋の扉を開けた。
ところが、そこには誰もいなかった。
「なんだ。俺の空耳か」
「空耳ではないぞ。ここだ」
声は空の上の方から聞こえてきた。
左門は空を見た。すると――
「あっ!!!! 」
空の高いところに、青白い光りに包まれて浮かんでいる影があった。
「オニ!!!! 」
左門はその場で腰を抜かして倒れ込んだ。
「はははは、人間よ、心配することはない。今日は殺しに来たわけではない。聞こう。今、お前が私に売ることのできる奴隷は最大で何人だ」
「はい。100人くらいです」
「そうか、全て買おう」
その後、空から大量の金貨が降ってきた。
びっくりするほどのたくさんの量だった。
奴隷商人をしているほど冷酷な左門は、もう平常心を取り戻していた。
「まいどあり。奴隷達はあの2棟の小屋に詰め込んであります。どこかへ運ぶ必要がありますか」
「お前は人間だが私とよく似ている心を持っているな。気に言ったぞ」
そう言った瞬間、2つの小屋は青白光りに包まれると消えてしまった。
「ないどあり」
左門は金貨の山に埋もれていた。
彼の冷酷な顔は、満面の笑みに包まれていた。
死人の国にいる月夜見と人間の国にいる陽光は、話していた。
2人が持っている書巻がスマホのようにお互いの画像を映していた。
「陽光様。十分に気をつけてください。王宮での会議で決まったそうです。8人の王子達があなたを最大の敵としてお命を奪いに来るはずです」
「はははは うまく行きました。私が最大の悪役になれたのですね。月夜見さんは何も批判されていないのですね。よかったです」
「‥‥‥‥ 陽光様。そういうところが、とても素敵なところですね。私に心配をかけまいとして、喜んでいやな役を引き受ける。でも、どんなにあなたが最強でもとても心配です」
「8人の王子達が強力してチームプレイで私と戦うことはないでしょうか」
「はい。それはあり得ません」
「それならば大丈夫です。自分の強さは自覚しています。チートであることには絶対の自信があります。ここまで来るのに一生懸命血の出るような努力をしてきました」
「強さだけでは、どの王子と戦っても遜色ないでしょう。しかし、1人異質の王子がいます」
「異質の王子ですか? 」
「第8王子残忍。自分の快楽を満たすためなら、あらゆる手段を使って陽光様をねらって来るでしょう」
「頭が良いということですね」
「はい。自分の目的を果たすために、合理的な方法を必ず考え出します。あっ!! 」
陽光が見ていた画面から月夜見の姿が消え、オニの姿が浮かんだ。
「オニ族第8王子、残忍ですよ。その合理的な方法であなたを消します」
お読みいただき心から感謝致します。おもしろいかとても心配です。
※更新頻度
週1回、日曜日午前中です。不定期に午後や土曜日に更新させていただきます。
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