第4話 【商い】と何か関係が?
「こりゃぁタマゲた。アーサー、そりゃな【感知】スキルと同じことやってんだよ」
「えええっ!?」
ちょっと信じられないけど、確かに聞いたことがある。
仕組みが解明されたスキルはスキルを授かっていなくても再現することは出来るって。
あとはスキルが成長して、他のスキルの効果を得ることもあるらしいけど、どちらにしろ簡単に修得出来るものじゃない。
「アーサー、どのくらいの距離まで視ることが出来るんだ?」
「えっと――あ、取り敢えず山1つ分はいけるかな?」
「ははは、こりゃあいよいよ天才という言葉でも物足りんな」
天才?
僕が?
「いいかアーサー。今お前がやったことは誰にでも出来ることじゃねぇ。魔力操作で【感知】する方法を知ってるやつは五万といるが、実際に出来るやつはほぼ居ない。いたとしても何年も訓練と研鑽を積んだ先にようやく修得できるもんだ」
「そうなんだ」
「信頼できるやつ以外には絶対に言うんじゃねぇぞ」
「はい」
「他の皆もだ。絶対に家族以外には言うな。これはアーサーを守るためだ」
「「はいっ」」
皆少し緊張していた。
僕も「アーサーを守るため」と聞いて少し不安になった。
でも、よく考えたら確かにとんでもないことをやってしまった気がする。
「それでだ。魔力を抑えることと、【感知】の魔力操作が意識せずとも継続して出来るようになったら弓矢を使った狩りに連れてってやる」
「じいちゃん、本当?」
「あぁ、先ずはワシの目の代りだがな。いずれ矢を正確に当てられるようになったらアーサーが弓を使うのも許可する」
「やったぁ! 僕頑張るよ!」
「あぁ、期待しとるぞ」
「でも、じいちゃん」
「どうした?」
「僕の魔力量が多かったり、魔力操作がよく出来るのって【商い】と何か関係があるの?」
じいちゃんは口に手を当て、少し考えてから答えを出した。
「ふむ。まぁ、ハッキリとしたことは言えんが、関係がある可能性は極めて高い」
「本当に?」
それなら【商い】は単に「商いができる」以上のスキルかも知れないってことだよね。
「推測の域は出んが、【商い】は大量の魔力と繊細な魔力操作を要するスキルである可能性が高い。副次的に【感知】程度ならすぐモノに出来てしまうくらいな」
「でも、商いをすることで魔力を使うっていうのが全然想像出来ないんだよね」
「まぁ、今はそれでいいんじゃないか? スキルは経験と努力によって成長していくもんだ。自分を信じて努力していきゃそのうち芽が出て実を結ぶってもんさ」
「そっか。そうだね。僕頑張るよ」
その後は皆で晩御飯をいただいて床についたけど、興奮してなかなか眠れなかった。
【商い】で何ができるのかはわからないけど、とてもすごい可能性を秘めているような気がしてならなかった。
眠れないから魔力を抑えたり【感知】したり、他にも魔力を操作して何か出来ることはないか色々考えたりしていたらいつの間にか寝落ちして朝を迎えていた。
次の日の朝、じいちゃんに連れられて森の入口までやってきた。
「アーサー、これを抜いてみろ」
親指を肩の後ろにぐいっと指しておもむろに言い放った。
「いや、これ木なんだけど······」
「あぁ、木だな。どっからどう見ても木だ」
「じいちゃん、抜けって言わなかった?」
「ちゃんと聞こえてるじゃないか。そうだ。引っこ抜け」
「イヤイヤイヤ、無理でしょ。どう見ても無理でしょ!」
「まぁ、いきなりは無理か。まずワシが見本を見せてやろう」
「【身体強化】!!」
じいちゃんが叫ぶ。
するとじいちゃんの体を凄まじ勢いで魔力が駆け巡った。まるでじいちゃんの体を嵐が駆け巡っているようだ。
「アーサー、しっかり目に焼き付けろ!」
――メキメキメキメキ――
じいちゃんは木の幹に低く右拳を突き入れ、そのまま右腕を上に掲げ木を引き抜いてしまった。
「す、すごいよじいちゃん! カッコいい!」
「はぁ、はぁ。まぁこれが【身体強化】だ。アーサーの魔力ならきっとわし以上の力を出せるようになるはずだ(ああ、しんどい。もうムリ)」
「い、いや。無理でしょ。完全に人外の力だったよ?」
「バカモン! 自分で限界を決めつけるな! それに力があれば逃れられる危険もあるだろう」
ハッとした。
じいちゃんはハッキリとは言わなかったけど、父さんのことを言っているのは分かった。
「うん。ごめん、じいちゃん。僕やるよ。どうやってやればいいの?」
「あぁ、それはな――」
じいちゃんは自分が【身体強化】を使っているときの感覚を教えてくれた。
一口に【身体強化】と言っても効果は様々で、筋力の向上、機能の向上、防御力の向上と色々あることを知った。
見た感じ、じいちゃんの【身体強化】はかなり研鑽を積んで成長したスキルなんだと思う。
そして一ヶ月後。
森の入口だったところは新しく畑になっていた。
なっていたというか、木を引っこ抜き、石を取り除き、土を耕したのは僕だけどね。
【身体強化】の特訓で開墾したわけです。
そのお陰でバッチリ【身体強化】を修得することが出来た。
同時に弓の練習も行いかなり正確に狙撃出来るようにもなっていた。
この短期間で弓を修得出来たのは実は【身体強化】に秘密がある。頭を強化すると物覚えがとても良くなることに気付いたからだ。
【身体強化】をかけながら弓矢の練習をしたらどんどん上達していった。
そして遂にじいちゃんからのお墨付きももらい、狩で弓を使うことが許可されたのだった。