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閑話1・ヴェラと勉強会

ヴェラ目線番外編です。時系列は74と75の間です。

ヴェラのお兄様、リギルお兄様はとても優しいです。


「ここはね、こうやって解くんだよ」


「なるほど…!さすがお兄様ですっ」


褒めると恥ずかしそうに笑うお兄様はいつも課題をわかりやすく教えてくれます。

ヴェラのお兄様は優しいだけじゃなく、カッコよくて強くて頭も良いのです。

私はお兄様と結婚したかったけれど、兄妹は結婚できません。

でも結婚は家族になってずっと一緒にいるっていう約束のことなので最初から家族のヴェラには必要ないとお母様が教えてくれました。

お嫁さんになると違う人の家族になって住むところが変わってしまうからお婿さんを取るといいわと教えてくれたのもお母様です。

お婿さんはお嫁さんの男の方バージョンらしいです。

だから私はお兄様みたいにかっこよくて優しいお婿さんを貰ってお兄様のお手伝いをするのです!


「ねぇえ〜…リギル、オレにも教えてよぉ」


「自分で出来るでしょ。ってウワッくっつくな」


お兄様に縋るように抱きついているのはリオお兄様です。緑のお目と髪が珍しくて綺麗です。

リオお兄様は優しいけどへたれだとユピテルが言っていました。

私には“へたれ”の意味はよく分かりませんが。

リオお兄様はリギルお兄様が大好きです。

リギルお兄様といるときはいつもリギルお兄様に構って貰いたがっています。

リオお兄様も好きですがたまにお兄様を取られる気がしてなんかやです。

なのでリギルお兄様の腕をぎゅっと掴んで私のほうに引っ張ると、リオお兄様にちょっと威嚇してみました。


「あわわ…ヴェラちゃん怒らないで…」


あわあわするリオお兄様はちょっと可哀想なので意地悪はこれくらいにしておいてあげます。


「ふふ、ヴェラ様は本当にリギル様が好きですわね」


クスッと優しく笑ったのはリギルお兄様の婚約者のシャウラお姉様です。

シャウラお姉様は綺麗で優しくていつもきらきらしています。笑ったお顔も上品で、絵本に出てくるお姫様みたいなので私は大好きです。

初めて会ったときにヴェラはピーンときました。

王子様みたいなお兄様にはお姫様みたいなシャウラお姉様しかいないって…!

だからリギルお兄様の将来のお嫁さん、つまり婚約者になってくれてよく遊びに来てくれるようになって嬉しいです。

シャウラお姉様の方を私が見て笑うとシャウラお姉様は私の頭を優しく撫でてくださいました。


「勉強会もヴェラちゃんがいると一段と華やかだね」


向かいの席で私とシャウラお姉様の様子を見て嬉しそうに笑っているのはシャウラお姉様のお兄様でヴェラの将来の“ぎりの”お兄様のアトリアお兄様です。

アトリアお兄様はいつもにこにこしていて優しい人です。

私にお菓子を買ってきてくれたり、珍しいプレゼントを持ってきてくれたりします。

私を本当の妹みたいに大事にしたい、って言ってくれていて、お姉様ができたらお兄様も付いてくるなんて思わなくてアトリアお兄様が「お兄様って呼んでほしい」って言って、お兄様になってくれた時は嬉しかったです。


「ほら、ヴェラちゃんちょっと休憩しないかい?糖分補給〜」


アトリアお兄様がピンク色のマカロンを一つ摘んで私の口元に持ってきました。

マカロンがきらきらしながら食べて欲しいと言っているので思わずぱくり。

それを見てお兄様が目を丸くします。


「あ、もうアトリアったらヴェラは鳥の雛じゃないんだから餌付けしないでよ」


「ふふ、可愛いらしくてついね。シャウラもこの間まではこのくらい小さかったからねえ」


「まあ!三年前でしたらお兄様だって小さかったですわよ」


アトリアお兄様の言葉にシャウラお姉様が頬を膨らませました。

でも私はもうそんな小さくないですが。

けれど、シャウラお姉様の小さい頃ってどんな感じだったのでしょうか?

写真でもあればいいのに………。

ん?写真?写真って…なんでしたっけ…。


「ヴェラちゃんクッキーもあるよぉ」


そう言いながらでれでれしたリオお兄様が私の目の前にクッキーを持ってくるので遠慮なく食べます。

甘いもの、大好きです。

リオお兄様がかわいい〜!と嬉しそうにしてます。

ヴェラちゃんのことも大好きとリオお兄様は前に言っていたので私が構ってあげると喜びます。リオお兄様がそういうところがわんちゃんみたいで好きです。


「あっ、コラ、リオまで……。ヴェラ、晩御飯が入らなくなるから食べすぎちゃダメだからね」


「ふぁい」


クッキーをもぐもぐしながら私は返事をしました。

なんだか困った顔をしていますが私を撫でてくれます。

お兄様は私にとっても優しくて甘いけど注意するときはします。ダメなことはダメってお兄様が教えてくれるのです。


「ヴェラ様、紅茶のお代わりお淹れ致しますね」


そう言って話しかけてきたのはお兄様の執事のユピテルです。


「うん」


返事をするとユピテルはすぐに紅茶のお代わりを淹れてくれます。

ユピテルの紅茶は世界一美味しいとお兄様が言っていますが私もそう思います。

ユピテルは執事だけじゃなく、お兄様のごえい、先生、ししょうをやっているスーパー執事(お兄様が言ってた)です。

シャウラお姉様のような色が混じった黒髪はたまにみますが、ユピテルのような真っ黒な髪は珍しくて、左右の目の色が違うのもあって最初ユピテルを見たときは外国の王子様だと思いました。

お兄様がやっぱり一番かっこいいけど、次はユピテルだと思います。

結婚していないのが不思議だとお母様も言っていました。

ユピテルに何で結婚しないのかと聞いたら、仕事が恋人ですからと言っていました。その後つまりリギル様ですねと言ってお兄様に怒られていましたが。

でもたまに寂しそうにしてるのは弟さん二人が教会とお城で離れて暮らしているからでしょうか。

お兄様を代わりにしているのかもしれません。


「ヴェラ様、どうぞ」


ユピテルが淹れたてのお茶を私の前に置きました。

ユピテルの綺麗な色の違う目をじっと見ていると、ユピテルが首を傾げました。


「お茶、冷めてしまいますよ?」


「…、ヴェラは…私はユピテルもお兄様みたいに思ってますからね」


ユピテルがその言葉にふっと笑います。何がおかしかったでしょうか。

使用人を家族みたいに呼んだり、敬語を使っちゃだめってお母様に言われたのでしてないだけで、ヴェラはユピテルも家族だと思ってると伝えたかったのですが…。


「…、ヴェラ様とリギル様はさすがに似てますね。似たもの兄妹です」


お兄様も似たようなことを言ったのでしょうか?

ユピテルはお兄様と私が似てるから笑ったのでしょうか。


「ありがとうございます。私もリギル様やヴェラ様を大切に思っていますよ」


ユピテルのその言葉に嘘はなさそうでした。

ユピテルがいいなら私もいいのです。


それにしても、お兄様のために頑張るとはいえ勉強は苦手で困ってたのですが、こうしてお兄様たちとやっているととても楽しいです。

ヴェラも一緒にどう?ってお兄様が誘ってくれて、みなさまが私を歓迎してくれて嬉しかったです。

いつもお勉強が終わるとやっと終わった!と思います。

でも、そろそろお開きにしようか、とお兄様が言ったときにすごく残念な気持ちになりました。


「あのっ、またみんなで勉強会できますか?」


「もちろん」


すぐに答えたのはお兄様でした。


「次は私がヴェラ様に教えてあげますわね」


シャウラお姉様に教えて貰うのもすごく楽しそうです。


「私も大歓迎だよ。ヴェラちゃんがいるとみんな幸せそうだからね」


「オレもオレも〜、次はオレの隣に座って欲しいなぁ」


アトリアお兄様もリオお兄様も喜んで私の提案を受け入れてくれました。


「良かったですね、ヴェラ様」


ユピテルが私にそう言って笑いかけてくれます。

本当に良かったです。


私は…、ヴェラはすごくすごく、幸せ者です…!





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