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49・スキルの鑑定には

「リギルが持っていた正体不明の石、一体なんなんだか教師にもわからないらしいよ」


リオの言葉にマジか、と心の中で呟いた。

今は自習中でリオとアトリアと次の授業の予習をしている。

ユピテルがこれは魔石ですとか当たり前のように言うから常識かと思っていたけど違ったらしい。

一応知らないフリをして渡したけど、うっかり魔石みたいですとか言わなくて良かった、マジで。


「魔力の塊っぽい?らしい?とか?ただ人間の魔力は基本暖かいもので、冷たいのは魔族の魔力の特色らしいから魔族かも?って?なんでそんなのが魔物の体内にあったかは分からないけど」


「なんでだろうね〜」


とりあえずとぼけて返事をした。

人間と魔族の魔力の温度の違いについては知らなかったな。

魔族が魔獣を使役するために飲ませたんだよ。とは口が裂けても言えない。あまり知られてはないことだろうし。

そもそも作れる者が限られているなら製法や使い方が広く知られていないのも当然だ。

人間にとって理性のある魔族はともかく魔物は害のある生物でしかないし使役するって考えすらこの世界にはない。

違う作品では魔物を使役したり召喚したり使い魔だったり…みたいなのはあったけどね。


「未知のものかも知れないね、それが原因であそこまで巨大化したか…」


アトリアが呟く。

ウルウルフというらしいあの魔物は本来Dランクの魔物らしく、狼のような姿だが大きさは大型犬くらいらしい。僕らが見たのは2、3倍あった。

高ランクの魔物が森の中心にしかいないのは知能も上がるからだ。魔物は魔物なりに人間と対峙しないようにしている。

まあそれでも調子に乗って人里を襲ったりするやつもいるワケだけど。

一方、冒険者はわざわざ魔物の縄張りに行くんだから命知らずだ。お互い様感はある。

ウルウルフについては弱い魔物ばかりのところに居たし、近くの魔物が消えてたことから魔物を取り込んで…共食いして大きくなったウルウルフがたまたま森の浅いところに住み着いてしまっていた…というのが教師たちの見解だ。

アトリアも同じ見解だけど原因は共食いだけじゃなく魔石にあるのではと思ったらしい。

実際は魔石アレは魔物を操るモノだからあのウルウルフは森の中心にいたヤツだろうな。

ウルウルフは少ないけど個体によってはAランクまで巨大になるらしく、元々デカかった可能性がある。


とはいえ、魔石のことは単純には話せないので、大人たちに頑張って貰おう。

僕としてはレグルスが犯人か確かめなくては。


ただ聖女に会うにも僕は目立つからなあ、どうしたものか…。

婚約者がいる今の立場で不貞を疑われることは避けたい。ましてやその聖女のせいでシャウラは僕の婚約者になったのに。

シャウラに誤解も心配もさせたくなんてない。

やっぱりミラに頼むしかないだろう。

…、こっちもこっちで気をつけないとだけどね。

みんなに真実を話せた方が楽なんだけど前世とか未来に起こることとか…無理だ。


「不思議っちゃあ不思議だけど、僕らが考えても仕方ないよ。教師たちにも分からないし」


「それはそうだね」

「それはそう」


リオとアトリアのセリフが重なったので思わず笑ってしまった。二人もお互いを見て笑った。

ユピテルのおかげだけど二人が助かって良かった。

剣で倒したことにしたおかげで核に残った魔力のことでも追及されなかったし…てか、アトリアの雷の魔力は残ってたのにユピテルの魔力は一切無かったっぽい。アイツ本当なんなの。

一応は味方なので味方で良かったなぁと思う。


「てかリギル収納スキル持ってたとか知らなかったんだけど〜」


リオがぷうとほおを膨らませた。確かに周りに話したのはあの日が初めてだったな。


「地味だから言わなかったんだよ」


「私はすごいと思うけどね。便利そうだし」


「アトリアはなんかスキルあるの?」


「さあ、分からないな。鑑定で調べないといけないからね…」


そういえばそうだったなあ。

ステータスオープン!とか言って自分でステータスが見れればいいのに不便だ。


「リギルは調べてもらったの?」


アトリアの言葉に首を振った。調べて貰いたいくらいだ。


「ううん、たまたま気づいただけ。他のスキルも分かんないよ」


「そっかあ、鑑定スキルも珍しいもんね」


一応この国には鑑定スキル持ちが五人いるらしいけど、鑑定してもらうには予約しないといけないし、鑑定士によって知れる情報が違ったりする。だから全部知るには時間がかかる。

1番いいのはユピテルが言っていた隣国のスキルレベルの高い鑑定士に鑑定してもらうことだ。

ちなみに鑑定スキル持ちは何で鑑定スキル持ちだってわかるのかと言うとスキルで人の情報がちょっと勝手に見えるかららしい。邪魔そう。訓練すれば調整はできるみたいだけどね。

あと、本人の許可が無いとあまり細かくは見れないとか。


「隣国にスキルレベルの高い鑑定士がいるらしいよ。ユピテルが言ってたんだ」


「えー?そうなんだ?」


リオがちょっと興味ありげにしている。

こうやってスキルの話が出たのはちょっとしたチャンスかもしれない。

僕一人でわざわざ鑑定のために隣国に行くとなればなんで?とはなるけど、友達と観光ついでに鑑定してもらうってのはどうだろうか。


「ねえ、せっかくだから隣国の鑑定士に予約とって、観光ついでに寄ってみないかい?みんなで旅行、してみたかったんだよね。あくまでメインは旅行だけど」


リオとアトリアが顔を見合わせた。


「賛成!」


「…、私も、賛成」


二人とも嬉しそうに返事をしてくれた。

もちろん僕ら三人だけじゃないつもりだ。ヴェラも誘うし、もちろんシャウラも…、それからミラにも来てもらおう。

ユピテルはもちろん最強の護衛だから居てくれないとね。

ただ、予約がいつ取れるか分からないのでそこはユピテルに確認してもらおう。


「人数は多いほうが楽しいよね」


「確かに?」


「おや、シャウラも誘うかい?」


アトリアはさすがに察しがいい。


「妹も連れてくよ。サダルスウド嬢も誘おうか、シャウラのお友達だしね」


「女の子がたくさんいるのは華があっていいかもね」


リオがうんうんと頷く。嫌がるかなと思ったけど大丈夫そうだな。


「とりあえず予約取れてからにしようか。ユピテルに頼んでみるよ」


「ユピテル優秀だな〜、ウチにもほしい」


リオが足をぱたぱたさせた。

数年前だったら(邪龍怖いから)良かったらあげるよ!って言ったところだけど今ではユピテルも家族みたいに思っている。向こうはどうだか分からないけど。


「あげない」


「むむっ、増やせたらいいのに!」


ムッとしたリオのその台詞に増えたユピテルを想像して少し吹き出してしまった。便利そうだけど怖い。

そしてユピテルなら魔法で分身…とかできそうだなあとか思ってしまった。


「増えたら私のところにも欲しいなあ」


アトリアがリオの冗談に乗っかるので想像のユピテルが三人に増えてしまったのでさらに笑ってしまう。


「もうやめてよ2人とも。ユピテルが増えるとか冗談じゃないよ。無理だし」


面白いけど邪龍が増えるとかちょっと嫌。

リオはまあそうだよねーと唇を尖らせた。人間だから増やせないもんねという台詞に心でまあ、人間ならね、と返事をしておいた。





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