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17・男子三人はなんだかんだ仲が良い

「リオは魔力の暴走しかけたりしたことはある?」


学園の食堂でアトリアとリオの三人で食事中、なんの気なしにリオに聞いてみた。

単純に見たことがなかったからだ。

リオルートではリオの魔力暴走をヒロインが抑える話はもちろんあったし。


「ん?無いなあ、オレは精霊の加護があるって言っても元々の魔力も少ないみたいだし、起きたら部屋が花畑になってたりはしたけど…、暴走ってのは無かったかも」


起きたら部屋が花畑っていうのもなかなかすごい状況な気がする。


「アトリアは?」


「10歳超えてから3度くらいあったかな。どれも土の魔法使いに鎮めてもらった。父上が唯一の跡取りが居なくなるのを危惧して常駐させてるんだ」


「なるほど」


実は氷なら火、雷なら土など他属性で鎮められることはあるらしい。

完全に暴走してしまうと結構まずいので前兆があった時点で何とかするものだそうだ。


アトリアのように公爵家や王族なら金にものを言わせて魔術師を常駐させることでなんとか出来るが男爵など立場の低い貴族などは精霊に愛されし者が産まれたら他にも子供を作るんだとか。


精霊に愛されし者が産まれたら立派な跡取りになって、さらには出世するかもしれない。

でももちろん死んでしまう可能性が高いからだ。

同じ家族内に精霊に愛されし者が産まれるのは本当に稀なんだけど魔力が強い王族や公爵家になると結構あるらしい。

現にアトリア家に二人、三代公爵家の残り一つの家であるケレス家にも二人だし、王族にも何人もいる。


「やっぱり大変そう。僕には分からないからなぁ」


「魔力量が高いと精霊に愛される確率が高くなるなら、リギルがそうじゃないのは結構疑問だよね。どの魔法も結構魔力量あるんだよね?」


リオが首を捻ったのは、僕は全属性に適性があるからだ。

闇と光も含めた全部だ。

これには僕も驚いたけどね。


精霊は子供が産まれてすぐ気に入った子供に加護を与える。

だから産まれてすぐどの加護があるかどうかはわかる訳なんだけど、どの魔力がどのくらいというのは10歳頃にならないと分からない。

それまでに魔力の量は決まるらしい。

ちなみに属性に関してはわりと同じ家系には同じ系統の属性が多いらしい。


どういうシステムなのかは解明されてないし分からないらしく、精霊というのも漠然と存在が感じられているだけで見た人も居ない。


僕やヴェラが精霊に愛されし者じゃないのはもしかしたらヴェラの病気が関係してるかもしれない。

本当に有識者に教えて欲しい。


「まあ、そういうこともあるってことだよ」


「不思議だなあ」


「不思議だねえ…」


リオに続けてアトリアも頷く。

まあ全属性使えると言っても精霊に愛されし者に比べたら大したことはないし、この二人は若干僕を過大評価しているような気がする。


「不思議といえば光魔法を扱う光の精霊の加護を受けた聖女とか聖者は魔力暴走がないらしいよ」


「えっ?そうなの?」


アトリアの言った事に本気でびっくりした。

確かに一作目のヒロインが魔力暴走したって話はゲームはないけど、実際にもないのか。

そういやヒロインには愛する相手の魔力暴走を鎮めるって能力があった。

あれはスキルだと思ってだけど光魔法の影響だったのか?


「まあ光魔法は主に治療だし、あんまり暴走してもわからないのかも知れないけど、不思議な話だろう?」


「確かに不思議かも…」


反対の属性である闇には魔力暴走がしっかりあった。

光だけが例外というのは何かご都合主義とでもいうか…。


「あ…、闇って珍しいけど、シャウラ嬢はどうしてるの?魔力の暴走とか…」


「闇を鎮められるのは光くらいだけれど…、まあ危ないときは光魔法の込められた聖水を飲んでいるよ。聖女に来てもらう訳にもいかないし、ただ水に魔力を込めるのは難しいみたいだから以前の聖女が作ったものだし、割高なんだけれどね。闇属性は珍しいし取り合いになる訳でもないし、シャウラも一度しか危なかったことはないから大丈夫だよ」


魔力の暴走というのは魔力の量だけじゃなく感情にも左右されると聞いた。

今のリオが落ち着いてるのも精神が安定してるからかも。

あの子供に興味のなくて闇属性を忌避する両親で一度しかっていうのはシャウラの精神力がよほど強いか、アトリアが結構な心の支えなのか…。

そういや、アトリアルートでヒロインに兄を取られると危惧したシャウラが魔力の暴走を起こしてしまう話はあったな。


「大丈夫なら良かった。少しなら光魔法が使えるから何かあったら手伝うよ」


「やっぱりシャウラをお嫁に貰って欲しいな」


「冗談もほどほどにしようね」


ばっさり切り捨てると冗談でもないのに…とアトリアがしゅんとする。

アトリアはことあるごとにシャウラを猛プッシュしてくる。

そんなに王子が嫌いか。


「リギルなら闇属性って知ってても怖がらず、普通に優しく接してくれるだろう?」


親にも疎まれるのはシャウラにとって辛いことで、家にずっと置くわけにもいかないし、王子は王子で優しいフリして珍しい闇属性をどう利用するかしか頭にない。

アトリアはアトリアなりにシャウラが幸せになるために手段を選ばないつもりなんだろう。


「でも、シャウラ嬢の気持ちが一番大事だろ」


でもシャウラが王子を好きなのも確かだ。


「シャウラがリギルを好きになれば問題がない、ということだね?」


「そうきたか〜〜〜」


この男、折れない。


「まあ今日はこのくらいにしておくさ」


このままだとシャウラが好きっていう洗脳でもかけられそうな勢いだ。

ちなみに脳には電気信号が流れてるから雷属性のこの男、マジでやろうとしたら洗脳魔法ができる。怖い。


まあ無理強いをするようなヤツではないだろうけれど。


「リギルは人気があるからね、心配なんだ。つい急いてしまうね」


「あはは、それなら大丈夫だよ。リギルは狂ったシスコンだからしばらくは妹のことしか頭にないよ」


リオはいつも通り後でシメる。


「…まあ、ヴェラが心配なのは事実だけど」


「お互い妹が大切だね」


「妹は天使で家宝だし、兄とってかけがえのない身体の一部みたいな存在というか。生きる糧で意味っていうかつまり存在意義そのものだよね」


「そこまではわからないかな………」


何故だ。


アトリアが若干引いてるのを見てリオがほらねと言った。

妹を愛するのは兄として当たり前なのに…。


「妹が嫁ぐまで結婚しなさそう」


リオが僕を可哀想なものを見るような目で見てきた。


「失礼な、僕にだって結婚する気くらいはあるよ。ヴェラを優先して大切にしてくれる人なら」


「うーん…、ハードル高めだなあ…」


ヴェラはかわいいからヴェラを可愛がって大切にしてくれる人は居るはず。

何が高めなのか。


「逆にヴェラちゃんの相手に求めるのって?」


うん?考えたことも無かった。

とりあえず攻略対象とくっつかないことだけは前提で色々考えてはいたけど。

 

「ユピテルは絶対ダメだし、リオも絶対ダメ」


「そんな気ないのに除外された…」


リオが若干ショックを受けている。

ヴェラは絶対渡さないと散々言ってきたから今更だろ。

逆に誰なら良いとか言われるとなかなか難しい。


あ、いた。


目の前にいるイケメン。


「アトリアならいいかな」


「なんで??????」


食い気味に聞いてきたのはアトリアじゃなくてリオだった。

なんだこいつヴェラに惚れてんのか?許さん


「僕が女の子だったらとして、アトリアなら僕も結婚したいから」

  

女の子だったらね。


スペックも高ければ作品随一で性格も良い。

何より攻略対象だから顔は良いのに一作目の方の攻略対象だからヤンデレじゃない。


ヤンデレじゃない。これ重要。


「ふふ、私もリギルなら結婚したいかな」


「何でカップル成立してんの??????」


リオが信じられないものを見るような目で僕らを見てくる。


「そもそも先にリギルと仲良かったのはオレだろ!結婚するならオレじゃん!」


あ、そこ?


周りが聞いたらめちゃくちゃ誤解を受けそうな発言である。

アトリアはもう両手で顔を覆って声を殺しながらめちゃくちゃ笑っている。

肩が揺れてるもん。


「リギルの浮気者!ばか!オレが一番だって言ってよぉ!」


「はいはい、一番一番」


「適当じゃん!!!!???」


こんなとこで変にヤンデレ要素発揮して独占欲出さないで欲しい。誤解されるから。


「リオのことも私は結婚したいくらい好きだよ」


言っとくがこれ、自分が女の子ならって話だ。

というか、アトリア、リオの反応が面白いからって揶揄ってる。


「アトリアぁっ…!オレも好き!!!!」


リオがガバッとアトリアに抱きついたのでとりあえずおめでとうと拍手をしといた。

ハッピーエンドだ。


正直ふざけ合ってただけどリギルとリオとアトリアは三角関係って噂が流れてたのを後に知ってやっちまったなとは思ったのだった。

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