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162・語らい

「くぅー!いよいよ婚約式かぁ〜!緊張するなぁ!」


そう言ったのは僕ではなくてリオである。


「なんでリオが緊張するの」


「なんとなく?」


呆れた顔を向けながら聞くとリオはへらっと笑うので思わず気が抜けた。

ちなみにいつも通りリオは遊びに来たのだが今日はなんだが落ち着きがなくしている。


「あと、なんか2ヶ月ほど後にはリギルとシャウラちゃんが同居するって思うとそわそわしちゃって」


「なんでリオがそわそわするの」


「なんとなく?」


今度はぽっと頬を染めてみせるリオ。いや、本当に意味がわからない。

婚約式は確かにもう数日後に迫っていた。

9月に聖女が偽物の噂を流しアンカを隣国に逃して、なんやかんやあって10月にユピテルとヴェラが婚約(偽装)、11月の頭である僕の誕生日に婚約式、その後すぐ…11月後半にミラが姿を現して聖女の入れ替え、12月の冬休み前には古の魔族が学園に乗り込んでくる。

9月から色々忙しかったんだ。僕は。

ちなみに今は10月の終わりだ。


特に婚約式の準備であるここ半年は9月前からも多少忙しかった。

婚約式はたくさんの招待状を送って大規模なパーティーみたいにするからだ。普通のパーティーと違うのは教皇も参加して婚約の誓いをパーティー前にすること。

婚約の誓いの手順は結婚式みたいに誓いの言葉を言って婚約指輪を交換する。


ちなみにユピテルとヴェラが婚約したと公にするのも僕の婚約式だぞ。


「婚約といえばヴェラちゃんの婚約者役は結局ユピテルになったんだっけ?大丈夫そ?」


あっ、と思い出したように言ってからさっき出したケーキをリオはぱくりと口に入れた。

ユピテルがヴェラの婚約者役に決まった時に打診していたリオにはちゃんと教えていた。

それはそれで良いじゃん!おっけー!と超軽く流されたので特段語ることでもないが。


「まあ、大丈夫だよ。ユピテルならあんまり余計な心配は要らないし」


リオやユピテル以外の男なら仮とはいえ勘違いするだろうけれど、二人ならそんなことはない。

ユピテルは竜だし、人間と恋愛する…という事もないだろう。


「確かに?」


信頼はあるよねー、同意するリオの口の周りには生クリームがついていた。食べるの下手くそか。

呆れながら拭いてあげると照れながら嬉しそうにしてる。

前々から思ってたけどリオって友人って言うよりは手のかかる弟みたいなんだよな。


リオもあと1年、18歳になると分岐点が来る。

ゲームのリオをヤンデレ女性不審遊び人にした失恋事件だ。これも対策を考えないといけない。

いまのリオは多少独占欲の強さというか、寂しがりな面というか、ちらちらヤンデレの片鱗はありつつも女遊びも全くせず、普通の恋愛がしたい普通の男の子である。

どうやったら復讐的に女遊びをするヤンデレになってしまうんだマジで。

リオの相手が誰かは全くわからないが要注意人物である。時期が近くなったら注視しないと。


そんなことを思いながらリオを見ていると、リオはいやん、リギルったら熱い視線向けてくる〜オレのこと好きすぎ〜とか言いながら気持ち悪く身体をくねらせた。


ちょっと育て方間違えたかもしれない。お兄ちゃん甘やし過ぎたかな。


「ま、結局ユピテルもいんじゃないって言ったオレの言う通りになったからオレのお陰だよね!」


じゃじゃーん!という自信満々な効果音が聞こえた気がした。

やっぱり育て方間違えた気がする。


ゲームのリオは過去は内向的で友人も居なくて余計恋愛にのめり込んだって側面もあったぽいからなるべく構うようにしていたんだけど、ちょっと構いすぎたわ。

小さい頃のリオは大人しく控えめで恥ずかしがり屋でしっかり者だったけど、今ははっちゃけ系で恥とか何処へやらからのアホの子全開である。


なんかすまん。でもこれだけ元の性格が変わったら色々大丈夫かもしれない。


リオの過去の詳細についてもミラがファンブックで知っているかもしれないからめっちゃ今更だけれど聞いておこう。


「そうだね」


軽く流すとリオはふふんと誇らしげにした。

リギルの役に立ってあげたぜ、と言っている。


実際はそうしたいと言ったのはヴェラだし、ユピテルの方からの気遣いもあったからなんだけど、リオがそう思うならリオのおかげということにしておく。


「にしてもみんな婚約しちゃってさぁ、オレには何も無いんですけどぉ」


「ん、確かに。縁談とかないの?」


リオのゲームの失恋の原因かも、と聞いてみる。


リオは2月になれば17歳になる。だいたいの貴族は教会の方針で自由恋愛を重んじるが、17から18歳になると親からお見合いの話なんてちらちら聞く。

学園で1年相手が見つからないなら学園では縁が無かったのだろうと言われて親から縁談を持ち込まれることは多いらしく、年上の貴族と婚約したみたいな話もクラスでは聞いた。学園ではない出会いもあるから、らしい。


「ないなー?」


リオも不思議に思うのか首を傾げた。


「親に恋人がどうかとか、婚約する相手がどうとか、そういう話されたことないかも」


「リオは一人っ子なのに?」


貴族の親というのはやはり家の存続を第一に考えるものだ。

リオに全くそういう感じがないなら気にしそうなものだけど。

そう考えながらほわわんとはるか昔に会ったラケルタ伯爵夫人を思い出してみた。

少なくともラケルタ伯爵夫人は優しげで無理強いとはそういうタイプではなさそうだから見守ってるのかも。


「んま!オレって信頼されてるから〜?」


…、なんか、うぬぼれモンスターみたいになってるけどこれも僕のせいだろうか。


本人は全く気にしてはいないみたいだけど、このことについても僕が少し気にしておこう。


もしかしたら口を出さないのは18になったら紹介しようと思ってるご令嬢がいるからで、それがあるこら大丈夫だろみたいなやつかもしれない。

それで、その相手がリオの手酷い失恋の相手だったりしてね?

全くないとは言い切れなくない?


ああ、駄目だ。こういうかもしれないを考えちゃったりして、過保護なとこがこの能天気自意識過剰男の生まれた原因なのかも…。


まあでも拾った子犬はちゃんと最後まで面倒みないといけないから、同じことだよね…!


色々あって更新のろまですみません


頑張って行きますので引き続きよろしくお願いします!

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