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157・教会にて

聖女を国外追放する日が来た。


夜中のパーティー、証拠を揃えた僕たち、本物の聖女の登場、そして偽物の聖女の糾弾、断罪!!!



…と、いうことをするわけではない。


アンカは説得したわけだし、カフとアンカはこっそり教会を抜け出してレグルスと合流。

そのまま三人で国外へ逃亡させる。


元々はもう少し後に先にミラが出て、アンカが偽物判定されてからアンカを逃すという作戦を考えていた(ユピテルの提案だが)けど、レグルスが反対した。

偽物だと糾弾され傷つく彼女を見たくないから先に連れ出すと。

アンカが居なくなった後すぐバレないように数週間は持つよく似た偽物の幻影を用意するとも言っていた。

そこまで言われたら尊重するしかない。


幻影が消えた後、聖女が居なくなったことは教会は伏せるだろう。

噂が広まっている事で焦っていたし、合わせて聖女が居なくなれば間違いなく隠蔽する。

ちなみにカフに関しては関わった者の記憶が消えるらしく、元々記憶改竄して潜り込んでいたのもあり居なくなっても誰も違和感を抱かないだろうとのこと。


そして教会はアンカ、もしくは本当の聖女を秘密裏に探すに違いない。

教会の中でも実は過去に本当の聖女の間にちょこちょこ偽物が挟まれてたことは知る者は一握りであり、しかしながら偽の聖女とばれた、のは初の事態だ。


アンカは光魔法を扱えるから、本物の聖女の可能性が高いとして聖女にされただろうがなんせ庶民の生まれで、偽物の可能性が全くないとは言い切れなかったはず。

だから、過去に偽の聖女が居たことを知る上層部はもしかして偽を立ててしまった後に本物が出てきたのか?と焦るし教会の名に傷が付くならしばらくは隠蔽するだろう。


アンカを見つけるか、本物の聖女を見つけるまで。



ミラについてはアンカが居なくなってからすぐに出ては偽物と疑われるので、ミラが名乗りを上げるのはしばらく経ってからで尚且つ偶然という形にしなければならない。


偶然ミラが光魔法で誰かを治療しているときに、あの眼鏡が外れる、とか?

そのあたりはアトリアとミラに任せてあるが決行日は僕とシャウラの婚約式の後だ。



……



そうしてしばらく経ったころ、アンカの幻影が消えた。


アンカが居なくなった学園では「聖女様は偽物だと謳われて心を病んでしまった」「本当に偽物だから顔を出せないのではないか」という噂がまことしやかに流れ始め、徐々に準備が整っていく。


「ですから、聖女様には今誰も謁見はできないのです」


「僕ですら拒絶するというのか!?」


「教皇様のご指示ですので王太子様でも何とも…」


そんな中、シャウラとの婚約式が迫っていた僕は婚約についての書類の最終確認と提出に教皇に会う為に教会に寄ったのだが、クソタイミングが悪かった。

王太子が教会の前でごねてるじゃないか。


今日はちょうどアンカの偽物が消えて10日目くらいだ。


「こんなに休むなんておかしい!!彼女が傷ついているなら僕でしか癒せる者はいない!!」


その自信、どっから来るんだ?


「せめて彼女がどうしているか答えるべきだろう!」


「聖女様のプライベートについてはお話しできなく、聖女様も誰にもお会いしたくはないと」


「嘘を吐くな!教皇殿が聖女を偽物と疑い監禁しているのではないか!!?」


教会には教皇がいる。教皇は国王と同じくらいの地位を持つ。役割が別なのだ。

国王は勇者の末裔で、治世や民を管理すること、外敵から守ることなどが役割であり、政治、主に外交や秩序を重んじる。

教皇は聖女と歴代聖女の管理、初代聖女の願いである自由恋愛を重んじる。つまり結婚に関することは教会の管轄であり、更にただ民を管理する国とは違い、孤児の保護なども行っている。


まあ初代の聖女と勇者は結婚はしたが、聖女が教会を建て弟を教皇に据え、秩序を守り民を守り、政をするのは王族に、民を癒し恋愛を重んじて民の幸せを願いそのために動くのは教会に、と約束した結果の二大巨塔というか。

とにかく王族と教会の関係はめんどくさい。


初代から今にはもうこじれに拗れてるのだから。


聖女は国王ほどではないが地位は王太子と同等であり、聖女が否といえば王太子も教会は通さない。

教会は特別であり、教会だけが一つの国のように独自のルールで成り立っているため、王族でも不敬罪などとは言えず、教会も教会で王族に対して大事にはできない。


まあ聖女がいないから聖女が望んでないと言ってるんだけど、そうするしかないんだろう。


そんなもんを見たので教皇にアポを取り直して明日にしようとユピテルとアイコンタクトをして踵を返そうとしたとき、


「ユレイナス公子!」


っと、馬鹿に見つかってしまった。


「ユレイナス公子も聖女に会いに?」


何で僕が聖女に会いに来たと思った??二人なら押せると思ったのか嬉しそうにしている。

あとめっちゃ慣れ慣れしいのがムカつく。自分が一番偉いと思い、僕も下に見てるんだろう。


「いえ、僕は婚約の書類を」


王太子は抱えた書類を見ると分かりやすくため息をついた。


「あの女と本気で結婚するのか」


毛髪全部引きちぎっていい?


とりあえず王太子を素通りして王太子に詰められていた神官の方に行く。

どうせ見つかったのならこのまま教会に入る方がいい。


「神官、教皇様にお目通りしたいのでご案内お願いします」


神官は渡に船と言わんばかりに首が引きちぎれそうなくらい頷くと「お待ちしていました、是非こちらへと」中に通してくれた。


それを見た王太子が何故僕はだめなんだと騒ぎ出してついに聖騎士に止められていたのを確認できた。


早めにあれなんとかしないとなー。と思いつつ、ゲームでもヒロインに攻略されなかった王太子は愚王になったので無理かもしれない、と心の中でため息を吐いた。

新しい章に入りました!


更新が遅れていて申し訳ない限りです


なんとか完結はできるよう頑張っていきたいです…!


メイン作よりも亀更新ですが、お手隙の際には他の作品も読んでいただけたら嬉しいです

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