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2 ……ねえ、一緒に冒険しようよ。

 終末の日 それはあらゆるものが終わりを迎える日


 北の森 過去の時代


 ……ねえ、一緒に冒険しようよ。


 ソマリがマリンと出会ったのは偶然のことだった。いつものように禁断の魔法書の保管されている『秘密の図書館』に無断で忍び込んで魔法の勉強をしていて、マリンを見つけたソマリは「君、そんなところでなにしているの?」と冷たい声でそういった。

『ああ、よかった。ようやく私を見つけてくれる魔法使いに出会えました! 私の名前はマリン。マリンって言います。私を見つけてくれた世界の救世主たるあなたの名前はなんていうんですか? 教えてください』

 マリンはとても明るい声でいう。

 ソマリは内心、とてもめんどくさいことになったな、と思ったのだけど、禁断の魔法書に封印されているくらいだから、この魔法使いは(幼い声の印象とは違って)とても強力な力を持った魔法使いであることはまちがいないのだろう。あまり逆らわないほうがいいのかもしれない。

「……ソマリ」

 とソマリは自分の名前をマリンに言った。

『ソマリ。私を見つけ出してくれた救世主。あなたはとても『幸運な男の子』ですね』

 ふふっと嬉しそうに笑ってマリンはいった。

 そんなマリンに対して無言のまま、ソマリは(我慢しきれずに)そっと本を閉じようとする。

『あ、待ってください! 本を閉じないで! 私の話を聞いてください」焦った様子でマリンは言う。

「……悪い魔法使いの話は聞かない」

 小さな声で囁くようにソマリは言う。

『その心がけは立派です。でもソマリ。あなたは一つ勘違いをしています。私は『悪い魔法使いではありません』と自信満々な様子でマリンは言う。

「……とてもそうは思えない」ソマリは言う。

『あら、ずいぶんと失礼なことを言いますね』と怒った声でマリンは言う。

『私は悪い魔法使いではありません。私はどちらかというといい魔法使いです』とマリンは言う。

 そんなマリンの言葉を聞いてソマリはまた、そっと本を閉じようとする。

 するとマリンは『あ、待ってください! まだ大切な話が終わっていませんよ!』と行ってソマリの本を閉じようとする行動を止めた。

 そんなやり取りが二人の間で何度か続いた。

 その間、ずっとソマリは飛行禁止区域である秘密の図書館の崖になっているような大きな空洞の中で体に巻きつけたロープだけを命綱にしながら、小さなランプの明かりだけを頼りにして、ずっとマリンと会話をし続けていた。

 そんな風にしてソマリが秘密の図書館い忍び込んで本を盗み読みしていたのは、もうずいぶんと前からのことだった。

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