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第1章 プロローグ
暗がりの部屋で、女の人がうずくまっている。その後ろ姿の女の人は、赤毛のカールした長い髪で、黄色いドレスを着て、腰の大きなピンクのリボンが印象的だ。どこかのお姫様だろうか?よく見ると、体が小刻みに震えている。
もしかして、泣いてるのかな?だとしたら、どうして泣いているのだろう?
わたしは部屋のどこかからお姫様を見ている。ここはどこなのだろう?暗くてよくわからないのだけれど、この部屋の雰囲気は、わたしが知ってる場所のような気がする。もっと注意深く見てみよう。わたしがさらに意識を集中させると、女の人がほんの小さな声で、なにか言っているのがわかったんだよ。
「りこ・・・・助けて、りこ・・・・」
え?もしかしてわたしの名前を呼んでるの?それにしても、助けてってどういうこと?その女の人って、わたしに助けを求めてるの?でも一体誰?
「りこ・・・・助けて、りこ・・・・」
もう1度女の人がほんの小さな声で言った。それからわたしの方を振り向こうとした時、わたしは目が覚めてしまったんだよね――。