表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/27

VS 大盗賊(?)アイオーン!④

ついに登場したアイオーンの切り札《【紅眼(レッドアイ)カードを奪う賊(カード・バンデット)》!

紅眼(レッドアイ)】の恐ろしい能力とは!?

最強デュエリスト、どう戦う!?

手札無し。

場にカード無し。

アイオーンの場には、切り札の《【紅眼(レッドアイ)カードを奪う賊(カード・バンデット)》。


客観的に見たら、状況は絶望的。

だが待ってほしい。

見えている情報だけで判断するのは、僕のスタイルじゃない。


「僕のターン…」


カードを引く態勢をとりつつ、冷静に考える。

デッキは残り16枚。強力なユニットを処理できるものもあったはずだ。

ほかに、サーチ、引き伸ばして次のターンを期待できるもの、墓地のカードを再利用するもの…

いろんな対応を考えられる状況だ。


僕のスタイルは、いつだって確率と効率との戦いだった。

その経験からしたら、いまは()()()()()()()()()()()()()―――!


「ドロー!」


引いたカードを確認する。

よし、いける!これならまだ戦える!

頭の中でカードを使う順番を構築する。

この手順で、盤面を持ち直す!


「僕は、いま引いた《異世界に続く階段》を発動!墓地のカードを1枚除外し、デッキからユニットを召喚する!

デッキより《()()()()()()()》を召喚!」


「異世界…だと…?」

少女とアイオーンが怪訝な顔をした。


空に黒い亀裂が入り、亀裂から僕の前にまで、闇で作られた階段が現れる。

そこからゆっくりと《異世界の放浪者》は降りてきた。

()()()が、僕のデッキの切り札だ。


「な、なんだそのカードは…そんな【託宣】、聞いたことがねえ…!」

「まさか…【使徒】…?」

「【使徒】だろうが何だろうが、俺サマだって、【託宣】から外れた、超常のカードを持ってるんだぜ!」

アイオーンの言葉に反応するように《【紅眼(レッドアイ)カードを奪う賊(カード・バンデット)》の眼が妖しく光った。


「【紅眼(レッドアイ)】のスタンド効果!相手のカードを除外する!」


《【紅眼(レッドアイ)カードを奪う賊(カード・バンデット)》が吼える。

紅い眼の妖しい光に呼応するように《異世界の放浪者》の周囲に黒い空間が現れ、その姿を飲み込んだ。


「ヒャハハ!【紅眼(レッドアイ)】はなあ、その能力で敵を、魔の領域、【混沌(カオス)】に落とすのさ

!そこに落ちたら最後、()()()()()()()()()()()!ハッ、ザコユニットが、ビビらせやがって!」


アイオーンがまくしたてる。

どうやら、知らないカードを見て焦っているようだ。


混沌(カオス)】、ゲーム的にいってしまえば、いわゆる除外ゾーンか。

落ちたら帰ってこれない。どうやら、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

この《異世界の放浪者》が現れるまでは―――!


「《異世界の放浪者》のレイド!除外されたとき、フィールドに戻る!」


再び黒い空間が出現する。そこから放浪者は()()()()()()()()()帰還した。


「か…【混沌(カオス)】から…!」

「帰って来るなんて、そんなカード、()()()()()()…!」


アイオーンと少女は、またも驚嘆する。

やはり、いままでは存在しなかったのだ。()()()()()()()()()()()()()―――!


「【紅眼(レッドアイ)】!もう一度だ!」


《【紅眼(レッドアイ)カードを奪う賊(カード・バンデット)》が再び眼を光らせ【混沌(カオス)】の扉を開いたが、さっきと同じように《異世界の放浪者》は帰還した。

さらに【紅眼(レッドアイ)】は、効果使用のコストにより、そのパラメータを4/0まで減らしていた。


「ば、バカな…」

切り札である【紅眼(レッドアイ)】が無力な状況に、アイオーンはかなり戦意を喪失している。

効果の無駄撃ちのおかげで隙もできた。畳み掛けるなら、いまだ―――!


()()()()()()()()()()《【征剣】カオスⅩⅢ》のレイド効果!フィールドのユニットの装備となってスタンド、+1/+1を与える!」

「【征剣】!?しかも除外ゾーンから装備だと!?そんなカード、いつ除外して―――ま、まさか!?」


そう、1枚だけある。

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()―――

《異世界に続く階段》のコストとして、除外されたカードが、1枚―――!


()()()()()()()()()()()()()()

それにはやはり。

ハンデスされたことにすらも。

()()()()()()()()()んだ。


「《異世界の放浪者+【征剣】カオスⅩⅢ 5/5》で、《【紅眼(レッドアイ)カードを奪う賊(カード・バンデット) 4/0》を攻撃!」


放浪者は、黒く輝く【征剣】を高く掲げる。

その刀身から、黒い闇の輝きが雲を貫くように吹き出した。


「…その者【混沌(カオス)】よりきたる。【征剣】をもって、闇の使いを撃退せん―――

やっぱり【使徒】様―――」


混沌両断(カオス・ザンバー)!」


放浪者は【征剣】を振り下ろす。

刀身から放出された闇が、まるでビームのように《【紅眼(レッドアイ)カードを奪う賊(カード・バンデット)》を飲み込んだ。


アイオーンのライフが0になる。

僕の勝ちだ。


「…【混沌(カオス)】から帰って来る!?【征剣】!?そんなこと、ありえない!」


アイオーンはまだ、自分の負けを認められないようだ。


「せっかく()()()から【紅眼(レッドアイ)】なんて【託宣】から外れた、強力なカードをもらったってのによー!」


そういえば、さっきから、全然知らない言葉を聞く。

「それはなんだ」そう声をかけようと思ったとき―――


「ありがとうございました。【使徒】様!」


少女が僕に駆け寄ってきた。

ああ、ここにも、知らない言葉がまたひとつ。


「その【使徒】っていうのはともかく、様付けは慣れないな」


「僕を呼ぶなら、波瀾万丈」


「僕の名前は、波瀾万丈だ」


やっぱり、ここは異世界に違いない。

さっきの【決闘(ドゥエル)】を見ても、現実じゃ、あんなエキサイティングなゲームはできやしない。

まだ、興奮に手が震えている。


少女とアイオーンに目をやる。

確かに、熱いゲームではあったけど、遊んでばかりはいられない。


決闘(ドゥエル)】、【紅眼(レッドアイ)】、【託宣】、【使徒】、【混沌(カオス)】、【征剣】、【使徒】…

僕がこの異世界を生き抜くためにも、知らなきゃいけないことはたくさんある。


勝利の喜びも束の間。

僕は彼女らから、話を聞くことにした。

■用語説明

①サーチ

-デッキ内の、ほかのカードを探すカードのこと

-必要なカードを引く確率を上げるためにも、重要なカード


②除外

-ゲームから除外の略。第二の墓地ともいう

-除外されたカードは、そのゲーム中は使用できない

-はずだったが、いまは除外されたものを専用のカードで利用できることもしばしば

-世界観としては、【混沌(カオス)】と呼ばれる


③【混沌(カオス)

-ゲーム的には除外ゾーン

-世界観としては地獄のようなものと思われている


④帰還

-除外ゾーンから戻ること

-類似の例として、墓地から戻ることは蘇生という


⑤【使徒】

-しと

-世界観としては、神の代行者のようなもの


⑥【征剣】

-せいけん

-12の使徒が持つと言われる、特別な剣のこと


⑦【託宣】

-神教国カルディアの国教、【カルディア聖教会】よりカードが配布されること

-神の意志として、ランダムにカードが配られる

-いわゆる、パックの配布

-高貴な者ほど、相応しいレアカードがあたるとされる


⑧パック

-カードが複数枚入った袋

-中身がわからないように閉じられており、開けるまでどんなカードが入っているかわからない

-現実世界の大人はたくさん買う

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ