VS 【刀の領主】レオンハルト④
手札の《聖教会への叛逆》、このカードを使ったら、僕はどうなるのだろうか。
僕の運命を大きく変える、ラストターンが始まる!
「ドロー!」
互いのエースユニットを失い、僕もレオンハルトも限界ギリギリだ。
(―――きた!)
僕はドローしたカードを見る。それは手札には温存していた《聖教会への叛逆》を活かすことができるユニットだった。
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レオンハルトは待ち構えていた。
彼の伏せカード、これはレオンハルト必勝の布陣。
圧倒的な攻撃力を持つユニットで優位をとり、さらに高い攻撃力で圧倒する。
その凶暴なまでの攻撃性が、彼をいち傭兵から【刀の領主】まで引き上げてきた。
(これは必然なのだ)
レオンハルトは考える。
傭兵から【領主】までこの戦法で勝ち上がり、そしていまここで、この布陣をひくことができる。
それは《聖教会への叛逆》を暗示された奴を引き込み、自分の野望へのさらなる力にすべしと、運命がそう呼びかけていると。
だからこの必勝の布陣がひけたことも、運命に導かれた自分の勝利のための必然であると!
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レオンハルトの目は死んでいない。
あの伏せカードがブラフであるはずがない。
だけど僕も、このカードを使えば、負けることなど考えられない!
《聖教会への叛逆》に目をやる。
このカードのためにアーリア村は鏖の危機にさらされ、さらに僕自身も叛逆者の烙印をおされた。
【騎士】のカードを持つマリーは騎士となり、【領主】のカードを持つレオンハルトは【刀の領主】になっている。
この《聖教会への叛逆》を使えば僕もやはり、叛逆者となってしまうのだろうか。
そんな不安を一瞬感じたが、僕の手は無意識に動き出していた。
勝てる勝負を、無意味な不安などで捨てるはずがない。
僕はデュエリストなのだ!
「僕は《森を守るもの》を召喚!」
「《森を守るもの 1/1》で《野望の傭兵 2/0》を攻撃!」
この攻撃が通れば、互いに1ダメージずつ受け、僕の勝ちだ!
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(来たか!)
レオンハルトの手が動く!
「このまま負けはせぬ!余の真なる野望を見るがいい!」
伏せられたカードが開く!
「魔法カード《神への叛逆》を発動!」
「《神への叛逆》は、敵に与えたダメージの半分をパタメータに加算する!
余がこの【決闘】でぬしに与えたダメージは9点!
この効果を受けた《野望の傭兵》のパラメータは6/4となる!」
このバトルの成立で奴のライフは0となり、余の勝利だ!
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(やはりブラフではなかった!)
そして、このカードを使うことになった!
僕はもはや考えることもなく、手札を場に放つ!
「魔法カード《聖教会への叛逆》を発動!」
「《聖教会への叛逆》は、敵から受けたダメージの半分をATKに加算する!
僕がこの【決闘】で受けたダメージは9点!
《森を守るもの》のパラメータは5/1になる!」
この攻撃でレオンハルトのライフは0になり、僕の勝ちだ!
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「やはり余の睨んだ通り、余と同類の男よ!叛逆者よ!」
「だがこれは、余の必勝の布陣!」
「このバトルで、確かに互いのライフは0となる!」
「しかし【決闘】は、互いにライフを失ったとき、後攻が勝利となる!」
「圧倒的な攻撃力!勝利の運命に導かれた、余の勝利だ!」
「それはどうかな」
「―――なんだと!?」
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《森を守るもの》と《野望の傭兵》が衝突する。
互いに譲れないからこそ起きる衝突。
それが例え、聖教会/神に叛逆するという、同じ意思のもとにあったとしても!
衝突が収まる。
レオンハルトのライフはなくなり、僕のライフは残った。
「この【決闘】、僕の勝ちだ」
「そのようだ。―――聞かせてもらおうか」
「レオンハルト。あなたの敗因はたったひとつ。自分の力を過信し、他者を顧みないことだ」
僕は《森を守るもの》をレオンハルトに見せる。
「このユニットでの戦闘では、プレイヤーが受けるダメージは0になる」
「―――なるほど」
レオンハルトは小さく笑った。
「だから、他者を顧みよ。この場合、村人の鏖を取りやめよ、ということか」
僕はうなずく。
「そのために村人のカードを使い、そしてそれを活かす戦術、見事であった」
「認めよう。この【決闘】!―――波瀾万丈!おぬしの勝ちだ!」




