VS 【刀の領主】レオンハルト①
アーリア村の鏖を阻止するため、僕は【刀の領主】と【決闘】することになった!
「【刀の領主】、あなたに【決闘】を申し込む!」
僕はそう宣言したが、アーリア村の面々からは悲痛な叫び声があがる。
「無理だ!」
「領主様に敵うはずがない!」
「私たちはもうおしまいだ!」
「―――あのような者共の言葉など聞くに値せぬが、おぬしに勝ち目がないのもまた事実。
どのように負けるかで、余に力を示せばよい」
彼がしゃべるだけで、強風をあびているような重圧を感じる。
僕はやっとの思いでデッキからカードをドローした。
「ドロー!」
「ほう。余のプレッシャーをうけてドローできるとは」
レオンハルトは、ただドローできることに驚きを感じているようだ。
そう、この男の前では、普通にできるはずのことができない。
僕の一挙手一投足から、僕自身の価値を量ろうとしているかのような、そんな印象をうける。
僕の価値を量られることに、僕自身が恐怖しているのか。
だけど、いまはそんな恐怖を気にしている場合ではない。
この【刀の領主】に【決闘】で勝ち、鏖を阻止しなければならない。
そのためには、おそらく、ただ勝つだけでは足りない。
ただ勝つだけでは、この【刀の領主】は、宣言したことを撤回たりはしない。
この【刀の領主】に、宣言を撤回させる勝ち方をしなければ―――
「僕は、《果樹園の村人》を2体召喚!
さらに魔法カード、《収穫祭》を発動!」
何の変哲もない村人ユニットと魔法を発動する。
これはさっきの【託宣】手に入れたものだ。
「さらに《果樹園の村人》のスタンド効果、ライフ1回復を2体分発動!」
僕はライフゲインしてターンを終了した。
レオンハルトは落胆した表情をみせつつドローする。
「どのようなカードを使うかと思えば、ただの村人とは…
この余の期待を裏切ったこと、後悔するがよい!」
落胆から一転、レオンハルトは怒りをみせる。
「余は、《搾取される民》を召喚!
―――それをコストに、レベル2ユニットを召喚する!」
「選ばれし【領主】のみが使えるカードを見るがよい!
いでよ!《【刀の領主】レオンハート》!!」
衝撃と共にそのユニットは現れた。
血に濡れた太刀。怒りの獣面。狂気に染まった領主の姿がそこにはあった。
「《【刀の領主】レオンハート》のスタンド効果、ユニットをコストに、自身を1度の攻撃だけ+2/0する」
「ユニットをコストに?だけど、あんたの場に、他にユニットは―――」
「墓地の《搾取される民》は、除外することで、コストになることができる!」
墓地から《搾取される民》が、嘆きの声と共に除外され、【混沌】へ落ちてゆく。
【刀の領主】の太刀は、さらに大きく、さらに凶暴になった。
「これが民!これが領主!民は搾取されるために存在する!」
「強化した《【刀の領主】レオンハート 6/4》で、《果樹園の村人 0/1》を攻撃!」
【領主】の凶刃が村人を襲う。
《果樹園の村人》は為す術もなく、巨大な太刀に両断された。
「うわあああああっ!」
その衝撃と共に、僕はライフにダメージをうける。
「そしてこの弱者、この末路が村人よ」
レオンハルトはさらにカードを1枚伏せてターン終了を宣言した。
危なかった。いまの1度のバトルで5点のダメージ。
《果樹園の村人》の効果でライフを増やしていなければ、即死だった―――!
「さあ、アーリア村の村人が、余に殺されるべきではないと言うのなら、ぬしの【決闘】で証明するがよい」
もちろん、僕はそのつもりだ。
この戦いは負けられない。勝つしかない。
しかも、ただ勝つだけでは足りないのだ。
刀の領主がたとえどんなに強力でも、僕は必ずやってみせる!
■用語説明
①ライフゲイン
-ライフを増やすこと
-ライフを回復すること
■カード紹介
①《果樹園の村人》
-種類:ユニット
-レベル:1
-パラメータ:0/1
-効果:スタンド:1ターンに1度、ライフを+1する
②《搾取される民》
-種類:ユニット
-レベル:1
-パラメータ:0/1
-効果:レイド:墓地にいるとき、除外することでコストになれる
■状況整理
①波瀾万丈
-ライフ:2/5
-手札:1
-場:2
┝《果樹園の村人 0/1》
┗《収穫祭》
②レオンハルト
-ライフ:5/5
-手札:1
-場:2
┝《【刀の領主】レオンハート 4/4》
┗伏せカード




