VS マリーとマリア③
ついにマリアの隠された切り札《異形の母サタンマリア》が召喚された。
しかし、いまの僕らに、彼女の切り札に対抗する術はない。
どうする、波瀾万丈―――!?
マリーのターンがはじまる。
僕らはかなり追い詰められている。逆転するためには、プレイミスはおろか、無駄なドローも許されない。
しかしマリーは、なにも疑ってはいない。
真っ直ぐに、あのカードを引くと確信している。
「わたしのターン、ドロー!」
「…やっぱり、来てくれた」
「このカードは、あの人が、わたしを信頼して託してくださったものだから」
「手の届く範囲にいる人だけでも守りたいという、あの人の思いに共感したカードだから」
「必ず、このカードがみんなの敵を討ちます!」
そう、この目だ。
ただの村娘だったマリーの奥底に眠る、凜とした強さ。
煌々と輝くような献身的な信念。
きっと、マリーを【騎士】に任命した【領主】も感じたのだ。
彼女の中に眠る、輝く可能性を―――!
「《逃げる村人》をコストに…
レベル2ユニット、《【華盾騎士】マリーゴールド》を召還―――!!」
黄金色の鎧をまとった女騎士が召還される。
女騎士が一喝し、金の盾を振るうと、黄金色の輝きがあたりに充満した黒い瘴気を払った。
「―――【騎士】!?まさか、ただの村娘が【領主】から【祝福】を受けているというの!?」
「《【華盾騎士】マリーゴールド 4/4》で、《【紅眼】血に飢えた獣 4/3》を攻撃!」
【紅眼】と【華盾騎士】が激突する!
力は拮抗しているようだったが、わずかに、【華盾騎士】が競り勝った。
【紅眼】を打ち倒した余波がマリアを襲う!
「ああああああっ!!」
マリアについにダメージが届き、ライフは10→9となった。
「よくも私のライフを!!」
マリアが【華盾騎士】を睨む。
そう、マリアは場に残ったままの【華盾騎士】を睨んでいる。
DEF4の【華盾騎士】が、ATK4の【紅眼】とバトルすれば、相打ちとなるハズでは―――?
「《【華盾騎士】マリーゴールド》のスタンド効果です。
DEFと同じダメージを受けたときは、耐えるんです」
ターン終了を宣言しつつも、【華盾騎士】は、金色の盾を油断なくかまえる。
「なら、私のターン!」
《異形の母サタンマリア》は再び、その効果で《【紅眼】血に飢えた獣》を蘇生する。
「その子が抵抗するなら、先にあなたから葬ってあげる。
《【紅眼】血に飢えた獣》で直接攻撃―――!」
僕の場にはカードがない。この攻撃を防ぐ術はない。
直接攻撃を受ければ、ライフをすべて失う!
ここまでか―――
「《【華盾騎士】マリーゴールド》の効果―――
攻撃対象を、このカードに移します!!」
「「なんだって!?」」
攻撃を誘導され、再び【紅眼】と【華盾騎士】が激突した!
マリアのライフがさらに減少する。
「ハランさん!【華盾騎士】がいる限り、わたしがハランさんを守ります!」
なんと頼りになる騎士だろう。
【華盾騎士】もそうだが、マリーのこの【決闘】での成長は目を見張るものがある。
もう彼女はただの村娘などではなく、立派な騎士であり、となりでともに戦ってくれることに、僕は心強さを感じているのだ。
マリアのターンは終了。
いまのカウンターはかなり効いているようで、マリアの場のカードはかなり弱まっている。
マリーの場には、僕を守ってくれた《【華盾騎士】マリーゴールド》。
この【騎士】がいなければ、僕はすでにライフを失って戦線離脱していただろう。
僕のターンがはじまる。
―――さあ、反撃はここからだ!
しかしこのとき僕らは、マリアの場に数ターン伏せられたままとなっているカードの恐ろしさを、まだ知らないのだった―――
■状況整理
①波瀾万丈
-ライフ:2/5
-手札:0
-場:0
②マリー
-ライフ:2/5
-手札:0
-場:1
┗《【華盾騎士】マリーゴールド 4/4》
②マリア
-ライフ:8/10
-手札:0
-場:3
┝《異形の母サタンマリア 0/1》
┗伏せカード
■カード紹介
①《【華盾騎士】マリーゴールド》
-種類:ユニット
-レベル:2
-パラメータ:4/4
-効果①:スタンド:DEFと同じダメージを受けたとき死亡しない
-効果②:スタンド:攻撃対象をこのカードに移す