VS マリーとマリア②
恐ろしい攻撃力でせまる、マリアの《【紅眼】血に飢えた獣》!
マリーも劣勢、この状況をどうしのぐ!?
「―――僕のターン!」
宙に浮いたホログラムのデッキから、腕を振るい、カードを手元に引き寄せてドローする。
手札は3枚、逆転の手とはならないが、この状況をしのぐくらいはできそうだ。
「僕は《森の放浪者》を召喚!」
「あらあら、2人とも、貧弱なユニットばかり召喚するのね」
「それでも、君のユニットを倒すには十分なんでね。
僕はさらに2枚のカードを伏せ…
―――《森の放浪者 1/1》で、《【紅眼】血に飢えた獣 4/1》を攻撃!
コストの支払いによりパラメータの下がった【紅眼】ならば、レベルの低いユニットでも処理できる!
その攻撃で《森の放浪者》と《【紅眼】血に飢えた獣》は相打ちとなった。
僕のライフと引き替えに。
「ぐあああああっ!」
僕は3のダメージを受け、残りライフ2となる。
この犠牲は大きかったが、第1条件はクリアした。マリアの切り札を倒せたのだ…
「ここからいくらでも有利な展開にできるだろう―――
なんて思ったかしら?
私は伏せていた呪いカード《遺された禍根》を発動するわ!」
「呪いカード…!」
「私のユニットが死亡したときに発動でき、デッキから《闇の信徒 1/1》を呼ぶ」
後続を呼ぶ、戦線維持のためのカード…
こんな布石を用意しているとは、まさか―――
「そう、《【紅眼】血に飢えた獣》は、私の切り札ではないの。
見せてあげるわ。本当の魔の力を。
―――私のターン!」
「《闇の信徒》をコストにして―――」
ユニットが消える。
「私の本当の切り札を召喚するわ―――」
再び、濃い瘴気が集まる。
「―――《異形の母サタンマリア》召喚!」
その瘴気より、異形が這い出る。
下半身は蛇、上半身は人間の女性。
その姿は、まさしく異形を産み落とすものだと確信させた。
「《異形の母サタンマリア 0/3》のスタンド効果!
0/-1をコストに、墓地のユニットをフィールドに呼ぶ。
蘇って、私の子―――《【紅眼】血に飢えた獣》!」
「【紅眼】を復活させるだと!?」
「この効果で呼んだ私の子は、効果が使えない!
だけど、あなたたちを仕留めるには、十分―――
《【紅眼】血に飢えた獣 4/3》で、その子の《逃げる村人 0/1》を攻撃!」
やはりマリーが狙われ、彼女は強く目を閉じた!
先ほどと同様に、この攻撃が通ればマリーはライフを失う!
それをさせないために、さっきのターンで僕はカードを伏せておいたのだ!
「僕は伏せていた《挑発》を発動!
【紅眼】の攻撃を、僕のユニットに向ける!」
「ハランさん!?」
「その子を守ったところで、あなたは無事で済むのかしら―――!?」
「僕が攻撃される対象に選ぶのは、伏せていた《森を守るもの 1/1》だ」
「そのパラメータなら、私の子の攻撃で3のダメージになる。やっぱり自滅かしら?」
「それはどうかな」
【紅眼】の攻撃を受け、《森を守るもの》は死亡した。
だが―――
「ダメージになっていない!?」
「そう、《森を守るもの》の効果。
このユニットの戦闘では、プレイヤーが受けるダメージは0になる」
「本当に。あの子もあなたも、しぶとさだけは認めてあげるわ。」
マリアはカード1枚を追加で伏せて、ターン終了を宣言した。
やっとのことで倒した【紅眼】はマリアの切り札ではなく、新たに真の切り札である《異形の母サタンマリア》を呼ばれた。
さらにその効果で《【紅眼】血に飢えた獣》は復活。
こちらはボード、ハンド、ライフ、全てのアドバンテージでガタガタだ。
僕にはもう防御用のカードもなく、次のターンが回ってくるかもわからない。
それでも、やはり、マリーは決してあきらめない!
「村の人の敵を討つ」という強い執念。それが、次の逆転の一手を生むのだった―――!!
■状況整理
①波瀾万丈
-ライフ:2/5
-手札:0
-場:0
②マリー
-ライフ:2/5
-手札:0
-場:1
┗《逃げる村人 0/1》
②マリア
-ライフ:10/10
-手札:0
-場:3
┝《異形の母サタンマリア 0/2》
┝《【紅眼】血に飢えた獣 4/3》
┗伏せカード
■用語説明
①呪いカード
-ユニット、魔法に続く、3種類目のカードカテゴリ
-ルールでは魔法と同じような扱い方をされる
-根本的な違いはカードの力の根源
-魔法は聖なる力が根源だが、呪いは【混沌】の力が根源といわれている