VS マリーとマリア①
マリーの村を支配する闇の聖母マリア!
四足獣の【紅眼】を従える彼女の実力やいかに―――!?
「まとめて相手をしてあげましょう。かかってらっしゃい」
マリアが挑発するように手招きをする。
2体1。これは変則【共闘決闘】だ。
僕とマリーはタッグとなり交互に味方ターンをプレイ、ハンデとして僕らは初期手札が1枚ずつ少なく、マリアは2倍のライフでスタートする。
アドバンテージとしては有利な状況ではじまるが、コンビネーションが問われる勝負になるだろう。
「わたしのターン、ドロー!」
マリーがデッキからカードを引き、ゲームがはじまった!
「わたしは手札のカード全て、3枚を伏せてターンエンド!」
マリーは手札の全てを場に出した。
タッグでは相方と交互にターンを進行するため、自分のカードを場に出せる機会が少なくなる。
出せるときに出しておくのはセオリーではあるが―――
「では、私のターン…」マリアがゆっくりとカードをひく。
「まずはカードを1枚伏せます。
―――そして、あなたも、すぐに私の村人に加えてあげるわ」
不吉な予言をするマリア。
しかしマリアは間を置かず、その予言を真実にできるほど強力なユニットを召喚する―――!
「続けて《生贄の村娘》を召喚。さらに《生贄の村娘》をコストにして…」
「―――コスト!」
「―――レベル2ユニットだ!くるぞ、マリー!」
とっさに2人で身構える。
「―――《【紅眼】血に飢えた獣》を召喚!」
黒いオーラがあふれる。
瘴気と呼んでもいいほど不快な気が集まり、マリアの前で四足の獣となった。
「グオオオオオオオオォォォ!!」
【紅眼】がギラついた瞳を僕らに向けて吠える。
「ごめんなさい、私の子、もう待ちきれないみたい。《【紅眼】血に飢えた獣》のスタンド効果…
0/-2をコストに、相手のカードを除外―――」
マリーの伏せたカード(それは《果樹園の村人》だった)が狙われる。
《果樹園の村人》は【紅眼】に喰われ【混沌】に落ちた。
「―――さらに、除外したカードがレベル1ユニットのとき、それは私の子の糧となり0/+2となる」
「なんだって!?」
《【紅眼】血に飢えた獣》は、カードを除外するためのコストで、4/3から4/1に弱る。
しかし、能力でそのコストを補完し、4/3に戻るということは―――
「そう、私の子は、さらなる獲物を求めるわ―――」
続けて【紅眼】はマリーのもう1枚の伏せカードを除外した!
除外されたそれは幸い、ユニットではなく魔法カードだった。
《【紅眼】血に飢えた獣》のパラメータは4/1から戻らず、効果は打ち止めとなる。
しかし―――!
「あら残念。効果はここまでね。
では《【紅眼】血に飢えた獣 4/1》で、あなたの伏せカード攻撃―――!」
マリーが最初に伏せた3枚のカード、その最後の1枚《逃げる村人 0/1》が攻撃された。
「《逃げる村人》の効果、このユニットは攻撃されても逃げ延び、生き残るわ!」
その名前通り、《逃げる村人》は【紅眼】の突撃を受けるが、傷だらけになりながらも生還した。
「あら、誰かさんみたいに、しぶといのね。
―――でもダメージは受けてもらうわ」
「きゃああっ!」
突撃で発生した衝撃波がマリーを襲う。
そのダメージで、マリーのライフは5→2となった。
《【紅眼】血に飢えた獣》のATK4を、《逃げる村人》のDEF1で受け、その差3がライフへのダメージとなる。
さらに《逃げる村人》はATKが0だったため、《【紅眼】血に飢えた獣》のDEFは1ではあるが、相打ちにはできなかった。
効果で《逃げる村人》が場に残ったとはいえ、次にマリーが攻撃されてはライフを失い戦線離脱となる―――
1ターンの攻防でマリーのライフは残り2、手札は0、場には《逃げる村人 0/1》。
対するマリアはライフ10、手札1、場には伏せ1と《【紅眼】血に飢えた獣 4/1》。
圧倒的な制圧力を見せるマリアの【紅眼】。
さらに僕の手札には、この状況を好転させるようなカードはまだ入っていない。
しかし、不利に見える状況の中、マリーの眼は決してあきらめてはいない!
「さあ、坊やのターンよ」
すでに制圧したと思っているのか、余裕を見せるマリア。
僕のターンがはじまる。
なんとか、この状況をしのがなければ!
「―――僕のターン!」
■用語説明
①【共闘決闘】
-複数人で行う【決闘】のルールの1つ
-今回の場合、2体1で公平に戦うために調整されたルールで行われる
■カード紹介
①《【紅眼】血に飢えた獣》
-種類:ユニット
-レベル:2
-パラメータ:4/3
-効果:スタンド:コスト0/-2:場のカードを1枚除外する。除外したカードがレベル1ユニットなら0/+2する
②《逃げる村人》
-種類:ユニット
-レベル:1
-パラメータ:0/1
-効果:スタンド:攻撃されても死なない