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紅眼の村③

ついに到着したマリーの村。

そこで僕とマリーの見た、驚くべき光景とは―――

「なんだ、普通にいるじゃないか。村の人」

「そ、そんな…」


マリーの村は、まるで何事もなかったように、普通に村人が生活していた。

門をくぐり、村の中に入っていく。


男性は畑や果樹園の世話、女性は炊事や洗濯、何気ない会話も交わされており、一目見た限りでは、どこの村にでもありそうな光景が広がっていた。

―――そう、一目見る限りは。


「お父さん!お母さん!」マリーが父と母を見つけ、駆け寄る。


「ねえ!わたしよ、マリーよ!わからないの!?」

必死に話しかけるが、マリーの両親は何事もないように、それぞれの仕事を続けていた。


それから、僕は村の中を一通り回り、外へ出た。

「どこも同じだったよ。どうやら村人みんな、決められた行動を繰り返してるみたいだ」

意識を失い、決められた通りの行動をする両親、友人、知人―――

せっかく帰ってきたというのに、そんな村の人たちの様子を見ていられないようで、マリーはこうして、村の外でふさぎ込んでいる。


「こんな、ひどい、せっかく会えたのに…」


村の現状を見るに、なにか異変が起こっているのは確かなようだ。

マリーの言ったように襲われ、消されたが、何かの都合でここに戻された。意識を失ったままで―――


「ううっ…冷えてきたな…」

僕は身を震わせた。

気が付けば日は落ち、辺りは暗くなっていた。

村の家々にも、明かりが灯っていく。


「もう冷える。一晩くらい、村の家を借りていかないかい」

マリーは顔をぬぐう。

泣きはらし、目は赤くなっていた。

「…村はずれの空き家に行きましょう。一晩くらいなら、泊まれますよ」


―――夜が更け、窓から見える明かりは、月明かりくらいのものになった。

ずっと黙って窓から外を見ていたマリーは、静かに語り始める。


「わたし、生まれてからずっとこの村で育ったんです。

 お父さんもお母さんも優しくて、村長さんもいい人で―――」

また、マリーの()()を涙が伝った。


―――かける言葉が見つからない。

僕ができることは、マリーの独白を聞いていることだけだった。

そして、これからできることもまた、マリーのこの無念を、晴らす手助けをすることくらいだろう。


月が雲に隠れ、辺りが闇に染まったとき、僕は異変に気が付いた。

いくつもの赤い光が、この空き家を囲っている。


その赤い光は、意識を失った村人たちの眼光だった。


「あらまあ、お客様がいると思って歓迎してみたら、逃げたお嬢ちゃんじゃない」


村人の囲いの一部が、道を空けるように下がる。

そこから姿を現したのは、背筋が凍るほど深い紅い色の瞳をした、物腰の柔らかそうな女性だった―――

■カード紹介

①《異世界の放浪者》

-種類:ユニット

-レベル:2

-パラメータ:4/4

-効果:レイド:除外されたとき、フィールドにもどる


②《異世界に続く階段》

-種類:マジック

-効果:レイド:墓地のカードを1枚除外し、デッキから異世界のユニットを呼ぶ


③《【征剣】カオスⅩⅢ》

-種類:マジック

-効果①:スタンド:装備ユニットを+1/+1する

-効果②:レイド:除外されているこのカードをフィールドに出す

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