紅眼の村②
【紅眼】を討伐するため、マリーの村を目指す波瀾万丈とマリーの2人。
マリーの村に向かう道すがら、僕とマリーは、さっきの【決闘】について話していた。
「しかし、すごいユニットカードでしたね」
「ああ《異世界の放浪者》のことかな」
この世界では、ゲームから除外され【混沌】に落ちたカードが、ゲームに帰還することは珍しい。
「はい。それに《異世界への階段》でしたっけ。あれで呼べるのもすごいですね。
レベル2のユニットなのに、呼びやすそうでしたものね」
「そうだね。あれはコンボできるカードだからね」
《異世界の放浪者》、《異世界への階段》、《【征剣】カオスⅩⅢ》は、セットで運用できるコンボカードだ。
階段で征剣を除外し、放浪者を呼ぶ。そのムーブは無駄がなく、最小の消費で高い効果を生む。
僕が前にこのデッキを、買いたてのストラクチャーデッキのようだと評価したのも、こういうカードが含まれているからであった。
「どれも【信託】で、見たことのないカードです」
「もし、これが僕の在り方を暗示しているのなら…」
オンリーワンのカードなのかもしれない。
そして、異世界からやってきた異物であると、そう示されているのかもしれない。
嫌な方向の思考に沈みそうになったときーーー
「あ!見えてきましたよ!」
目指していた村に着く。
しかし、その無人のはずの村は、異様な雰囲気に包まれていたーーー
■用語説明
①コンボ
-COMBO
-組み合わせると強力なものを組み合わせること
-類似でシナジー、のような言葉もある
②ストラクチャーデッキ
-すぐに遊べる状態で売られているカードデッキのこと
-使いやすいコンボカードも入っており、初心者がゲームに慣れるのに適している