第二話 災害の襲来?
しばらく待っていると、厨房のドアが開き、
「待たせたn
ガシャーン!!
轟音と共にいきなり天井が破壊される。何事かと思い上を見ると、空を飛んでいる人間がいるのが目に入る。誰か心当たりはあるか考えていると、
「久しぶりだなぁ?「闇喰」。」
と、聞きなれた声が耳に入ってくる。
「こんな所で何してんだよ?」
誰か理解して口に出す。
「閃ちゃんか!」
「誰が閃ちゃんだ!ちゃんと災名で呼びやがれ!」
あからさまにキレた口調で言う。
「まぁまぁ。落ち着けよ閃ちゃん。」
「だっから!いい加減にしろよ!」
「そんな口きいていいと思ってるのか?「銀嵐」。」
いきなりガチトーンで言ってみると、予想通り黙った。というか黙ってしまった。もう少し噛みついてくるかと思ったんだが…
「で、何しに来たの?」
「いや、ここら辺でお前の気配がしたから来ただけだ。」
気配がしたからって。子供の時にはほとんど俺が面倒を見ていたから小さいころの閃をよく知っているが、やっぱり子どもっぽいところは変わらないようだ。
「俺に会いたかったのか?」
と、小馬鹿にするような口調で言ってみる。
「なっ!だっ、誰がてめぇに会いたがるんだよ!」
明らかに動揺している。相変わらず可愛い奴だ。
「それはそうとしてさぁ。天井ブチ破って入ってくるのは、さ?おかしいじゃん。」
「いやまぁ。そうだけどさぁ。」
「やっぱりこういうのは謝るべきだよねぇ?」
「いや、そりゃ、というか!俺と話し始めた瞬間から途端にうざくなりやがって!」
「おや?逃げるんですか?それに”俺と話し始めた瞬間から途端”?もしかして聞いてたの~?聞いてた上でタイミング見計らって入ってきたの~?カワイイねぇ~?閃ちゃん?」
「うるせぇ!ぶっ殺すぞ!」
「おやおや、お顔が真っ赤ですよ~?そんなに俺のことが好きだったの~?」
「ッ…!うるせぇ!」
「否定しないの~?やっぱりカワイイねぇ~閃ちゃんは。」
「それと、話そらしてるけど、天井。謝った方がいいよね?」
「う…」
「ご め ん な さ い は ?」
「ごっ、ごめんなさい。」
と、つぶやくようにぼそっと口にする。
「すみませんね。店主さん。許してもらえますか?」
「いやまぁ、許すっつってもなぁ。というか、いつもあんな感じなのか?」
「閃が弱いのは俺の前でだけですよ。下手なこと言うとぶっ飛ばされますよ。」
「おっ、おう。ただ、天井どうするかなぁ。」
「それならご心配なく。」
そういって、俺は天井の穴が開いた部分に手を掲げ、魔法的なものを行使する。すると、たちまち天井は綺麗に再生し、まるで何事もなかったかのようにヒビすら見えなくなった。
「すげぇ!まるで新品みてぇだ。」
と大喜びする店主と、店主を見て当たり前だといいたそうな閃。やっぱり閃は子供にしか見えない。
「ただ、ステーキは冷めちまったみてぇだな。作り直すわ。」
と、厨房に入ろうとする店長を引き留め、
「同じのをもう一つ。それは俺が喰います。」
「おぉ、そうだよな。半分じゃ腹いっぱいにならねぇしな。」
「いや、俺は何も食べなくても生きていけるから、元は食べないつもりでしたよ。」
そう。俺は食べる必要がない。今まで喰った人間の寿命分死ぬことも、栄養も必要ないのだ。そこが明確に自分が人ではないと証明していて、少しつらいが、ずいぶん前に吹っ切れているから、今更気にすることでもない。
「じゃあ、作ってくるわ。」
厨房に入ってゆく店長を今度は見送る。そして、自分に視線が向けられていることに気付く。
「どうした?閃。」
まぁ、聞かなくてもわかるが一応聞いてみる。
「…それ、食べたい。」
わかりやす過ぎる。肉をジッと見て涎を垂らしている様を見れば誰でもわかるだろう。まぁ、俺は食べる必要がないからあげることに抵抗はないが…
「たぶん冷え切ってて、味がだいぶ落ちてると思うぞ。」
いろいろ話していたせいで冷え切っているステーキ。零ができたてを食べている隣で、それを食べさせるのは少しかわいそうだ。そう考えていると、
「それは大丈夫だ。最近火を使う魔法を覚えたんだ。若干焦がしてしまうかもしれないが、大したことにはならないだろ。」
お前、嵐って災名にあるのに火なんて使っていいのか…と考えてしまう。だが、災名は本人の特徴をとらえたもの。嵐こそが最大の特徴なのだから問題はないな。
「そういえばそのガキ誰?」
とちょっと低めのトーンで言う。彼女が彼氏の女友達と仲良くしてる所を見たときの反応かよ…
「あれぇ?嫉妬してるのぉ?」
「してねぇよ!」
「まぁ、これは捨てられてたから拾って来たんだけどね。」
「へぇ~。 おいガキ。良かったな、お人よしに拾われて。こいつじゃなかったら今頃殴られたり、もしかしたら殺されたりしてたかもなぁ!」
「うん。殴られる他にも、腕を何回もへし折られたり、足を切断されたり、どれも治るから、それを何回もやられたり、魔獣の餌にされたり、etcetc…」
「お前やべぇの拾ったな。」
「俺もそう思ってる。」
ガチャ
扉の開く音がする。出来上がったようだ。
「今度こそおまちどうさま。ディグドラゴンのステーキだ。一個は冷めちまったし、代金は一個分でいいわ。」
「いや、二個分払うよ。最近赤字なんじゃない?」
「あぁ。まぁな。じゃあ、ありがたくもらうわ。」
「たべていいの?」
「俺も早く食べたい!」
なんだまだ食べてなかったのか。
「早く食え。」
「いただきます。」
「いただきます!」
真反対なタイプだけどなんか違和感ないな。やっぱり子供は可愛いな。いや!ロリコンじゃないし、ショタコンでもない!というか、何のための弁明だよ!はぁ…
「おいしぃ~!」
満足そうに笑う閃。
「なんかかわいいな。」
「でしょ。」
そう。子供が可愛いのは、大人の中では当たり前なのだ。俺はおかしくない!
ーー数十分後ーー
「ごちそうさま。」
「ごちそうさま!美味かったぁ~」
「そりゃよかった。」
ここまで零の大人感と閃の子供感の差がひどいと、年齢逆なんじゃないのかと疑ってしまう。
「で、閃はこれからどうするの?」
「んー。まぁ、またそこら辺をうろうろするかな。」
「へぇ?俺が面倒みてあげてもいいんだよ?」
「いるか!」
そんな会話をしていると、
「閃さんは何歳なの?」
「まぁ今年で212だな。お前こそ幾つだよ。」
「私は、92。」
「若っ!」
「やっぱり子供だな。」
そう言って軽く笑うと、
「まぁ、少しは成長しねぇとな。」
予想外の返事だ。てっきりまた、俺はそこまで子供じゃねぇ!とか、こいつが大人過ぎるだけだろ!とか言い出すと思っていたが、やはりこれだけの年齢になって、父親のことも考えるようになったのだろうか。
「似合わねぇな。そういう返し。」
「うるっせ!少しは大人になりてぇんだよ!それに…まぁ、親父のこともあるし。」
やはり父のことを気にしていたか…あまり考えてほしくはないが…まぁ、今はおいておくとしよう。
「そろそろお暇させてもらうよ。店長。これ。」
「おう。毎度あり。って、おいおい。払い間違いにしちゃひでぇ間違いだな。2ゴールドと36シルバーで足りるのに、10ゴールドって。」
「それは感謝だよ。久々に、まぁ、300年ぶりくらいに楽しかったからね。」
「だけどなぁ。」
反論を続けようとする店長に、にっこりと微笑み、振り向かずに店をでる。引き留める声が聞こえたが、これ以上いると、本当に気が変わってしまいそうだ。扉が閉まる直前、感謝の声が聞こえた気がしたが、案外気のせいかもしれないな。そう思いながら、店を後にした。
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「じゃあな。また今度会った時はまた美味いもの奢ってくれよ?」
「あぁ。わかった。またな。あと、考えすぎるな。父親のことはもう終わったんだ。」
「…わかった。ありがとう。」
悲しそうに言った後、風の魔法なのだろか?それでどこかに消えてしまった。
「この後どうするの?」
「そうだなぁ。まぁ、馬車でまたどっかに移動だな。」
「閃みたいに一瞬で移動できないの?」
「できるけど…人間らしく生きるって決めたからな。」
「ふーん。」
やはり興味なさげだ。まぁ、そういう性格だから仕方ないが。さて。あの馬車に乗るか…?なんかいやな予感がするな。
「やっぱり今日は空間移動で行くか。」
「どうしたの?」
「まぁ、勘だな。」
「へぇ。」
そして、闇に溶けるように場所を移動し、どこに行くか考えるのだった。
どうでしたか?いまいちかっこが連続してしまうんですがどうなんですかね?1日で2話投稿できるとは思っていませんでした。相変わらず(まだ3話しかだしてないけど。)クオリティは低いですが、楽しんでいただけたら幸いです。