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神ノ遊ビ~十二災編~  作者: セドル
第一章 
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第一話 出会い

見に来てくれる人がいたらいいなぁ。


・・・・・・

 「ついたぞ。」

 と、運転手の声がする。

 「あぁ。ありがとう。」

 「別にあんたに感謝されてもうれしかないね。」

 そう、どこか悲しそうな表情で言う。何故?と聞こうと思ったがやめておく。大した返事は帰ってこないだろうし。

 「いくらだい?」

 「いらん。とっとと出て行け。」

 少し話がしたかった気はしたが、すぐに降りることにした。街の様子も見たいし。

 「じゃあ。」

 「もう戻ってくんな。」

 若干震えた声でそう言う。

 振り向かずに手を振って降りる。降りてすぐ馬車が出発する。おそらくもう二度と会うことはないだろう。彼らが平和に暮らせることを祈りながら街へと足を踏み入れる。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




 「ひどい荒れようだな。」

 と、意識せず口に出す。家の見た目は普通。それどころか少し綺麗とも思える外装をしているが、何せ露店のようなものはボロボロで、歩いている人も、少ない上にひどい表情をしている。道らしきものは全く舗装されておらず、すぐ躓いてしまいそうな感じになっている。

 しばらく周りを見ていると、一か所だけ人が集まっている場所があった。

 何か気になってのぞいてみると… 

 ”ご自由にお殴り下さい。”

 その文字を読み終わる前に、その殴られている子供の前に出る。そして、

 「ここから離れろ。」

 と、威圧するように言った。たちまち野次馬は散り散りになる。だが、殴っていたやつや、殴らせていたやつは納得いかないらしく、

 「誰だてめぇは!」

 と、喧嘩腰で此方に近づいてくる。が、数秒後にそいつらは顔を真っ青にし、

 「すっ、すみません…謝るから殺さないで…」

 震えながらそう懇願する。

 自分が十二災の一人だと理解した瞬間それか…と思いながら、

 「言っただろ。ここから離れろ!」

 さっきよりも語調を強くし言う。

 今度は先ほどの様に突っかかってくることもなく、急いで逃げる。

 そいつらが見えなくなったことを確認し、先程まで殴られていた子供に目を向ける。

 「大丈夫?」

 聞いた自分が思うのもあれだが、大丈夫にしか見えなかった。傷一つなかったのだ。 まだ殴られていなかったのか。と安心していると、

 「大丈夫です。数百発程度なら大して問題ないです。」

 と、さも当たり前のように言う。他の世界があって、そこには亜人だの、人みたいな人外がいるとしても、この世界には俺ら十二災を除くならいない。せいぜい悪魔がいるくらいだ。だが、この小さな子供は悪魔に見えないし、そもそも悪魔ならあの場の人間全てを殺しているだろう。契約者だとしても、悪魔から助けが入らないのはおかしい。じゃあ?

 とかいろいろ考えていると、

 「じゃ、さようなら。」

 と言って帰ろうとする。焦って引き留めると、

 「どうせ家に連れ込んで殴ったり犯したりするんでしょ?」

 と、えげつない発言をする。いや、俺まだなんも言ってないし。と言おうと思ったが、言うだけ無駄なので言わないことにした。

 「というか犯すって…」

 さすがに衝撃的すぎて勝手に口に出てしまう。

 「家に入れてくれるってことでしょ?」

 まぁそうなんだが、なんか家に連れ込まれるのが当たり前になりすぎていてもはや怖い。

 「そうだけどさぁ。そんな頻繁になの?」

 「連れ込まれて殴られるのは多いけど、犯されたことはない。」

 いや、無いんかい!という突っ込みを喉の奥に押し込んで、質問する。

 「じゃあなんで犯すなんて言葉が出てくるんだよ?」

 「…いつもはせいぜい120歳くらいで殴ることしか知らない様な奴だったけど、今回はイケメンで尚且つ200歳くらいでイロンナコト知ってそうだし。」

 とんでもないい印象だな…というかそもそも俺は

 「俺はもう600超えてるぞ。それについてないしな。」

 不思議そうな顔をして今度は向こうから質問が飛んでくる。

 「600?なのになんでそんなに若いの?それについてないって?」

 「俺は十二災の一人でな。ついてない理由は、急所を増やしたくないからずいぶん前に切り落としたから。」

 え?なんで?と言いたそうな表情をした後、悟ったような表情になる。

 「殺しに来たんだね。」

 と、理解したことを口に出す。まぁ理解したことと言っても殺す気はないけど。

 「違う。俺は被害を出してない。お前が殴られていてむかついたから助けたんだよ。それにこの後も心配だから、家…じゃないが面倒を見ておきたいってこと。」

 また不思議そうな表情に戻り、

 「十二災は人を殺すためにあるんじゃないの?」

 とんだ誤解だ。いや、そうでもないんだが。

 「全ての人間を殺し尽す存在ではないよ。」

 まったく殺さないとは俺からは絶対にいえない。そんなことを言うためには十二災全員の宣誓が必要になる。

 「…やっぱり犯すんでしょ?別にいいですよ。お兄さんイケメンだし。」

 どんだけヤリたいんだこの子供は。しかも、まったく感情を感じない。もしかして感情を使って契約を?それでも悪魔が近くにいないのは変だ。もし悪魔がいないなら、本人はとてつもない力を有しているはずだが…と考えていると、

 「答えないってことは犯すってことだよね?」

 「いや、それはない。そもそもお前幾つだよ?」

 「92…」

 92⁉めちゃくちゃ若い。他の世界では100歳も行けばすごいらしいが、ここでは若すぎる。まだ幼女も幼女。というか

 「俺はロリコンじゃないし、幼女に興味ねぇよ。まぁ、幼女じゃなくても興味ないけど。」

 そういうとなぜかムスッとした表情になる。知りたてで興味があって感じか?まぁ、なんだろうがヤル気はないが。

 とか考えていると、結構人が集まってきた。十二災であることに気づきだしたんだろう。

 「取りあえず動くぞ。」

 というと

 「いきなり動くの?」

 とかふざけた返しがきたので、軽く頭を小突いて持ち上げる。そして勢いよくジャンプし、屋根に乗る。急いでよさげなところを探して隠れなければ。そう考えていると

 「お兄さん名前は?」

 と聞いてきた。

 「俺は、十閻寺 煉。619歳で十二災の「闇喰」だ。」

 「やみぐらい?」

 「十二災にはそれぞれ災名って言って、そいつの特徴をとらえた二つ名的なのがあるんだ。十二災同士は災名で呼び合うのがマナーになってる。」

 「へぇ。」

 「お前の名前は?」

 「…ない。思い出したくない。あんな親にもらった名前なんて。」

 何やら闇が思っていたより深そうだ。だが名前がないと不便だな。そうだな、おっ!これは特徴とらえてていいんじゃないか?

 「零。どうだ?」

 「れい?」

 「ぜろとかの零。」

 「…じゃあ、煉は私のお父さんだね。」

 確かに名づけの親にはなるのか?まぁ、自分の娘なら守る理由にもなるしな。

 「そうだな。今からお前は十閻寺 零。俺の娘だ。」

 「そっか。」

 と、案外どうでもいい風に帰ってくる。まぁ、気にすることでもないか。

 君との間に子供ができてたらこんな感じだったのかな?…いやそれはないな。君は優しかったし、こんなそっけなくなかったしな。生きてたらよかったのに。まぁ、考えるだけ無駄。か。

 「零。休憩できるところに行ったらいろいろ聞かせてもらうぞ?」

 「わかった。煉。」

 意外と素直だな。

 お?あそこの飯屋は外装も整ってるし、中も荒れてなさそうだ。あそこにするか。

 「降りるぞ。」

 トーン スタッ

 「やっぱりよさげだな。」

 「大丈夫なの?怖がられそうだけど。」

 確かに。まぁ、どうにかなるだろ。

 「どうにかなるさ。」

 カランコロン

「おっ、いらっしゃい。って、えぇ!!十二災の闇喰か?」

 「有名人だね。」

 そりゃそうだ。だがあまり怖がってるようには見えない。

 「すまないね。ご飯。いただけるかな?」

 思いのほか礼儀正しい様子に驚いたのか、暫く固まっていたが、

 「わかった。何頼むんだい?」

 と聞き返してくる。

 「零。何か食べたい者ある?」

 「いや、別に。」

 なんでもいいが一番困るんだが…

 「店長。おすすめを。」

 「はいよ。だが、話はいろいろ聞かせてもらうぞ?その子供のこととか。」

 「あぁ。」

 「先に言っておくぞ。ディグドラゴンのステーキ。値段は1ゴールドと18シルバーだ。」

 ほっ。よかった。ぼったくりとかたまにあるんだよな。

 「ぼったくりじゃなくてよかったよ。」

 「そういうことはしねぇ。人も性格で見るって決めてるしな。」

 ずいぶんとイケメンなやつだったようだ。

 「君の所に来て正解だったよ。」

 「そりゃどーも。」

 といって厨房へ入っていった。暫くゆっくり待つとしよう。

どうですかね。楽しんでくれたら幸いです。次回をお待ちください。

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