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花壇の名前
この花壇には、始めは何の花も咲いていなかった。
しかしすぐに、種が蒔かれて雨が降る。
陽を浴びてすくすくと成長し、立派な花を咲かせた。
種は頻繁に蒔かれる。
時には、生涯ずっとそこにあるような木になることもある。
しかし、水を与えられなかったり、陽が差さずに成長しないこともままある。
さらに、有害な植物が生えて周りの草木に悪影響を及ぼすこともある。
そんな中、稀にどこからか特別な種が迷い込むことがある。
そういった種は、悪環境にとても弱い。
けれど大事に育てて立派な木にしてやれば、人生を末永く支えてくれる大樹となる。
花壇は他にもたくさんあるが、どれをとっても同じものはない。
それぞれの人がそれぞれの成長を見せ、世界に1つだけの花壇を作る。
人はその花壇を、心と呼ぶ。