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第八話 癒しと合成

 癒しと合成


 ブラッドアイが六体から十四体に増えた。

 素材となったのは、私が自ら手をかけた冒険者という物たちだ。

 ハイスケルトンたちが押さえつけ、槍で胸を突き刺していく。

 肉を貫き、骨の抵抗を受けながら、心臓まで槍先を届かせるのには、かなりの力がいることを理解した。

 そうして、全ての遺体をブラッドアイに変えて、立体迷路に放った。


 慣れないことをしたので、癒しを求めて牧場に行くと、馬がいることを思い出した。

 冒険者の彼らが乗ってきた馬だが、そんなことは関係なく、牧草となっている薬草を食べていた。

 丁度良いので、乗馬を覚えてみよう。

 この先の展開は、まだよくわからないが乗馬はできておいた方が良い気がする。

 ハイスケルトンたちをお供に、ジャージに着替えてチャレンジした。

 ハイスケルトンに囲まれた馬は、萎縮してしまい、私の言う事を素直に聞いてくれる。

 強引なやり方なのはわかっているが、これはこれで楽しいので良しとした。

 そのうち、馬も慣れてきたようで、ハイスケルトンがいなくてもしっかり乗せてくれるようになり十分楽しんだ。

 馬から馬具を外していると、グレムリンがやってきてヤギ乳を搾っていた。

 どうやら、牧場の世話はグレムリンが、工房での仕事が煮詰まらないように担当していてくれたようで、ヤギも大人しく乳を搾られていた。

 私も試しにやってみたが、グレムリンのようにはいかず、さすがに器用なグレムリンだと感心してしまった。

 この時に、武具防具一式が完成したと知らされたので、玉座の広間に届けてもらうことにした。


 玉座の広間に戻りグレムリンを待っていると、しっかりとした革の鎧を作り込んでくれたようだ。

 武器は、槍と短剣に弓矢、冒険者が持っていた剣も用意してくれた。

 ハイスケルトンを十体呼び、相性の良い組み合わせを選んでもらう。

 今からやるのは、モンスターの合成だ。

 全員が選び終わったので、一体ずつ合成をしていく。

 素材は揃っているので、わずかなポイントでボーンアーミーが十体出来上がった。

 ゲームの頃の知識だが、スケルトン系統の合成は、無数にあるが、汎用性が高く扱いやすいのはデスナイトだった。

 ボーンアーミーは、デスナイトになるための通過点となっているモンスターで、あらゆる武器を使いこなすのが特徴だ。

 無事に合成が成功したので、グレムリンにさらに二十セット追加してもらうことになった。


 ボーンアーミーたちには、森の獣を駆逐してもらい、広域警戒を止めていたロックガーゴイルたちに、エスナルへ、偵察に出てもらい、行けそうなら、エスナル周辺の家畜を奪ってきてもらうように頼んでから送り出した。

 全てのロックガーゴイルを送り出したので、鉱脈で見つかっていた銅鉱石を素材にカッパーガーゴイルを四体呼び出しておいた。


 その後、グレムリンたちが頑張っていることがよくわかったので、五階分追加して森と牧場と鉱脈をひとつずつ増やし、工房を二つ追加した。

 工房の増設によって、グレムリンをさらに二十体呼び出し、研究員となってもらう。

 三つの階層にわかれた工房には、一つを損傷が一番激しかったバスを与え、よく似た乗り物を作れないか、使われている素材の再現ができないかなどを研究してもらう。

 もう一つの工房には、携帯ゲーム機や携帯電話をあたえ、よく似た物を作れないか、など、バスと同じようなことをしてもらう。

 最後の工房は、従来通りで、この世界の素材でできることをやってもらう。

 今までも素材の研究はしてもらっていたが、いくつもある課題の一つだったので、これからは作業が進むだろう。

 鉱脈も、一つ目を宝石類、二つ目をノーマルメタル、三つ目をレアメタルという感じに設定した。

 全てをレアメタルにしても、良い物ができるわけではないし、宝石類は、この世界では、魔力の貯蔵ができる電池の様な役目があるらしい。

 人口宝石も作れるのだが、素材が上手く手に入らなそうなので、後々考えよう

 配置も少し変えて、鉱脈を三つと森を二つ、牧場を二つ、工房を三つにして、最後に玉座の広間にした。

 ダンジョン内は、私とリアは自由に転移できるし、必要に応じて、モンスターたちから要請があれば、転移をさせている。

 こうして私のレベルも二十四となった。


 それから、二週間程度を置きながら、石の道から、ハイスケルトンが冒険者と馬を連れて帰ってくるようになった。

 初めの二組八人は、情報を聞き出したのちにブラッドアイになったが、それ以降は、情報を聞いてから命を奪い、遺体を保存することにした。

 ブラッドアイが三十体もいれば、攪乱には十分だろう。

 冒険者の装備は、似たり寄ったりだったのだが、全身鎧の者や馬鎧を着せているものがいた。

 早速グレムリンに頼んで量産してもらい、リビングアーマーが仲間に加わった。

 リビングアーマーは、死霊系のモンスターで、動く鎧だ。玉座の広間に、防衛戦力がないことを、多少だが気にしていたので、見た目を華やかにしてもらい、玉座の広間の装飾品代わりになってもらおう。彼らは、元々が鎧に魂が宿ったモンスターで動かないことは苦にならないという。

 馬鎧は、どれだけ必要になるのかわからないので、気長に三十程作ってもらうことにした。

 石の道に出かけたハイスケルトンたちが、全員ボーンアーミーになったので、鉱脈にいるスケルトンたちを石の道に行かせた。このスケルトンたちもいつの間にかハイスケルトンになっていたので、戻ったらボーンアーミーにさせよう。


 そうして、エスナルに出かけていたガーゴイルが、子山羊や子牛を連れて戻ってきたころに、ゴーレムたちも戻ってきた。


 ガーゴイルもゴーレムもカッパーになっており、どこかで進化をしたようだ。

 ガーゴイルたちは、四体を入れ替えて再び出かけ、ゴーレムたちは、鉱脈を掘る仕事を始めた。


 鉱脈から送り出したハイスケルトンたちも、冒険者を移送してきた時に、その都度、ボーンアーミーにしていた。

 開拓がない今となってはゴーレムの仕事場としては、鉱脈は丁度良いのでありがたく思っておこう。


 ダンジョンの日々は、淡々と過ぎていき、冒険者もたまに来ては、ポイントになっていく。

 今のうちに、やっておきたいことがあり、自己強化のリストからいくつか習得した。

 体術と剣術に槍術だ。さらに、騎乗もあったので、それも覚えておいた。

 師匠となるのは、リビングアーマーだ。当たると痛いので、私用の軽量鎧をグレムリンがわざわざ作ってくれて、武具も用意してくれた。

 師匠の動きを見ながら、素振りから始め、型を覚えていく。とはいえ、師匠が言うには、叩くか突くしか基本的にないので、型は動きを覚える程度だという。


 せっかくなので、日本刀を使えないかと、日本刀の作り方をつたない説明でグレムリンに説明したが、質の問題で難しいそうだ。

 グレムリン一同は、どうやら、物好きな同級生の誰かが持ち込んでいた参考書を、リアに翻訳してもらいながら理解したようで、科学知識がすごいことになっていた。

 その後も、リアの翻訳で日本の知識を貯めているそうだ。そうでもしないと、バスや携帯ゲーム機を理解するのは難しいのかもしれない。


 それはさておき、型の練習を一通りこなして、師匠に一本取るという稽古をする。

 師匠からは、攻撃をしないそうなので、思い切りやっても良いそうだ。

 とはいっても、当たることはなく、殆どが避けられ、当たりそうでも、盾と剣で抑えられてしまう。


 数日これを続けたのだが、おかしなことに筋肉痛にならない。

 リアに質問したところ、ダンジョンマスターの肉体は、レベルによって強化されるもので、通常の生物が感じるような筋肉痛にはならないとのことだった。

 さらに、レベルは、二十を超えているので、普通の人族よりはタフだが、ただただ技術がないということらしい。

 訓練自体は無駄にはならないが、それで体が鍛えられるわけではないと。


 筋肉痛のない理由が分かったので、乗馬も日々の訓練に組み込んだ。

 騎乗の能力は、意思を騎乗生物に伝えることが出来、騎乗生物からも意思が伝わるようだ。基本的にはどの馬に乗っても友好的な反応で、試しにヤギに乗ってみても、同じような反応だった。

 どうしたいかを上手く伝えられるかがポイントで、難しく伝えると、わからないとか難しいとかの反応が返ってくる。これはこれで面白いので良い訓練になりそうだ。


 また、配下のモンスターに乗るとどうなるかを試してみたくなり、カッパーガーゴイルに乗ってみた。子牛を運べるカッパーガーゴイルなので、私が乗るくらいは、軽い者だろう。

 結果としては、意思が、ほぼ統合されるようで、私が思った通りに飛んでくれた。だが、危険な行動をとろうとしたり、私に危険が及びそうになると、拒否の反応が返ってくる。

 こっちはこっちで、覚えた方が良さそうなので、騎乗の訓練は必要のようだ。


 そして、日々の日課に、魔法訓練に合わせて武技訓練と騎乗訓練が加わった。



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