第六話 謎の遺跡化と侵入者への準備
謎の遺跡化と侵入者への準備
初級魔法を卒業した私は、中級魔法をを覚えていった。
中級魔法は、二つの属性を組み合わせて使う魔法で、消費魔力が三倍になるそうだ。
とはいっても、私は自分の魔力がどれくらいなのかわからないので、いくつか組み合わせて使って行った。
風の玉と火の玉を組み合わせた熱風玉から始めて、氷の球と風の球を組み合わせた氷風玉、水の球と土の球を合わせた泥玉など、放出系魔法を組み上げていった。
初級魔法にはだいたい名前がついていたが、中級以上になると、使い手のイメージでいろいろと変わるそうなので、名前は、本人が決めるそうだ。
いろいろと開発していく中で、リアから注意を受けたのは、規模を大きくしすぎると、魔力が一気に抜かれて魔力切れで倒れてしまうそうだ。
また、そういう時に使っている魔法は、特級魔法に該当する魔法が多いそうで、まだそのレベルは使わない方が良いそうだ。
魔法が使えるからといって、体がそれについていかないそうなので試すのは良いが、注意が必要なのだという。
放出系魔法から設置系魔法に変えて練習と開発を続ける。
狭い範囲で良い働きをしたのは、泥沼だった。
一時的に、地面を泥にして足場を不安定にする。そして、魔法が解除されたときは、足が床にはまり込んでいるという状況になった。
ダンジョンでもこの手のトラップは使えそうなので、覚えておこう。
火の玉は、風に合わせて自由に動かせるようにしてみると、かなり面倒な存在に感じた。
これもダンジョンで使えそうだ。
そんなことをしていると、リアから気になる話を聞かされた。
「マイカ様、毒の湿地に、動物の遺体を苗床にすると、良く育つ毒花があるそうです。試してみてはどうでしょうか?」
「ハイスケルトンたちに、獣の遺体を運ばせよう。あと、毒の湿地にウイスプを放つことにするね。漂うだけでも良い仕事をすると思う」
「ついでですので、地下六階から地下十階までのダンジョンも整備してみてはいかがでしょうか?」
「まだ考え中のところもあるけど、そろそろ作らないといけないね」
玉座の広間で立体モニターを出して作り込んでいく。
地下三階と地下四階の毒の湿地に、獣の遺体を運び込み、火の玉のモンスターであるウイスプを各階に五体ずつ配置する。
地下五階と地下六階の毒水の迷路に泥を流し込み、毒沼の迷路に作り替えた。こちらは、シャドーウイロウが継続で配置し、トラップもしっかり揃えておいた。
地下七階から地下九階までは、立体迷路にして、ひとまずはトラップだけにしておく。モンスターは、候補はいるが、まだ決めかねている。
地下十階は、第一フロアと第二フロアだけをつなげて、天井まで届く三階建ての牢獄を設置する。
ここは、スケルトンの休息地として用意するが、侵入者には、おどろおどろしい場所にしか思えないだろう。
そして、第三フロアは、ジュエルゴーレムがボスとして待っているということにした。
「こんな感じなんだけど、どうかな?」
「良いと思います。この牢獄が素晴らしいです!」
リアからの、賛成ももらえたので、早速作り直していった。
地下十一階からは、鉱脈や工房などがつづき、地下十六階には、玉座の広間と私の私室に農園を置いてある。最近、農園では、綿と麻を育て始めた。うまくいけば、天然素材の布が手に入るので、期待をしている。
「うーんっと、工房とかも増やすつもりだったんだよね。今のうちに増やしておく?」
「いえ、先に、ダンジョンの外観を変更しましょう。これから来る侵入者に、期待を持たせるのです!」
確かに、今の奇妙な石小屋は、見栄えはよろしくない。
そういうことで、リアと相談しながら、地球の中南米にありそうなピラミッド遺跡風の建物を選んだ。
地上一階には祭壇があり、その奥に進むとダンジョンの入り口になるという作りだ。
祭壇は、リアがどうしても欲しがったので、このタイプを選んでいる。リアがいうには、ダンジョンに人が多く来るようになれば、邪教団やらが、いろいろ置いてくれるかもしれないという。
良さげなものを置いてくれるなら喜ばしいと思う私だけど、邪教団と仲良くしても良いのだろうか……。
この建物には、周囲を囲む石床と四方向を囲むように立つ石柱がセットで設置されている。
ガーゴイルの見張り台に丁度良さそうなので大満足だ。
一通り外観を眺めて納得ができたので、玉座の広間に戻った。
「後の事は、お任せください。さらによく見えるようにいたしましょう!」
「何をするのか、わからないけどよろしくね」
それから、開拓チームの動きが変わり、ゴーレムたちは、大岩をどこからともなく持ってくるようになり、鉱脈を担当していたスケルトンたちも総出で、ダンジョンのある丘を削り始め、堀の様な物まで作り始めた。
数日が立つと、大岩は、石垣に代わり、丘を奇麗に囲んでいる、堀には、以前に見つけた泉から水を引いて水堀になっていた。
そして石橋で水堀を渡ると、ダンジョンに入れるという構造だ。
この水堀には、水の出口となる川がなく、おそらくしばらくすると、周囲は湿地になるだろう。
こうしておけば、人が簡単に住めない土地が出来上がるわけか。
なんというか、神殿のようにも見えなくはないが、私には、謎の遺跡にしか見えない。突然道ができたと思えば、その先には、謎の遺跡があった、そういう感じで侵入者が来るのかな。
ダンジョンの謎の遺跡化が終わった頃、石の道を作っていたゴーレムたちが帰ってきた。
どうやら、リアが、思念波で、ダンジョンの準備ができたと連絡をした総出、森の入り口を開いてから、戻ってきたそうだ。
ねぎらいの声をかけてから、開拓チームに組み入れて、森の開拓を進めていってもらった。
ダンジョンが拡張され、魔法の練習を地下十階の第三フロアでできるようになったので、いろいろと試していった。
炎竜巻を作ってみたが、かなりの魔力を持っていかれた。これは特級になるようだ。日を変えて、砂嵐を作ってみたがこちらも魔力が足りなくなりかけた。
なるほど、ここが今の限界というわけか。
リアに相談をすると、初級と中級に使う魔力の把握や、高速発動の練習など、まだまだできることはたくさんあるそうで、それらを練習して行く事にした。
上級魔法や特級魔法は、気になるが、魔法は身を守る手段であって、危険なものだ。
徹底的に使い方を覚えてから、次のステップにいくというので、丁度良いと思えた。
ちなみに、上級魔法は、一属性を大きく展開する魔法で、消費魔力も当然高くなる。そして、特級魔法は、複数属性を合わせて使う魔法で、並みの魔導師では使いこなせないそうだ。
レベルが上がっていけば、いつか使えるようになるのかな。
変わらぬ日々を、それなりに楽しみながら過ごしていたある日、定期的に広域偵察に出ていたロックガーゴイルが連絡をしてきた。
どうやら、北の村の住民が、石の道を見つけたらしく、狩人らしき者が三人、向かってきているそうだ。
徒歩らしいので、到着まで二日ほどは掛かるという。
リアと相談した結果、今回は、三人なので、外にいるモンスターたちを収容するだけで、様子見をすることに決めた。
もし、中に入らず帰ったとしても、また調査をする人員が来ると考えられるし、奥まで行き、帰らぬ人となれば、追加の調査団が組まれるかもしれない。
どちらでも、歓迎なので、ダンジョンの機能のテストとして見守る。
ロックガーゴイルによる細かい報告により、モンスターたちを問題なく収容し、侵入者を待つ。
ちなみに、ロックガーゴイルは、そのまま石柱の上と遺跡の上に待機してもらう。スケルトンたちは、念のために牢獄の中に入ってもらった。
ロックゴーレムたちは、鉱脈に待機してもらい、ジュエルゴーレムが苦戦しそうになった時に、出てきてもらうことにした。
さて、どうなることかな。