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第四十五話 二百人の捕虜と新たな二つの作戦

 二百人の捕虜と新たな二つの作戦


 オロチのダンジョンを経由して、ミナンのダンジョンに戻り、宮殿にある自室で数日を過ごした。

 寝なくても良い体だが、心は疲れを感じるようで、十分な休息をしてから、マリアとバンパイアたちを集めて、捕虜たちの今後について会議を行う。


 サロンに集まり、エビルドールたちが、用意してくれたココアドリンクを頂きながら会議が始まった。

 のんびりとした雰囲気ではあるのだが、議題が、捕虜の今後についてなので、ギャップを感じてしまう……。


「先日のホックルの北の城から連れてきた二百人程の捕虜の今後なんだけど、二つ考えがあって、どうしようか迷っているんだ」


 ミナンのダンジョンのある南方辺境領に面している東の国は、タリア王国と言い、ここランクス王国と比べると規模は小さく小国と呼べる国なのだが、そのさらに東に、厄介な宗教国家がある。名をオリウス教皇国と言い教皇を頂点とする国家運営をしている。

 タリア王国、オリウス教皇国にもダンジョンが当然あり、そこも私たちが攻めるべきダンジョンとなる。


「……、ここまでは良いかな?」

「はい、アサドたちから、我々もその話は、聞いております」

「私も、隣国のことですので、同じくアサドたちから、聞いております。あのオリウス教皇国には、注意が必要でしょう」

「アインスたちもマリアも、気にしていてくれたなら話が早いのだけど、あの二百人を使って、二つの国をどうにかできないか、考えてみたんだ」


 考えた作戦は二つある。

 二百人の捕虜たちを、闇魔法や魔法薬で、洗脳して新たな宗教組織を立ち上げて、布教してもらう。布教活動の中で、話だけは度々挙がる邪教団も取り込んでしまえば、それなりの勢力となってオリウス教皇国にも、対抗できる教団になるかもしれない。

 この一つ目の作戦は、北の城攻めの最中に思いついた。


 そして、もう一つの作戦は、二百人の捕虜たちを、バンパイアに変えてしまう作戦だ。

 バンパイアに変えた捕虜たちを、東の国に送り出し、バンパイアを増やし続けてもらう。

 ダンジョンの知識の中にあるバンパイアには、その血を受けて新たなバンパイアになった者たちにも、ダンジョンの強制力が働くそうなので、こちらからの指示を受けて行動してくれるはずだ。

 この作戦を使えば、宗教など関係なく、東の国々を混乱させられ、うまくいけばアインスたちをアークバンパイアクラスに進化させることもできるので、良い作戦に感じる。

 ちなみに、ハイバンパイアから、アインスたちグレイターバンパイアに進化させるには、ハイバンパイア五体が必要なのだが、グレイターバンパイアをアークバンパイアにするには、グレイターバンパイアが十体必要らしく、アークバンパイアがどれほどの存在なのか、その必要な素材だけで想像ができてしまう。


「……、こんな二つの作戦を考えてみたのだけど、どうだろう?」

「宗教の方でしたら、私からでしょうか。新たな宗教を立ち上げて行動するというアイディアは、悪くはないと思います。それに邪教団との連携で規模を大きくさせるというのも良いでしょう。ですが、この作戦では、十年かけても、成果といえる成果が出ない可能性が高いでしょう。ある程度の成果をあげるには、五十年から百年程の時間が必要となるかもしれません」

「私のいた地球の古い宗教でも、マリアの言う通り、伝道者たちが一通り、世代交代してから、それなりの成果が出始めたような感じだったかもしれない。長い時間を考えるなら、良い作戦だけど、すぐには成果の出ない作戦になるんだね。私たちの戦いもいつまで続くかわからないから、種まき程度ならやる価値はあるって感じなのかな」

「ええ、今回は二百人という、まとまった捕虜がおりますので、種まき程度なら、冒険者たちを捉えて少しずつ教団を大きくしていった方がよろしいかと」

「それじゃあ、この作戦は、冒険者をできるだけ捉えて、少しづつやっていこう。洗脳した伝道者たちのために、ダンジョンの外側に簡単な石の家でも建てて行けば、そのうち聖地っぽくなるかな」

「いえ、住居が必要でしたら、それは修行のための住居ですから、地下一階と地下二階の第二フロア、第三フロアの立体迷路を変更してしまい、牢獄を、ただの岩にしたような簡素な横穴住居を用意するだけで十分でしょう」

「確かに。人が快適に暮らせるような建物を作ってしまったなら、このダンジョンの在り方が変わってしまう。それに、その横穴住居をできる限り多く作って生命力からポイントを回収できるのも良さそう」

「では、教団は、私にお任せください。ダンジョンの階層変更の時は、よろしくお願いします」

「うん。ありがとう。マリアに教団のことは任せた。アインスたちはどうかな?」

 宗教の作り方なんて、私が知るわけがないので、マリアに全面的にお任せだ。そうなると、二百人の捕虜の今後は、アインスたちに任せることになるのかな。


「宗教のことは、マリア殿が受け持っていただけるようなので、バンパイアを使った作戦について、述べさせていただきます」

「うん、聞かせて」

「私たちの吸血行為で、仲間を増やすこと自体は、可能です。それに、マイカ様の指示も聞かせられるのなら、なお良いでしょう。ですが、吸血行為で、私たちが大量に作れるバンパイアは、ミドルバンパイアまでとなります。同格のグレイターバンパイアまで作れるのですが、私たち自身の命を分け与えるような行為となってしまうので、安全に作るなら、ミドルバンパイアまでですね」

「グレイターバンパイアとハイバンパイアにするための吸血行為は、特別な存在のための吸血行為なのかもしれないね。ミドルバンパイアは、日光を受けると火傷をしてしまうのだっけ?」

「はい、その通りです。ミドルバンパイアたちが、東の国々で、直接作れるのは、レッサーバンパイアとなります。彼らは、日光を受けると、灰になってしまいますし、意識も薄い存在で、あまり役に立たないかもしれません」

「そうなると、ミドルバンパイアを合成して、ハイバンパイアを五十体作ってしまった方がよいのかな」

「ハイバンパイアなら、無理なくローバンパイアを作れるので、レッサーバンパイアよりは、役に立つでしょう。ですが、ローバンパイアは日光を受けると大火傷をしてしまうので、ローバンパイアになり次第、回収という方針がよろしいかと。後はバンパイアスレイブやグールなども造れますね」

「バンパイアスレイブは、人のままバンパイアの力を手に入れた存在で、定期的に血液を吸ってあげないと死んでしまう血袋のような存在だったかな。グールは、人そのままの社会性や知恵を持っているけど、人肉を食べないと死んでしまうモンスターだったよね」

「その通りです。もし作るなら、バンパイアスレイブなら、使えるでしょう。私としては、このバンパイアの能力を使った作戦は、良い作戦だと思います。うまくいけば、私たちの進化につながるようですし、失敗しても、マイカ様が直接呼び出したモンスターたちが犠牲になるわけではないので、マイカ様の仲間を大切にする方針とも合っているのではないでしょうか」

「そうだね。最終的にどうなるかわからないけど、私が直接呼び出したモンスターたちと攻略したダンジョンで加わったモンスターたちは、仲間だと思っているけど、それ以外は、あまり興味を持てていないかも。彼らがアインスたちの位階まで上がってこれたなら、アインスたちを進化させるための素材として使ってしまうし、それ以上が残ったなら、その時こそ、仲間として迎えられるかもしれない」

「それでは、捕虜の今後については、バンパイア作戦で決定でしょうか?」

 アインスが、やる気に満ちているので、このまま決定で良いと思うのだが、ツバイスたちにも、聞いておかないとね。


「ツバイスたちは、どうかな?」

「我々が、進化できる可能性があるのでしたら、ぜひお願いしたいです」

「私も、アインスとツバイスの意見と同じですね。良い作戦だと思いますし、進化できる可能性があるのでしたら、ぜひお願いしたいです」

 妹たちも、それぞれ合意してくれたので、この作戦を実行することとなった。

「バンパイア作戦っていうのも、味気ないから、大陸の中央部で、ミナンのダンジョンから見て東だから、中東吸血作戦って作戦名にしよう。それで、ローバンパイアたちが逃げ込むダンジョンなんだけど、タリア王国西部なら、ミナンのダンジョンでも良いと思うのだけど、教皇国側からのローバンパイアたちにはつらいと思うんだ。そこで、このダンジョンをハイバンパイア五十体の能力を確認する程度のつもりで、攻めてもらおうかと思うのだけど、どうだろう?」


 モニターをだし、タリア王国東部の山脈沿いにあるダンジョンを示す。

「アサドたちの調べでは、このダンジョンは、山中にあるせいで、あまり注目はされていないらしく、ダンジョン村があるだけで、素材もあまり良い物が取れないダンジョンらしいんだ。でも、ちゃんと人が管理をしているダンジョンで、今までの傾向なら裏ダンジョンを合わせても地下五十階はないと思う。どうかな?」


「彼らの、拠点としても使えるダンジョンとなるわけですね。このダンジョンアタックには、我々は、三かしない方針でしょうか?」

「うーん、ハイバンパイアだけで行くのはさすがにつらいかな。エビルパラディンも全員参加にしてアインスたちが引率してくれると助かる」

「エビルパラディンたちが参加してくれるのなら、バンパイアが苦手とする光属性の攻撃にも対応できますね。それでは、私とアニエッタが参加しますので指揮官として引率を行います。ツバイスたちは、残りのランクス王国内のダンジョンの攻略をするというのでは、いかがでしょう?」

「そうしよっか。ツバイスとドライスも、それで良いかな?」

「ホックルの攻略で、気持ちは楽になりましたが、やはり任された役目を完遂できていないのは、こころぐるしいので、そうしていただけるとありがたいです」

「私も、しっかりと部隊を運用して、成果を挙げたいところです」

「それじゃあ、三つに分かれてお願いするよ。アインスは、あちらの情報を持っているアサドたちも連れて行ってね」

「かしこまりました。それでは、まずは、ミドルバンパイアを作り出すところから始めましょう」

「うん、手間がかかるだろうから、皆で手分けしてお願いするよ」


 こうして、教団育成作戦と中東吸血作戦が実行されることとなった。



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