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第三十六話 葬送と補充

 葬送と補充


 王都に戻り、屋敷にいる皆へミナンのダンジョンへ引き上げることを告げる。

 アサドたちがまだいたので、エビルアーマーに入ってもらい、迎えを待ってもらう。

 アインスは、ツバイスとドライスを慰めていたが、私が転移する時に、アーマードスレイプニールで移動を始めたようだったので、そのうちに、こちらへ到着するだろう。


 そうして、屋敷の中を、一通り片付けていると、ミナンのダンジョンを経由して、アインスが到着したので、屋敷の管理業者に離れることを告げに行ってもらう。この時に、通常の倍ほどの金銭を渡して、屋敷の管理をしっかりとやるように念を押すように言っておいた。


 片付けには、もうしばらく時間がかかりそうなので、戻ってきたアインスとクラレ邸に行く。

 執事か家令か、そんな感じの者がいるだろうから、一言だけ言っておこう。

 クラレ邸は、どうやら引っ越しの準備を緩やかに進めているようで、そういえば、伯爵になったことを思い出した。

 まあ、それはそれということで、門衛に執事か家令かそんな感じの者を呼んでもらう。

「ミナン商会のマイカという。執事殿か家令殿か、そういう方を呼んでもらえるかな?」

「は、はい。かしこまりました。ミナンのマイカ様ですね。少々お待ちくださいませ」

 ミナンのじゃなくてミナン商会のマイカなんだけどなぁ。前に来た時は、全身鎧を着ていた門衛のようで、今日は、革鎧で、動きやすそうだ。

 腰が引けていたがしょうがないか……。


 間もなく、王都屋敷の家令が現れ、用件を伝える。

「マイカ様、以前はご挨拶もできず誠に失礼しました」

「まあ、気にしないで。要件は、知り合いが北方にいるなら、王都か南方にしばらく行った方が良いと伝えてあげて」

「あの、それは、宰相様方にもでしょうか?」

「うーん、王城側には、悪くないことだとは思うけど、国としては悪い事が起こるから、知り合いを逃がす程度にしておいて。あくまで知り合いだけだからね」

「……、かしこまりました」

 頭の良さそうな家令さんで助かる。

 特にぶらつく用事もないので、すぐに屋敷に戻ると、アサドとエビルアーマーたちは旅立っていた。

 丁度良い夕暮の時間なので、早速、出発したのだろう。

 エビルドールたちも出発準備ができているそうなので、アーマードスレイプニールに乗り、無駄足となってしまったガーゴイルナイトたちとともに、私たちも空に上がった。


 翌朝、久しぶりの自室で目覚めた私は、エビルドールたちに身支度をしてもらいマリアとともに、コロシアムに向かう。

 夜の間に連絡は済ませており、全員というわけには行かないが、各種族が代表を決めて集まってくれた。

 今からすることは、ポイズンアイの葬送と生き残った者の合成だ。


 神官でもあるマリアに、進行は任せて、私は合成だけをする。


 コロシアムには、いつもはない迫力と共に静寂が混合する不思議な空間が出来上がっている。

「……彼らは、次なる場所へ向かう。彼らに幸いあれ!」

 ウイッチたちが、魔法を空に打ち上げ、鳥の形になったフェニクスのスフェルが最後に空に上がり、自爆を披露した。

 コロシアム内は、大きくざわついたが、あれが、フェニクスなりの戦士たちへに対する敬意の表れなのだろう。

 それにしても、すごい威力だった……。

 あれを、ポイズンアイたちは、受け止めたのか。本当にすごかったんだな。


 ここからは、私の仕事だ。

 ポイズンアイたちは、ブラッドアイのころから、ずっと一緒にいた気がする。

 ゴーレムやスケルトンと同じように、私と成長をしてきた大切な仲間だ。

 だから、同じく一緒に成長をしてきたシャドーアサシンたちと合成させる。


 シャドーアサシンのアサドたち二十体が、それぞれに相性の良い、ポイズンアイ二体と組になって行く。

 素材は十分、使うのは私のポイントだ。


 一組ずつ、魔法陣を展開させ、シャドーポイズンアサシンというべきシャドーアサシンの亜種に合成させていった。


 合成が全て終わり、一体だけポイズンアイが残ったが、彼は、あえて魔界へ送還させる。

 彼を魔界へ送る魔法陣を描き、そこに彼を案内して、最後の挨拶をする。

 彼は、どうやら、私が初めて自らの手で命を奪った人の遺体を素材に使った者のようだ。

 懐かしい……。

 魔界で生まれ変わるポイズンアイたちを任せて、別れを述べ合い、彼は帰って行った。

 肉体を持ち、魔界に帰った悪魔は、多少だが、力が増すそうなので、良い守護者になってくれるだろう。


 そして、新たな肉体となったアサドたちなのだが、まず、翼が生まれ、爪が伸縮するようになり、毒を帯びたポイズンネイルというべきものに変化した。

 さらに、魔眼が使えるようになり、萎縮の魔眼が、威圧の魔眼に代わった。

 詰めの色は、伸ばせば紫になるが、通常時は人のそれと同じで、肌も変化はない。翼、ポイズンネイル、威圧の魔眼が使えるようになったようだ。

 謎の読心術や、影潜りは今まで通り使えるようなので、本当にシャドーアサシンの亜種という存在なのだな。


 ここまでで、コロシアムの皆には、解散をしてもらい、デスナイト、ガーゴイルナイト、ゴーレムナイトの全てを北東のダンジョンへしばらく移動してもらい、ダンジョンの山城化をしてもらうように頼む。

 つぎに、北東のダンジョンに置いてきたビッグハンドたち二十体を全て呼び、こちらで採掘作業をしてもらう。さらに総計で百体になるように呼び出し、一気に黒鋼を集められないかを試してもらう。


 ビッグハンドたちを呼び出して、鉱脈に向かわせたところで、マリアからゴミトカゲの様子を聞く。

「マリア、ゴミトカゲは、やっぱりだめっぽい?」

「残念ですが、ミナンのダンジョンに来た途端に態度が悪くなり、ダンジョンを上層から攻略するように言ったのですが、なかなか動かなかったので、牢獄に繋いでおります」

 実は、コロシアムの一角が暗黒空間になっているのを、ずっと気になっていた。

 なんとなくそうじゃないかと思っていたが、やっぱりそうか……。


 ポイントは、なんとかなるから、もう一段上を呼び出すか……。

 暗黒空間を消してもらい、うつろな目のドラゴニュートことゴミトカゲたちを再生したフェニクスのスフィルとカルーラたちと出していく。

 本来なら、彼女たちの同僚になる予定だったんだよ……。

 コロシアムの中央で、新たな合成を行う。

「ドラゴナイト、答えよ!」

 ドラゴニュートを数倍凛々しくした騎士が二体、現れた。

「マスターですね。よろしくお願いいたします」

「よろしく、君たちには、私が持っているもう一つのダンジョンを守ってもらうのだけど、良いかな?」

「かまいませんとも。二つのダンジョンを、お持ちとは。素晴らしい!」

 まともだ。まともだよ!

 ドラゴニュートは、特殊能力に亜竜化というものがあり、ワイバーンのような亜竜の姿に数分だけだが変身できたのだが、このドラゴナイトは竜化という特殊能力があり、亜竜ではなく、ドラゴンの姿に数分だが変身することができる。

 ドラゴンは強力なモンスターなので、数分でもドラゴンの姿になれるドラゴナイトを、呼び出すには、それなりの素材が必要なのだが、今回はドラゴニュートを十体分を素材にしたので、うまくいった。


 ドラゴナイトを連れてスフィルたちには、北東のダンジョンに戻ってもらう。


 後は……、ケルピーか。

 牧場に行き、戻っているアーマードスレイプニールにケルピーについて、尋ねてみると、何でも食べるから、薬草の島を小さくても作ってやると良いと言われた。

 ケルピーは、内臓や肝臓を食べると死んでしまうとか、下半身が魚の様な姿だとか、いろいろ言われるが、この世界のケルピーは、陸では馬の姿で、水に入ると下半身が魚の様な姿になる不思議生物らしい。さらに雑食か……。

 馬が好きそうなものに、ニンジンのイメージがあるが、ニンジンは植えるのが大変なので、種類の違う薬草を植えた島を作ることにする。

 やたらとこの国は馬が多いのだが、どうなっているのだろう。

 二百五十頭の馬を素材にして、ケルピーを五十体、呼び出し、北東のダンジョンに連れて行く。

 淡水湖に十体ずつ放って、飛び石では、絶対に届かない場所を二つ選び、小さな島を作った。

 アルラウネを呼んで、適当に種類違いの薬草を、それぞれの階層の島々に植えてもらい、淡水湖は完成した。


 さて、残りは、ポイズンアイがいなくなったトラップの迷路だけだ。

 アルラウネに相談すると、私がほしいものがあることがわかり、早速、呼び出して設置してもらう。

 オーガニュートの工房に行き、大量の剣を出し、使い物になる物や修理さえしたらどうにかなる物を、できるだけ多く選んでもらう。

 本数は数百本もあるので、しばらく時間がかかるだろうから、気になっていたことをラミアたちに聞きに行ってみよう。


 ラミアの集落は、裏ダンジョンに作られたようで、侵入者が来てから、戦闘に行くようだ。淡水湖もあるのだからそれで問題はないだろう。

 裏ダンジョンは、特に入れる者も思いつかなかったので、いまのところ、薬草の牧場にしてある。

 族長に話を聞く

「ラミアやナーガの武具って何になるのかな?」

「ラミアたちは、弓ですね。ナーガたちは槍になります。それと、ラミアはハープを使って呪い曲を奏でることができますし、ナーガは、戦唄を歌い攻撃力向上が出来ますね。とは言っても、長い間、まともな戦闘もありませんでしたから、質素な弓や槍ばかりですよ」

「これをもっと強い張りの弦にしたり、重い槍や長い槍に変えるとどうなるのかな?」


 弓の引き方を若いラミアに見せてもらうと、腕で普通に引くパターンと尻尾で引くパターンがあるそうだ。

 槍も、腕を使って振り回すパターンと尻尾で投げ槍のように飛ばすパターンがあることも教えてもらった。

 保存庫から手ごろな弓と槍を出して、どこまでなら使えるのか、教えてもらう。

 ラミアとナーガの演舞があるそうで、それで試してくれた。

 結果としては、かなりの張の弦の強さの弓と、長く重い槍まで使えることが分かった。

 ついでに、戦闘の時の服やらも見せてもらったが、革鎧というには、頼りない革服という物だった。

 彼らの攻撃方法から考えて金属よりは革の方が良いだろうから、まだまだ余りのある革鎧から、使えそうな物を渡していった。

 槍は余っている槍の中でも、質の良さそうな槍を選び、全て変更してもらう。

 弓は、あまり多くはないが、五十体分なら何とかなったので、全て渡しておいた。

 これで、少しは戦いやすくなるだろう。


 オーガニュートの工房に戻り、剣たちの結果を聞くと、使える剣が約百本、何とか使える剣が約百本、なまくらだが、見た目は良い剣が約百本という結果だった。多分だが、何とか百本ずつ揃えてくれたのだろう。こういう心配りができるオーガニュートたちがいてくれて本当に助かる。

 残りの剣は、アイアン系の素材にするか、ポイントにした方が良いくらいらしい。


 コロシアムに移動し、いらない剣を素材にして百体の体のないソウルソードを呼び出す。

 次に、オーガニュートに、それなりの評価を受けた三百本の剣を、それぞれ三つの山に分けていく。

 呼び出したばかりで、体のないソウルソードたちに、三つの山から、好きな剣を一本ずつ選んでもらい、三本の剣とソウルソードと合成をしていった。


 全ての合成が終わり、新たな体を手に入れたソウルソードたちはコロシアム中をふよふよと浮かんでいる。そんな彼らをトラップの迷路に連れて行き、ここがこれからの君たちの住処だと伝えると、それぞれに散らばって行った。


 アルラウネたちに頼んだトラップの迷路での作業は、まだまだ続くそうで、ヒカリゴケ以外にも発行するコケたちを設置してもらっている。薄緑に光るコケと、明るく紫に光るキノコたちが並んでおり、このコケとキノコは、ミドリヒカリゴケとムラサキヒカリダケというらしい。

 どちらも毒の胞子を放つ危険な物だ。

 毒の湿地やらを撤去してしまって、私は物足りない気分だったようだ

 その物足りなさを埋めるために、毒性のあるコケとキノコを植えてもらった。


 こんなふうに考えてしまうのは、私の中にある悪魔核が成長しているからかもしれない。

 さて、皆の作業が、一通り落ち着いたら、ホックル攻略作戦を、話合わなきゃいけないね!



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