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第三話 開拓と原因

 開拓と原因


 ダンジョンコアの疑似生命であるリアを呼び出せたので、玉座から入手できた情報以外のものを尋ねてみた。

「リア、このダンジョンのある場所ってどういう場所かわかる?」

「ユルシア大陸の南西部にある森林地帯入り口付近となります。人里からは徒歩で四日程というところでしょう」

「それは、この世界の人の感覚だと、遠く感じる距離になる?」

「徒歩で考えれば遠いと感じる距離になります。さらに、森林地帯ですので、獣も多く住んでおります。ですので、用事がない限り、人は、まず立ち入ってきません」

「じゃあ、ダンジョンとしては、困らないの?」

「この周辺を開拓し、道も整えたなら、人里から馬で二日程まで短縮できます。開拓の最中に出たものをダンジョンに持ち込み、素材として保存したり、ポイントに変えてしまえばダンジョンが潤いますし、この周辺が安全地帯にもなりますので、この方法が良いかと」

「それでも、辺鄙な場所にあるのは、かわらないよね。ダンジョンは、動かせないのかな?」

「動かすことは、できませんが、他のダンジョンを掌握して、利便の良い場所に拠点を移してしまうのも手ですね」

「ダンジョンコアなのに、物騒なことを……」

「ダンジョンも弱肉強食なのです。新たに生まれるダンジョンもあれば、どこかで朽ち果てるダンジョンもあります。ですので、一人のマスターが複数のダンジョンを所有していても問題はありません」

 ゲームの時も、複数のダンジョンを持つプレイヤーは、何人も存在していた。

 とはいえ、現実の世界で、しかも異世界でダンジョンを複数持つなんて、今の私には、想像もつかない苦労がありそうだ。だからといって、ダンジョンマスターという謎生物になってしまった私は、生き残るためにも貪欲に複数のダンジョンを求めるべきかもしれない……。


「それじゃあ、まずは、周辺の開拓として、次は、ダンジョンの整備だよね。どういう方針が良いだろう?」

「いくつもありますが、マイカ様は、スケルトンとゴーレムを使っておりますよね。何か理由でも?」

「生物系のモンスターは、食料を必要とするけど、ゴーレム系やスケルトンのような死霊系は、魔力さえあれば動くから、そこを気に入っているかな。でも、呼び出したと時の状況に彼らが最適だと思ったのも事実だね」

「マイカ様がこちらに来られた時の状況では、確かに最適なモンスターたちだったかもしれませんね。マイカ様の好みも大切ですし、ダンジョン内にいれば、どのモンスターでも食料はいりませんが、この場所から拠点を移すために、ダンジョン外に出ることもあるでしょう。そうなると確かに魔力で動くモンスターたちの方が都合が良いですね」

「後は、生物系でもゴーレム系でも同じなのだけど、できるだけ使い捨てには、したくないな。合成や育成で強くさせていきたいと考えているよ」

「わかりました。では、周辺の警戒と偵察のために、クレイガーゴイルも追加して、モンスターは死霊系とゴーレム系を中心に呼び出していきましょう。ダンジョン内部は、迷路やトラップを用いて作り上げていけば、呼び出したモンスターたちを使い捨てにしなくてもよくなるかもしれません」

 開拓の最中に出た様々なものたちを、できるだけ多くダンジョンに運び入れてもらい、ポイントが貯まり次第、モンスターたちを次々と呼び出していく。

 スケルトンを三十体、クレイゴーレムを十体、クレイガーゴイルを八体というように呼び出していき、モンスターの数を増やしていった。


 森の開拓の効率をどんどんと上げていき、クレイゴーレムたちが倒した木々を、スケルトンたちがダンジョンへ、運び込んでいく。

 空からは、クレイガーゴイルたちが、危険がないかを見張り、何かがあれば、撤退かクレイゴーレムたちで応戦する形になっていった。

 スケルトンたちには、自衛のために、木の株から作った、こん棒を持たせて、わずかばかりだが攻撃力を上げさせた。

 モンスターたちにはレベルがあり、ダンジョンに関わる何かしらの行動をしていると、経験値が入るそうなので、開拓作業でもレベルが上がっているようだ。


 その間の私とリアは、ダンジョンの守備を最低限でも整える必要があるので、どうするべきかを考えていた。危険は、いつやってくるのかわからないので、この作業は、早急に行わなければならない。


 この世界には、錬金術という技術があるそうで、透明ガラスが開発されているという。

 そこで、地下一階第一フロアを真ん中だけ石床にして両サイドをガラスの床にし、地下二階の一室を見下ろせるようにしてしまう。

 ダンジョンの設置物は、基本的に、破壊不可能なので、ガラスの床でも問題にはならない。

 その部屋には、堅い宝石の体を持つジュエルゴーレムというモンスターを五体、色違いで配置して、関節を奇麗に外して、バラバラになっていてもらう。

 その部屋を地下一階の第一フロアから見下ろせば、様々な色合いの大きな宝石がある宝物部屋に見えるという作戦を思いついた。

 普段はバラバラのジュエルゴーレムだが、奇麗に関節を外しているので、自由に再生でき、人を呼ぶために使える良いトラップになってくれそうだ。

 この部屋には、地下二階からは入ることができず、玉座の広間からしか行けない転移門を設置して、ジュエルゴーレムには、私の最後の防衛線にもなってもらえば良い。

 そうして、地下一階第二、三フロアと、地下二階第一、第二フロアを繋げた立体迷路を設置する。ここに落とし穴を大量に設置して、槍を上向きに設置する。他にも仕掛け弓なども設置していく。

 続く、地下三階と地下四階には、森で見つけた毒の草花を繁殖させた毒の湿地を用意する。ここには、毒を好む虫を放ち、自由に暮らしてもらう。

 そして、地下五階には、上層から流れた毒水を使った毒の迷路を作り、トラップはもちろんのこと、シャドーウイロウという死霊系の影に潜れるモンスターを配置する。

 現在の最深部となる地下六階は、玉座の広間とその手前に二つの部屋があるので、ここまで、たどり着いたなら、うちのモンスターたちに全力で戦ってもらうという方針でまとまり、ダンジョンを作り上げていった。

 一か月程かけて地下六階まで完成し、私のダンジョンマスターとしてのレベルが七になった。

 わかりやすいステータスは出ないが、レベルが上がると単純に能力が高くなるそうで、階層を増やしたりトラップを設置していくと、レベルが上がるらしい。

 何とか防衛策ができあがったので、落ち着いて考えることが、やっとできる。

 ずっと、考えていたのだけど、あの雪山での事故は、私が呼び起こしたのではないかについてだ。

 これは、リアに聞いたところ、異世界にの事象について生まれたばかりのダンジョンが干渉できるはずはなく、あの事故は間違いなく偶然に起きたらしい。

 では、あの時、なぜ私だけが生き残ったのか。

 これは、ダンジョンの影響らしい。

 本来なら死ぬはずだった魂と肉体を引き寄せるくらいは、生まれ立てのダンジョンでも可能で、そのおまけけとしてバス三台分と皆の遺体が付いて来たそうだ。

 正常な状態の魂や肉体には、干渉できないが、異常な状態の魂や死に関わる事象になら、異世界とはいえ、ダンジョンは干渉できるというのには驚いた。

 ただし、ダンジョンマスターを呼ぶ時のみにしか使えない能力で、何度も使える能力ではないそうだ。

 私がダンジョンマスターになった時、ダンジョンポイントが〇だったのは、その能力を使うために、生まれた時に、わずかだが持っていたポイントを全て使って、その能力を使った結果だったそうだ。そうでもしなければ、森林地帯に生まれたダンジョンは、マスターを迎えられないと判断したらしい。

 そして、あの事故の結果は、私に関係ないこととなり、私がここに呼ばれたから、皆がついてきたというわけになる。

 本来、ダンジョンが求めた存在は、ダンジョンマスターとして波長の合ってしまった私だけなのだろう。

 私のおまけで、こちらに来てしまった皆の遺体を地球世界に返せないのは、申し訳ないが、私が生き残るための糧にするのなら、やはり悪いわけがないと、しっかり割り切ってしまおう。

 損傷の酷かった者以外は、ポイントにしておらず、皆の遺体は、ダンジョンの能力の一つである保存に付属する保存庫に保管してある。

 初めに運び出した運転手は、結果的に損傷の酷かった方だったので、これも問題はないだろう。

 後は、私がどう生きるか、これに尽きるのか……。

 命を落とした皆のために、私は生きる!

 なんていうつもりはない。

 命を落としたのは、不幸な事故の結果だ。

 私も本来なら死んでいたのだから。

 とはいえ、遺品の一つも持ちかえることができないことは申し訳ないので、その分くらいは皆の命を考えて使わせてもらおう。


 これが、私の皆に対する精一杯の供養だ!





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