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第二十五話 辺境伯家の今後と魔法のエキスパート

 辺境伯家の今後と魔法のエキスパート


 コロシアムの牢獄にいる辺境伯たちの取り調べは、バンパイア君たちにやってもらった。

 彼らは、王都に屋敷を購入してくれた後、冒険者ギルドに登録をして、人の世界に慣れるために、様々な仕事をしていたという。

 高位のバンパイアだからなのか、人の営みに強く興味があったらしく、薬草採取や力仕事、さらに獣退治に族退治まで、何でもこなしていたそうだ。

 ちなみに、冒険者ギルドという存在は、国が運営する仕事斡旋所だそうで、ギルドメンバーになると国難や災害のような案件には強制参加させられるのだが、その代わりに、何かしらの技能保持者か、技能を治めようとしている者として扱われ、ギルドカードがそのまま身分証として使えるようになっている。

 冒険者ギルドの仕事は、何かしらの技能を必要とするものが多く、職業訓練所の一面もあるようだ。

 地球世界で例えるなら、国家後任のフリーランスといったところなのかもしれない。

 さて、そんな冒険者ライフを楽しんでいたバンパイア君たちなのだが、ここしばらくの間、ダンジョンにいてもらっている。

 こちらに戻るときに、邸宅管理業者なる仕事をしている者に屋敷は預けてきているという。貴族がいる世界では、いわゆるタウンハウスとカントリーハウスという住居が必要となる物たちが多いので、こういう商売も成り立つようだ。

 そういうことなので、屋敷の事は気にせずにこちらでしかできないことをやりたがっていた。

 その中に尋問という名の拷問があり、彼らに任せたわけだ。


 私個人としては、拷問は好まないのだが、中には闇魔法が効きにくい者もいるそうなので、魔法で一通り聞いた後、必要ないとされた者たちを検体として、バンパイア君たちと私で、拷問の実地訓練を行った。

 バンパイア君たちは、関節を壊したり、骨を折ったり、私は、致死性はないが、痛みを感じやすくなる薬の塗られた針をいくつも刺してみた。

 彼らは、不安定な意識の状態になってしまったが死なない程度のところで、エビルエルフを呼び出すための素材となってもらい、無駄に死を迎えるよりは、よほどましな最期だっただろう。


 そんな尋問の結果、辺境伯家は、よほどのことがない限り、おそらく取り潰しだという。

 残っているのは、辺境伯と弟子爵、辺境伯の側近子爵が二人、辺境伯に近いが、王城から、今回の件の報告任務を与えられてきたという貴族が三人残っている。

 私は、王城からの報告任務を与えられたという三人と辺境伯家が貴族として残れる道がないかを模索した。

 平民になったからと言って、すぐに死が待っているわけではないが、どうしても、初代マルス伯のことがよぎってしまい、彼の末裔を何とかしてあげたいと思ってしまう。


 話し合いの結果、配下となっていた貴族たちは、ほぼ全ての貴族家が爵位を一つ落とされるそうだ。

 例外は、騎士爵だそうだ。騎士爵は、そもそもが一代爵位らしいので、当代が亡くなった以上、自動的に爵位がなくなるらしい。とはいえ、年頃の者がいれば、騎士や魔導師として、優先的に国が迎えてくれるそうなので、あまり気にしなくても良いという。

 一代爵位だからゆえに、多少の優遇処置があっても良いのか。中々難しい解釈だな。


 そして、当事者にあたる随分前にやってきた貴族たちと、辺境伯は別で、取り潰しがほぼ確定となる。騎士爵の可能性を聴くと、辺境伯家には、騎士として動ける者がいないらしい。

 一番上の娘は、出荷待ちのお人形状態に育っているそうで、下の娘はまだ未成年で、こちらもお人形として育てられているらしい。末っ子の弟は、成人までまだ数年かかり、永大貴族なら後見人を立ててどうにでもなるが、一代貴族となると難しいそうだ。


 どうやら手詰まりのようだ……。

 一代騎士爵の話は、マルス家にも適応されるのかを問うと、適応されるという。

 これに賭けるしかないか。


 三人の貴族がいうには、辺境伯は、もちろん子爵と側近の二人は、主犯と共犯であり、無事に帰らせると、よけいに問題が広がるそうだ。

 一万人以上の領民を犠牲にした彼らには、今回の責任があるのは、間違いのない事実であり遠慮なくジンに火刑に処してもらった。

 遺品を適当に三人の貴族に渡してから、ガーゴイルナイトに、エスナルまで遅らせた。

 この時に、いくばくかの金塊やらを渡した。使い方は貴族ならうまく使ってくれるだろう。


 さて、技術者たちだが、魅了や誤認でいろいろ聞き出すにも、時間がかかる。

 ここは、魔法のエキスパートに頼むべきだろう。

 この世界の兵士は、男性が圧倒的に多いということはない。

 魔法が使えれば、男女の関係なく戦士として戦えるようだ。

 そうなると、遺体にも、女性がそれなりの数が集まる。

 魔法のエキスパートといえば、彼女たちだろう。

 マリアも魔法のエキスパートなので、対応に困った時のために、マリアを連れて、コロシアムに向かう。

 やたらと余っている革系の素材をポイントに変えてから、女性の遺体を、コロシアムに出せるだけ出した。


「ウイッチ、十体現れて!」

 コロシアムに集めた女性の遺体の半分ほどが亡くなり、人の年齢で言うと二十歳ほどの三角帽子にローブを纏った女性たちが現れた。

 私のポイントは、全く使われていないようなので、遺体だけで来たようだ。

「ウイッチでございます。主様ですね。どうぞよろしくお願いします」

「マイカと呼んでくれたらよいよ。うちは、純粋な魔法攻撃ができるものたちが少ないんだけど、あと十体呼んでも大丈夫かな?」


「ええ、あの遺体の山で十分でしょう。住処は、森に工房を作っていただければ最高です」

「わかった。そうする」

 それから、さらに、十体のウイッチを呼び出し二十体のウイッチで、森の階層に向かう。

「ここでどうかな?」

「良い森ですね。細かい道具は、どなたかが?」

「ハイグレムリンが作ってくれるから、後で会いにい国家」

「よろしくお願いいたします」

 それから、ウイッチ好みの森の工房を二階層に分けて作り上げた。

 赤レンガで、かまどがあり、大なべが設置できたり、錬金術に使うと思われるしっかりと固定できるテーブルがおけるすぺーすなど、魔女の工房という様子の者が出来上がった。居住区で暮らすのとこちらで暮らすのとどちらが良いのかを聞くと、こちららしいので、居住可能空間も作っておいた。


 ウイッチが満足したところで、ハイグレムリンに会いに行った。

「皆、あたらしい仲間だよ。魔法のえきすぱーととして呼んだんだけど、錬金術もすごいみたい。皆とも話が合うだろうから仲良くしてね」

「ウイッチでございます。どうぞよろしくお願いいたします……。あの、ハイグレムリンとお聞きしておりましたが、もしや臣下可能ではありませんか?」

「え、あ、はい、最近、何かこう、新しい力が身につきそうなんですよね」

 ん、確かに皆のレベルが十になっている。

 でも、自力進化ができないのかもしれない。

「皆、コロシアムに一度集合!」


 ウイッチと共にハイグレムリンを連れてコロシアムに向かい、必要になりそうな素材を考えると、どう考えても人間の遺体らしい。

 そうして、出せるだけの男性の遺体を出してから、進化をうながす。

「ハイグレムリンたち、進化して!」

 軽く言っているのだけど、それなりに集中しているんだよ……。

 ハイグレムリンたちは、頭に角のある人の姿になり、種族が変わったようだ。

「ん、オーガニュートって……」

「え、オーガニュートですか。鬼系の最高位種族じゃないですか!」

「うん、さっきも差、ハイグレムリンって言葉を話せなかったのに、話してたよね。おかしいと感じていたんだ」

「そういえば、そうですよね。マイカ様と話す時は、いつも思念波でした」

 詳しく、見ると、雷属性の雷鬼という一族になっているようだ。

 得意属性が雷なだけで、他の属性も使えるようだから、今までよりもかなり強化しているはずみたい。

 オーガニュートは、日本風にいうと、妖鬼と呼ばれる鬼で、鬼火をつかう妖怪だ。

 グレムリンは、他の生物系のモンスターとくらべると、悪魔よりの生物系だった。オーガニュートは、生物よりの悪魔系なので、私が異世界の品々を研究させたせいなのか、何かがおかしくなって、こんな進化をしたのかもしれない。

 それから、ウイッチとオーガニュートの交流は続き、アルラウネも参加した工房組の宴会が始まった。


 こういうのも良いよね。

 ちゃんと生き残れたから、できる幸せなんだ。


 あ、技術者のこと、忘れてた!



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