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第十五話 ダンジョン掌握と新たな仲間たち

 ダンジョン掌握と新たな仲間たち


 玉座を掌握したことで、このエスナル北のダンジョンは私の物となった。

 だからといって、早々に撤退というわけには行かず、やるべきことをやって行こう。


 まずは、エビルプリエステスから、話を聞かなければならない。

 エビルプリエステスの戒めを解き、自由にさせる。

「ここまで、酷い扱いをしてごめんね。私は、マイカというの」

「さすがに話をする間もなく、戦闘に入るとはおもいませんでした。マイカ様とお呼びした方がよろしいのでしょうか」

「うん、それでお願い。貴方に名前はあるのかな?」

「前マスターから頂いた名はありましたが、新たなマスターとなったマイカ様にお仕えすることがゆるされるのなら、新たな名を頂きたく思います」

「わかった。それじゃあ、マリアでどうかな?」

「はい、今後はマリアと名乗りましょう。ありがとうございます」

「ところで、初代マルス伯がいっていた解放とか、彼の対応に違和感を感じてたんだけど、どういうことかわかる?」

「あの……、全てを察して話をしていたのではないのでしょうか?」

「ううん、成り行きで話をあわせてたかんじだよ」

「そうだったのですね……。それでも前マスターは、自らの望み通りの最後を迎えられたのでしょうからよかったのでしょう」

 それから、用意されていた偽玉座の広間から始まるシナリオを語ってもらった。


 偽玉座の広間で対峙する時に、今いる部屋が偽玉座の広間であること、この先に本物のダンジョンマスターがいること、この部屋を突破できたなら、ダンジョンマスターの魂をダンジョンから解放できる資格があると認める、などそういう話を聞かせる段取りだったという。


 そこで、エビルプリエステスも本来は、討たれる予定だったそうだが、前口上を述べる前に急襲され、捕まってしまったわけだ。


 多少の段取りは違うが、本物の玉座の広間で初代マルス伯は、自らの魂をダンジョンから解放してくれる者が現れたことに喜び、シナリオどおりに、無抵抗のまま討たれたということになる。


 本来の彼は、強者のはずなのだ。

 ダンジョンマスターとしてのレベルは最低でも二十以上あり、エビルプリエステスを呼べるほどまで、ダンジョンポイントを貯める時間もあった。

 さらに彼女を呼び出してからも、膨大な時間を、おそらく過ごしているのだから、魔法や武技の熟練度もかなりの物だったのだろう。


 そんな彼が、無抵抗で討たれたのだから、私にとってはありがたいが、違和感をかなり感じていた。

 これで、彼の行動の謎は解けた。


 さらに、魂の解放について聞くと、長い時間を過ごした彼は、精神が疲れ切っており、随分前から死を望んでいたという。

 だが、自らの一族を裏切ってまで、ダンジョンを他人に渡す気にもならず、かといって、一族から次代のダンジョンマスターを選び、自分と同じ思いをさせる気にもならなかったという、


 そうして、いつか来る新たなダンジョンマスターを待っていたという話だった。


 不死ではないが、不老であるダンジョンマスター同士として、感慨深いことだな。


 そして、もう一つ気になっていたことがある。

 実は、このマリアから、ダンジョンコアの疑似生命の気配をかんじるのだ。

「マリアは、ダンジョンコアの疑似生命を宿らせてるの?」

「はい、本来の疑似生命の使い方は、ダンジョンの情報の管理と防衛統括です。そこにいる疑似生命は、未完全といえるでしょう」

「ええ、現在の私は、未完全と言えます。このダンジョンは、廃棄する予定でしょうから、私が改めてマリアと融合しましょうか?」

「うん、リア、そうしてもらった方が助かる。それに、それを見越して似た名前を選んだんだ。マリアも良いかな?」

「はい、むしろこの先も重職を与えていただけることに喜びを感じます」

「それじゃあ、まずは、ダンジョンのモンスターをどうするかだよね。ひとまず、回復が必要なモンスターがいるだろうから、マリアは彼らを癒してきて」

「はい、行ってまいります」


 つぎは、同じマスターのダンジョン同士は、転移ができるようなので、こちらで合成できるモンスターを処理して転移させていく。


 フレイムラットとアイスラットをビッグラットと合成させ、フレイムビッグラットとアイスビッグラットにしていく。ビッグラットの数が足りなくなったので、新たに呼び出して全て合成してから、それぞれ炎の迷路と氷の迷路へ転移させていく。


 ポイズンアイの毒とスライムを合成させていき、ポイズンスライムにしてから、毒沼の迷路へ送って行く。


 数も少なく、今となってはつかいにくくなってしまったクレイゴーレムを鉄鉱石と在庫に合った金属鎧で合成し、ゴーレムナイトにしてから、私のダンジョンの地上におくる。あちらでは、ゴーレムナイトがダンジョン周辺の整備をしてくれているはずなので、そこに混ざってもらえばよいだろう。


 ロックガーゴイルたちは、金属鎧の数だけ、アイアンガーゴイルナイトに変えて、残っている鉄鉱石を使ってガーゴイルたち全てをアイアンガーゴイルに合成していった。

 アイアンガーゴイルたちは、連れてきた者たちを含めて全て私のダンジョンの地上部分へ送り、そこから空に上がって家畜泥棒でもしてもらおう。


 この時点で、ダンジョン内から、かなりの数のモンスターがきえているので、異常事態が起きていると、気が付き始める者もいるかもしれない。

 そこで、ロックゴーレム、ビッグハンド、エビルワームをダンジョンの十五階より上に放ち、他のモンスターたちを十八階に集める。


 ちりょうのすんでいるアーマードミノタウロスは十六階への階段の守護を任せた。


 さて、時間稼ぎもいつまでできるかわからないので、作業を進めよう。

 私のダンジョンからシャドーファントムを全て呼び寄せ、相性の良い物で一人二組となってもらう。そこに、このダンジョンで保存していた遺体を幾つか並べ、気にいる者を選んでもらう。

 選び終わった者たちから、合成をしていき、シャドーアサシンとなってもらった。今までは、悪魔に近い死霊系だったのだが、これで悪魔系となった。


 人型を作るのには、精神力をつかうのか、疲れを感じてしまうが、今から合成するモンスターは、最終的に、ダンジョンの幹部となるモンスターだ。

 しっかりやろう。


 ロックウルフ、ビッグバット、バンプバットに相性の良い物で一体ずつ組になってもらい、男性の遺体の中から一つを選んでもらい、合成をする。

 そして、できあがるのが、レッサーバンパイアだ。

 さらに、レッサーバンパイアの中で相性の良い者同士になってもらい、新たに見すとというモンスターをだして、合成をすると、ローバンパイアとなる。

 このローバンパイアを三体集めて合成して、ミドルバンパイアとなる。

 さらに、ミドルバンパイアで四体、ハイバンパイアで五体を合成して、グレイターバンパイアガ三体できあがった。

 ちなみに彼らのクラスになると、血液は、ただの嗜好品となるので、無駄に人を襲うことはない、だが、ハイバンパイアまでは、血液を必要とするので、今回のように大量に素材がなければ作るつもりにならなかった。

 それと、彼らは、日に当たっても平気だ。そして、回復能力は異常に高いが、心臓に杭をうてば、ちゃんと死ぬので、不死ではない。


 今度は、遺体の中から女性だけをだし、ロックサーペントたち全てに一体に付き一人の遺体を選んでもらう。

 そうして選ばれた彼女たちの遺体と全てのロックサーペントを合成すると、ゴルゴンが出来上がった。

 メデューサともよばれる石化の魔眼を持ち、蛇の髪をもったモンスターだ。

 彼女には、全てのロックサーペントと同じ数の女性の遺体、さらに相応のポイントを使ったので、バンパイアたちと同格のモンスターになっているはずだ。今後に必要となる第二の稼働をさせ続けるダンジョンができた時の疑似生命の依り代になってもらおう。


「はぁい。皆さん。せっかくの人型なので、名前を付けますよ!」

「わあああ!」

「まずはシャドーアサシンたちは、全員で一体のモンスターだと思ってほしい。そのあたりをちゃんと理解してね。これからは、全員で、アサドだから!」

「ありがとうございます。アサド一同、よき働きをお見せしましょう!」

 うんうん、恐ろしいほどに声がそろってるよ。

「つぎに、バンパイア君たち、金髪の君は、アインス、赤髪の君は、ツバイス、黒髪の君は、ドライスね」

「ありがたき幸せ」

 代表してアインスが答える感じなのね。

「ゴルゴンは、メリッサね、マリアと同じように、将来はダンジョンコアの依り代になってもらうつもりだから、よろしくね」

「かしこまりました」

「それで、これからなのだけど、このダンジョンが今までと変わってしまったことが周知されるまで、しばらく戦い続けてみようと思う。ポイズンアイとガストは、先に帰らせるね。リビングミスリルアーマーとメリッサ、マリア以外は、能力に慣れるためにも暴れてきて。それじゃあ怪我には気を付けて、いってらっしゃい!」

 皆が出発して、私のダンジョンから鉄鉱石を全て取り寄せ、こちらにある鉄鉱石も合わせて、ビッグハンドをアイアンビッグハンドに進化させていく。なんとか足りたようで、彼らもダンジョンにでていってもらった。

 その後は、このダンジョンの情報を分析しながら、保存してあったアイテムで気になる物や、素材になりそうなものを観察しつつ数日を過ごした。

 戦線は、数日を掛けながら、少しずつ、階層を上げていく。

 その間に、ロックゴーレムの進化を進めていたが、素材が間に合わず、何体かが倒されてしまった。


 そうして戦線は上層の一階まで到達し、完全に人がいなくなった時に、前線の全員を私のダンジョンの増設した四階分に飛ばし、一気にダンジョンを解体した。

 この時に、ダンジョンの階層の設置にかかったポイントの半分が戻ってくる仕組みとなっている。


 そして、大量のポイントを回収したダンジョンコアを、リアが触れると、徐々に小さくなりやがてダンジョンコアは、消滅した。


 その途端に、ダンジョンはただの浅い洞窟に変化してしまい、残っていたマリアとメリッサ、リビングミスリルアーマーとともに、ガーゴイルナイトの背に乗り一気に脱出した。


 外は深夜で、月明りの下、私たちは戦いを終えて帰路についた。






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