勝負
2人は新宿駅の西口にやって来た。
この辺りは高層ビルが建ち並んでおり、パーティーもビルの中で行われるはずである。
「先輩、こっちです」
幸がスマホを片手に、先導して歩く。
「パーティーってアレだろ? 結婚式の立食パーティーみてーなやつ」
「どうなんでしょう? 僕も初めてなんで」
しばらくして、幸の足が止まった。
「あ、ここだ」
気が付くと、メインの通りから脇道に入っており、古ぼけたビルの前に立っていた。
「……マジかよ、すげー怪しいぜ」
ビルの前には看板が立て掛けてあり、婚活パーティーの会場は5階、と書かれていた。
「とりあえず、行きましょう」
2人はエレベーターに乗り込んだ。
エレベーターから出て部屋の中に入ると受付があり、そこで名前と身分証明を提出した。
「福田幸様、安藤竜様、お待ちしておりました。 お二方初めてということで、システムの説明をします」
このパーティーはパーテーションで区切られた部屋の中で1対1で行われ、攻守に分かれて相手のメールアドレスを賭けた勝負をするとのことだ。
「攻は男性、守は女性です。 今回は男性5名、女性5名なので、お互い1から5の数字の書かれたカードを出し合います。 攻の方の数字が大きければ勝ちとなり、メールアドレスをゲットできます。 引き分けの場合は負けとなります。 カードを出し合うタイミングは、対面してから5分後となり、一度使ったカードは次の対面では使用できません」
説明を終え、カードを受け取ると、指示された部屋にそれぞれ案内された。
「……要するに、5分で相手に小さい数字を出させるようにすりゃいいわけか!」
竜が個室で待っていると、一人の女性が入ってきた。
「初めまして」
「……どーも」