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無限ライフ  作者: ひなのなの
3/3

2~彼は初めて己の“異”に疑問を持つ。

第2話、新キャラ登場です。

どうぞ、お読みください。

やつの目が光って見えるのは、カーテンから覗く月光のせいだろうか。

「チトセ....ユウシン....」

その声が背中を伝い、身体を震わす。

伸びてくる黒い腕に首を握られ、締めあげられるのが分かる。

何故だろう....苦しいと思わない。

それどころか、動こうとも思わないで、全ての神経がその目に操られているようだった。

「....コチラへ....コチラへ....」

「優真っ!!!!」

自分を示す声に身体の震えがピタリと収まった。

「はぁっ!!」

優真を呼んだ彼がやつの腕を肩から切る。

すけたように見えたが、肩から指先にかけてが消え去った。

と、ほぼ同時にやつ自体も消え去る。

「逃げられましたか....。大丈夫ですか!?優真!」

優真はそう言われて初めて自分が息をしていない事に気が付いた。

季之丸の手が肩に置かれ、慌てて酸素を肺に送り込む。

「けほっ....けほっ....はぁ.....はぁ....!」

「ゆっくり息をしなさい。」

深呼吸を繰り返しようやく息が整ってきた頃、優真は質問で頭がいっぱいだった。

季之丸(きのまる)、なんでここに....てかさっきの誰!?なんで倒せただ?消えてなかったか?」

「優真、そう一気に質問されては何から答えていいのか分かりませんよ。」

「あ、そうだよな、ごめん。えっと....まず、季之丸はなんでここに? 」

順番に聞いていこう。

「何を言ってるんですか、優真。前にも言ったでしょう。」

季之丸はそう小さく笑うと、左の手のひらを心臓にあて、肩膝を立ててしゃがみ、言った。

(わたくし)風妃(かざき)季之丸は、いつも貴方と共に生き続けていきます。貴方を守り、生かすことが、私目に課せられた生きる意味です。ですので、優真が危険な目にあうと、俺は直ぐにでも駆け付けますよ。」

季之丸は優真物心がついた頃から一緒にいる。

それは幼なじみという感覚ではない。

周りは皆、季之丸は優真のお目付け役だと言うが、それも外れちゃいないのだろう。

「危険な目....あれ、俺、死ぬとこだった....?」

「どうしてそれを俺に聞くんです?」

季之丸はそう言って小さく笑っているが、優真は本当に『死ぬ』という感覚が全くなかった。

それどころか自分の首を絞めていた、やつに恐怖すら微塵(みじん)も感じなかった。

「なぁ、あいつ....誰なんだ?」

「............さぁ?俺にもわかりません。」

「なんで消えたんだ?」

「俺は勉強は全く駄目ですからね。どういう技術なのかさっぱりですよ。」

「あいつ、機械なのか....?」

「!!!」

季之丸は明らかに動揺した。

口が滑った、というふうに。

「なぁ、知ってるんだろ?季之。」

「さて、俺には分かりませんよ。」

「季之....」

「さぁ、今日はもうお休みになって....」

「季之丸っ!!!」

季之丸の肩がびくりとはねる。

それもそのはずだろう。

優真が誰かを大声で怒鳴るなど、珍しいにも程がある。

決して温厚だから、というわけではない。

怒鳴るほど興味のあることも、信頼に足る仲間も作っていないからだ。

つまり季之丸はその仲間に――むしろ家族のような存在だが、その季之丸に秘密事をされていることに怒鳴ったのだ。

「はぁ....。そこまで知りたいですか。」

「当たり前だ。きっと、今まで俺が変に思ってた自分のことをも全て、関係してんだろ?」

「....貴方は時々、勘が良すぎて苦手です。」

「そんな俺と頼まれてもねーのに、18年以上も一緒にいてんのは誰だっつーの。」

そうあしらってやると、季之丸はわずかに苦笑した。

「貴方ももうすぐ高校を卒業する。確かにそろそろ話していい時期かもしれませんね。」

ふと笑顔を消した季之丸は真っ直ぐに優真の目を見つめ、口を開いた。

その目は....やつの目によく似ている気がした。

お読みいただきありがとうごさいました。

まだまだ続きます。

次話、ついに優真の過去、そして優真自身の事が分かります。

お楽しみに(´ω`★)

感想、評価など頂けると幸いです。


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