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Le monde brûlé  作者: フーデリッヒ
記憶と記録
16/17

Au fil du temps

この星は一度死んでいる。何でも過去に巨大な隕石が衝突したせいで1年もの間灼熱に焼かれてこの2大陸の間にあった巨大な海をも干上がらせたと言う。さらに元々この惑星には月があったが、この衝突で月は2つになって長い間干渉し合った結果今の位置に落ち着いたと言う。しかし不思議なものだ。この星はある信号を放っていたんだ。全宇宙に向けて膨大なエネルギーを発信し続けていた。おそらくこの星が滅んだ時からだろう。それは今も放たれ続けているのでもう数万年になるか。偶然にもそれをウィンテ博士が発見したのは今から180年前の話。そして政府は調査団を結成してこの星へと送り込んだ。まさに死んだ星だったという記録がある。第一次調査団はこの星にある3つの大陸のうち、最も大きな大陸に着陸した。そしてこの調査で明らかになったのはここに人間が生息していたことだ。大気も水もないこの星にどのように我々と構造の酷似した人間が生息していたかは不明だが、間違いなくこの星で人間は生活していた。この星には文化があった。それを示していたのは第一次調査団の発見した巨大なエネルギー収束砲「AOS」だ。そのどれほど時が経とうとも誇りを持ち堂々と鎮座する巨体は、旗鼓堂堂たる当時のこの国の軍隊の姿を回想させるには十分すぎる程だった。政府は第一次調査団の報告を受けてこの星にドアウェイ片端を設置するプロジェクトを提案、その数年後にはプロジェクト実施のため船団が派遣され、見事ドアウェイ開通に成功。本格的なこの星の調査に乗り出したのだ。


長期に渡る調査の結果、この星の3つの大陸のうち一つは小規模な島である事が発見された。この島のみが他2大陸の有しているテクノロジを有さず、比較的原始的な生活をしていた事も分かった。しかしこの星のエネルギーの発信源はこの島だったのだ。だがその場所には誰も近寄れず、まるで何かで守られているようだという話ばかりを聞く。


だが私は知っている。彼らが伝えたかったのは過去の惨劇のみではない。島から発見された文献の中に「ルミエル・デ・シェール」という記述があった。これはこの島で長く行われていた祭りらしいが、これはこの島に住んでいる精霊に対する感謝を示すものだと言う。この祭りが行われる日はこの星の一年の間で最も星が多く見え、夜の間も数メートル先が見えるほど明るかったという記録がある。何故その日に精霊への感謝を示すか。この日だけ、精霊は人々の前に姿を現すと言うのだ。今はこの星は整備されてここまで綺麗になったが、軌道が変わってしまってもう我々がルミエル・デ・シェールの時と同じ星空を見る事はない。だがきっと今でも精霊は住んでいて、何万年という間この島を守り続けて来たのだろう。


これまでも、これからも。きっとこの島は永遠にこの宇宙に残るだろう。

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