表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/50

女神様、私に“腕力スキル”とかいらないですから!? 〜帰りたいのにイザークさんが切なすぎる〜

女神ルミエールがまたしても勝手なことを…!

「腕力スキル」を授かった私は、なぜか丸太も荷馬車も軽々持ち上げられるように。

笑っているイザークさんだけど、その瞳の奥には“ある切なさ”があって――?

そして村に響く悲鳴。初めての実戦が始まる!


甘さ・笑い・切なさ、全部入り回です。



村の長老の家を出たあとも、イザークさんはどこか口数が少なかった。

歩く横顔が、少しだけ陰って見える。


「……どうしたんですか?何か気になります?」


「いや……」

短く答えたあと、低く続ける。

「本当に……そのうち帰ってしまうんだな、と思って」


その言葉に、胸の奥がチクリと痛んだ。

「……まだ帰る日なんて決まってないですよ」

そう答えると、イザークさんは微かに笑った。けれどその笑みは、どこか寂しげだった。



---


家に戻ると、彼は気を取り直したように言った。

「腕力スキル……本当に身についたか、試そう」


「試すって、どうやって?」


「これだ」

差し出されたのは、私の背より長い丸太。


「いやいやいや!これ絶対無理ですって!」

笑いながら両手をかけた瞬間――


ズボッッ!


信じられないほど軽く、丸太が持ち上がった。

「……うそ、なんで?」

私が混乱していると、イザークさんは驚きと嬉しさの入り混じった目を向けてきた。


「軽々と……本当に力がついている…」


「ちょっと面白いかも!他にも試してみたい!」


イザークさんが口元を緩める。

「なら……これだ」

今度は近くにあった荷馬車を指差した。


「いやいやいや、これさすがにムリですよ!」

そう言いつつも、持ち上がってしまった。しかも車輪ごと。


「うわぁぁ…!なんか怖い!」

慌ててそっと元に戻すと、イザークさんは腕を組んでふっと笑った。


「これなら俺がいない時も安心だな」


「……え?守ってくれるんじゃないんですか?」


「もちろん守るさ。だが……お前の方が強くなりそうでな」

その言葉は冗談めいていたけれど、どこか本気にも聞こえた。



---


そんなやりとりをしていた時だった。

遠くから、村人の悲鳴が響く。


「オオカミだ!家畜小屋にオオカミが!」


私とイザークさんは顔を見合わせる。

その瞳に、一瞬だけ戦士としての鋭さが宿った。


「……行くぞ」


「えっ、私も!?」


「腕力スキルを試すには、いい機会だ」

そう言って剣を抜くイザークさん。


私はごくりと息を呑む。

胸の奥で、緊張と不思議な高揚感が同時に膨らんでいた。


――そのとき、彼が小さく呟いたのが聞こえた。

「……こうして一緒に戦う日が、いつまで続くんだろうな」


その声は、風に溶けてしまいそうなほど静かで。

けれど、耳に残って離れなかった。


こうして、私の“初めての腕力スキル実戦”が始まったのだった――。



---

今回、イザークさんの「帰ってしまうのか…」が本音過ぎて、私も胸がぎゅっとなりました。

でもそのあと腕力スキルで丸太や荷馬車を持ち上げる私に、ちょっと笑ってくれたのが救いです。

次回は初めての実戦!オオカミ戦です。果たして腕力スキルは役に立つのか…?それとも…?


感想で「このシーン好き!」を教えてもらえると励みになります!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ