イザークの視点
今回はイザークさん視点のお話です。
ヨーコから見た彼は「優しくて頼もしい巨人さん」ですが、
本人の胸の内は……?
初めて出会った瞬間からの、彼の揺れる心をお楽しみください。
村のすぐ側の森の中で、小さな女の子が倒れているのを見つけた。
最初は妖精かと思った。透き通るような白い肌、風に揺れる黒髪、柔らかな薄ピンクの唇。
俺の知る女性たちは、子供を育てるために強く、逞しく狩りをこなす者ばかりだ。
だがこの少女は、筋肉などなく、どこか儚げで、ただそこに横たわっているだけだった。
思わず見惚れてしまった自分に気づく。
しばらくして少女は、そっと片目を開け、俺が人間だと気づくと安堵の表情を浮かべた。
彼女は「ヨーコ」という名の渡り人で、すでに成人していると言う。
困っているらしい彼女に、怖がらせないように優しく声をかけ、保護することを伝えた。
ヨーコは素直に頷き、俺についてきた。
街に出ると、ヨーコの小さな体に興味の視線が注がれる。
その時、幼なじみのリトが現れ、「俺の家で面倒を見る」と申し出た。
一瞬、嫉妬のような感情が湧いた。
保護すると言いながらも、俺はヨーコを自分の側に置きたかったのだ。
家に戻ると、ヨーコの世話をした。
彼女の仕草一つ一つが愛おしくて、何でもしてやりたくなる。
寝間着を着た彼女を見て、鼻血が出そうになるが、必死に堪えた。
ヨーコは床で寝ると言ったが、無理やり説得して一緒に寝ることにした。
しかし、胸の高鳴りは収まらず、彼女が布団の端に寄ろうとした時、つい抱き寄せてしまった。
柔らかな彼女の体と香りに包まれ、強く抱きしめる。壊れてしまいそうで怖かった。
そんなことを考えているうちに、いつの間にか夜は明けていた。
---
ヨーコ視点では気づかなかった、イザークさんの感情や葛藤を書いてみました。
こうして見ると、あの時の何気ない行動にも理由があったんだなと……。
次回は長老との出会いの場面を予定しています。お楽しみに!