小さすぎる私と、大きすぎる彼
みなさんこんにちは!
今回は『巨人の村と“可愛い”の基準』の続きです。
主人公ヨウコがイザークさんの大きな世界に戸惑いながらも、少しずつ心を通わせていく様子を描きました。
不器用で優しい彼の気遣いに、ドキドキが止まりません……!
ぜひ楽しんで読んでくださいね。
リトと別れてから、私はイザークさんの家へ向かった。
彼は「小さな小屋」だと言っていたが、私には何もかもが巨大に見えた。ドアも窓も家具も、全部がビッグサイズだ。
「お腹すいてるか?」
そう言って差し出されたスープの入った器も、スプーンもとにかく大きすぎて、うまく扱えなかった。
その様子を見て、イザークさんはふっと笑った。
「こっちへ」
そう言って自分の膝の上に招き入れた。私は恥ずかしくて首を振ったが、ヒョイと抱え上げられ、膝の上に座らされてしまった。
スプーンにスープをすくい、一雫ずつ私の口元へと運ぶ。
「えっ、これ、あーんってこと?」
戸惑いながらも、お腹が空いていた私は素直に受け入れた。
少しずつスープを飲み干すと、素朴だけどほっとする味だった。
ふとイザークさんを見ると、片手で目を覆いながら天井を向いて震えるように呟いた。
「子猫か……可愛すぎる……♡」
何だかよくわからないけれど、私はもう一口催促した。
その後も彼はたびたび「可愛い」「小さい」と呟いていた。
明日は村の長老に会う日だ。
そろそろ眠ろうと思ったが、私に合う服や布団はない。仕方なく、イザークさんの大きなシャツを借りて寝ることにした。ダボダボで紐で縛ってもゆるゆるだ。
それを見たイザークさんはまた何かに打ち震えるようだったが、私は気にしないふりをした。
ベッドは一つだけ。彼は私に譲ろうとしたが、悪くて受け取れず押し問答になった。
すると彼は、
「では一緒に寝るか? 幸いベッドは広いし、ヨウコがよければだが……」
恥ずかしかったけれど、床で寝るのは嫌だったし、イザークさんも無理に離れさせる気配はなかった。
だから私は「お願いします!」と答え、二人でベッドに入った。
イザークさんの顔は真っ赤に染まっていた。
ベッドに入り、なるべく距離を置こうとしたら、ギュッと抱き寄せられた。
「そっちは寒いだろう」
ドキドキが止まらなかった。
そんなふうに包み込まれて、私は静かに眠りについた。
一方イザークさんは、朝まで一睡もできなかったそうだ。
読んでくださりありがとうございます!
ヨウコとイザークさんの距離が少しずつ縮まっていく瞬間を書けて、とても楽しかったです。
これから二人がどう関わっていくのか、私もわくわくしています。
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