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「永遠の別れ、そして約束の光 〜ヨウコ、王宮を去る〜」

王宮の夜、愛と勇気が交錯する中、ヨウコは大切な人たちを守るため、決断を下す。

出会いと別れ――その瞬間が、二人の心に深く刻まれる。

切なくも美しい、運命の夜の物語。




相変わらず能天気な女神ルミエールの声が響いた。


「ヨウコちゃん、そろそろお家に帰りたい?ここには運命の人、いなかったみたいね」


ヨウコは、イザークとギルヴァントを見つめた。二人の瞳には切なさが宿り、思わず胸が締めつけられる。心の中で、わずかに恋心を抱いた二人の顔が浮かんだ。思わず1滴の涙が頬を伝い、静かに落ちた。


「うん……やっぱり帰りたい。どっちかなんて、選べない……」


ルミエールはふわりと笑みを浮かべながらも、その瞳にはかすかな厳しさが宿っていた。


「そう……でもね、ヨウコちゃん。どうして防御の力が発動しなかったのか、気づいてる?」


ヨウコははっと息を呑む。胸の奥がざわめいた。


「……女神様、あなたが……?」


ルミエールは肩をすくめ、まるで悪戯が成功した子どものように微笑んだ。


「試したのよ。命を賭けてでも守りたいと思える相手がいるのかどうか……。その答えは、ちゃんと示したでしょう?」


ヨウコは目を伏せ、唇を震わせた。思い出すのは、迷わず刃の前に飛び出した自分の姿。


「……後悔、しない」


その声は弱々しくも確かな響きを持っていた。


イザークとギルヴァントは涙をこらえ、声を震わせて訴えた。

「行かないでくれ……!」


でも、もう時間は残されていないことを理解している。彼らはそれ以上何も言えなかった。


ヨウコは深呼吸し、静かに告げた。


「出会えてよかった。好きだったよ……」


その瞬間、彼女の身体は光に包まれ、次第に二人の手から消えていった。


イザークは膝をつき、涙を止められず、叫んだ。

「俺は何もかも捨てる。彼女がいない世界なんて意味がない!」


ギルヴァントも拳を握りしめ、絶叫する。

「帝位なんていらない!あいつが側にいなければ全部意味がない!」


ルミエールは微笑みながらも、二人を見つめた。

「そんなに好きだったのね……。じゃあ、チャンスをあげるわ。あなた達を人間界に送る。でも、お互いの記憶は残らない。それでもいい?」


イザークは力強く頷き、

「構わない!必ず思い出して、探し出す!」


ギルヴァントも決意を込めて答えた。

「俺たちは引き合う運命だ!必ず会える!」


ルミエールはにっこり笑い、光の中で二人を送り出した。


残されたナディールたちは、空に向かって涙を流しながら見守った。

「いってらっしゃい。また会おうね……」


光の中に消えていったヨウコの背中は、王宮の夜にしばらく余韻を残していた。



---




ヨウコは大切な人たちのもとを去ることを選んだ。

涙と想いを胸に秘め、彼女の勇気は王宮の夜に静かに光を残した。

再び出会う日を信じ、イザークとギルヴァントも前を向く――この物語は、愛と約束の光で結ばれる。



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