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「王宮の夜に咲く勇気 〜ヨウコ、刃を受ける〜」

宴の華やかさの裏、王宮には静かに迫る危機があった。

目に見えぬ陰謀、忍び寄る刃――そして、ヒロイン・ヨウコの勇気が試される瞬間が訪れる。

命を賭けて、大切な者たちを守る――その覚悟が、物語の夜を揺さぶる。


宴の余韻がまだ王宮に漂う夜、ヨウコは控え室で軽く休んでいた。


少し喉が渇き、水を取りに廊下を通ると、かすかな声と影に気づく――。


耳を澄ませると、低く不穏な声が聞こえた。


「ギルヴァントを排除すれば、次は俺のものだ」


ヨウコの目に映ったのは、ガラントとアレクサンドラ妃が、寝室へ忍び寄る姿だった。


心臓が早鐘のように鳴る。動くべきか、静かに見守るべきか――。

しかし、胸の奥で何かが弾けた。「このままではギルヴァントが……!」


思わず足が前に出ていた。息を潜め、刃の行方を見守る。


廊下の軋む音が二人にわずかに届き、ガラントが刃を振り上げる――


その瞬間、ヨウコは反射的に飛び出し、ギルヴァントをかばった。


「うっ……!」声が漏れ、体が後ろに崩れ落ちる。血がゆっくりと服を染め、視界がかすむ。


――おかしい。防御の光が、出ない……?


「ヨ、ヨウコ!」ギルヴァントが駆け寄り、膝をついて彼女を支える。

イザークも慌てて駆けつけ、手を握りながら必死に声をかける。


ヨウコの胸はドキドキと早鐘のように鳴る。

ギルヴァントの心配そうな瞳、イザークの真剣な手のぬくもり――どちらにも少しずつ、心を揺さぶられるのを感じる。


「大丈夫……じゃ、ない……!」ヨウコは震える声で言い、手をギルヴァントとイザークの腕に絡めた。胸の奥で、かすかな恋心が静かに芽吹いていた。


刃を振ったガラントとアレクサンドラ妃は硬直する。想定外の事態――彼女が間一髪でギルヴァントをかばったのだ。


そして――二人は互いに目を合わせ、ため息をつく。

「……仕方ない、ここは撤退だ」

「次こそ……」アレクサンドラ妃も歯ぎしりしながら、暗い廊下の奥へ逃げ去った。


ヨウコは深手を負い、息も荒い。


「しっかりしろ、ヨウコ!」イザークが声を震わせながら叫ぶ。

ナディールも冷静に応急処置を試みるが、血の量に顔色を失う。ギルヴァントも手を握り締め、必死に呼びかける。


「どうして……こんなことに……!」胸を押さえ、涙ぐむギルヴァント。


ヨウコは微かに目を開け、弱々しく笑った。


「……ごめん、でも無事で良かった、、、。」


王宮の廊下に緊迫した沈黙が広がる中、遠くでかすかな光が差し込む。


霞む意識の中でヨウコは思った――

(どうして……スキルが働かなかったの……? まさか、これも……試練……?)


光の中から、満面の笑みで「ヨウコちゃ~ん、お待たせ〜♡」と、女神ルミエールが現れたのだった。



---


命の危機を前に、ヨウコは躊躇なく大切な人を守った。

彼女の勇気がもたらすものは、ただの安堵ではなく、心の揺れ――ギルヴァントとイザークへの想いの芽吹きだった。


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