「闇に潜む皇子の野望」〜第2皇子ガラント視点 〜
今回は第2皇子ガラント視点でお届けします。
王位を狙う冷徹な野望、密かに仕組まれた陰謀――。
ヨウコの存在が計画を狂わせる中、王宮では静かに緊張が走ります。
闇に潜む皇子の野望、その真実をのぞいてみてください。
あの時、父上を追い詰めるため、俺は密かに動いた――医師に命じ、呪術を仕込ませた薬を少しずつ父上に飲ませさせる。誰の目にも触れず、確実に力を削るための、冷徹な計画だった。王位を手にするためには、最も静かで確実な方法……そう考えたのだ。
しかし、計画は予想外の形で狂った。あの女――ヨウコが父上のそばにいたため、彼女の防御スキルが呪術に反応し、父上のことを守ってしまった。ギルヴァントにも普段から呪術を練り込んだ物を身に着けさせたり、食させたりしていたのに、ヨウコが近くにいることで自然と守られていたのだ。くっ……想定外すぎる。あの女の存在が、俺の思惑を根底から崩すなんて。
さらに、唯一の証人である医師には後始末をさせた――食事に仕込んだ毒で命を奪い、証拠もろとも闇に葬った。これで、事件の真相はうやむやになる。表向きは平然と「無関係」を装える……完璧なはずだった。
だが、計画は完璧ではなかった。王宮では、あの女は父上を救った恩人として称えられ、祝福されている。俺の手の内で操れる存在ではない。無力感と苛立ちが胸を締めつける。だが、ここで焦って動くことは命取りだ。今は耐えるのみ。
ふ……この先も、あの女は俺の計画を邪魔し続けるだろう。だが、それも想定の範囲内だ。王位を手に入れるまでの障害でしかない。
全てを手に入れる。その時、俺の目論みの前に立ちはだかるものは何一つ逃さぬ――あの女も例外ではない。
王宮の夜は静かに暗転し、俺の野望は、まだ燃え盛るのだ。
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読んでくださりありがとうございました。
ガラントの冷徹な思惑と、ヨウコの防御スキルによる予期せぬ影響。
王宮の平和の裏で、緊迫した駆け引きはまだまだ続きます。
次回も、光と影の物語をお楽しみに。




